焚き火マイスター・猪野正哉「アウトドアズマンの作法」 - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.06.21

    焚き火マイスター・猪野正哉「アウトドアズマンの作法」

    焚き火マイスターの猪野正哉さん

    焚き火マイスターであり、日本焚き火協会会長、アウトドアライターとしても活動している猪野さん。テレビやYouTubeでは焚き火監修を行ない、アウトドアイベントでは焚き火ワークショップの講師として活動している。著書に『焚き火の本』『焚き火と道具』(ともに山と溪谷社)。

    焚き火は幼少期から身近にある生活の術。彼にとって焚き火を愛で、紫煙をくゆらせるのが至福のときだ。

    キャンプの目的は、のんびり過ごす時間

    キャンプ場に到着したら、まずはお気に入りの場所を探す。

    「あれこれやると時間に追われるだけでのんびりできないから、焚き火ができてたばこが吸える場所があればいい。とにかく“のんびり”が最優先だから」

    ベース基地を決めたら、必要最小限の道具を広げ、焚き火のためのいい焚き付け探しに出かける。

    猪野さんの愛用焚き火ギア。ムラコの焚火台にソロテーブル、薪割り台、鉈、火バサミ、ファイヤースターター、麻紐、革手袋。そして相棒のたばこも――。

    猪野さんの実家は自然豊かな場所だったため、幼いころから木に囲まれて育った。そのため焚き火は特別なものではなく、伐採した木端を燃やすことも、あくまで生活のための作法。

    「焚き火が生業になってからは、山登りしてても、街中歩いていても、これよく燃えそうだなぁ、って目で木を見ていたりします(笑)」

    そんな話をしつつ、枯れたスギの葉や、乾いた枯れ枝を何気なく拾っていく。

    「この焚き火の準備というか、焚き火をするためのルーティーンが楽しかったりする。でも最近は、枝ひとつ落ちていない綺麗なキャンプ場もあったりしてさ。あれってちょっとやりすぎだよね」

    冬になると、最初に落ちたスギの葉を袋いっぱいに集めておく。油分が豊富なので、いい焚き付けになるのだとか。乾いて落ちたての赤茶色の葉ほどよく燃える。焚き付けを抱えて基地に戻ったら、火口(ほくち)の準備をし、焚き火台の前に鎮座する。ファイヤースターターで火花を散らし、あっという間に火をおこし、薪に火を移す。

    焚き付けのいちばんのオススメはスギの葉。マツの葉やススキの穂もいい火口になる。

    ほぐした麻紐をスギの葉に絡ませて天然の着火剤に。ファイヤースターターで火をおこす。

    火がついたら、火口の周りに細い薪をティピーのように立てかければOK。

    公共の場ではルールを守ることが大切

    普段ならここで一服、紫煙をくゆらせたいところだが、そこは大人のマナーを守る。

    「最近は分煙・禁煙化を進めているキャンプ場が増えてきている。それだけ、嫌煙家がいるということを考えるのも重要。だから、喫煙所があればなるべくそこに行きます」

    たばこのポイ捨てをしたり、それが山火事につながったり、ルールを守らない人が多いことも、分煙化といった流れの一因でもあるのかな、とちょっと寂しそうに呟く。

    全面禁煙のキャンプ場はまだ少ないが、喫煙場所を定める分煙化は増えつつある。

    喫煙所に場所を移し、旨そうに紫煙をくゆらせる猪野さん。

    「焚き火のワークショップをしているときに、火が燻ると、空気を吹き込んで炎をおこしたりするでしょ。よく、“上手ですね”っていわれるんだけど、“たばこを吸っているおかげかな”って冗談みたいに答えることもあります(笑)」

    「分煙・禁煙化されていないキャプ場でも、人に迷惑かけない場所で吸うのは最低限のマナー」

    軽快に火おこしする猪野さんのキャンプはいたってシンプル。夜はスキレットで肉を焼くぐらいで、あとはビールを片手に焚き火を楽しむ。

    「僕は、中太の薪をよく使うんでよ。太い薪入れちゃうと、なかなか消えなくて寝られなかったり、帰れなかったりするでしょ。後片付けも含め効率を重視するんです」

    「山登りで汗をかくのはいいけど、キャンプでは汗はかきたくない」。これが猪野さんのキャンプ道。

    焚き火は最後まで完全燃焼させる。それも焚き火ストのマナー。

    「常に木に感謝を忘れないようにしています。それに、自然のなかで遊ばせてもらってるんだから、来たときよりも美しくするぐらいの気持ちが大切。焚き火は決して非日常なものではなく、日常の延長にあるものなので。また、ほかのキャンパーや自然への敬意や配慮を常に忘れないこと。それこそがアウトドアズマンのマナー・作法だと思うな」

    構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎

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