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    2019.02.02

    トカラをめざせ!日本最後の秘境を2泊3日でめぐる裏ワザ

    トカラ列島のエメラルドグリーンの海

    めざせ!日本最後の秘境!

    とうとう幕開けした平成最後の年! もしくは、新元号元年!この区切りの年に、ちょっと特別なコトをしてみませんか? たとえば“日本最後の秘境・トカラ列島を全島制覇する”とか!


    トカラ列島へのアクセスを少しでもご存知の方なら「え!? そんな非現実な! 」と、驚くコトでしょう。はたまた「トカラ列島? それは、どこの国ですか? 」という方もおられると思います。トカラ列島は鹿児島県にある暦とした日本の島々。屋久島と奄美大島の間に浮かぶ有人島7つと無人島5つの計12島をまとめて「トカラ列島」と言います。

     

    トカラ列島の地図

    アクセスはフェリーのみ

    空路はなく、アクセスは週約2便の村営船「フェリーとしま2」のみ! 基本的に金曜と月曜の23時に鹿児島港を出港し、各島に寄港し、翌日14時頃、奄美大島の名瀬港に着きます。そして、翌日曜もしくは水曜の深夜2時に名瀬港を出港し、今度は南側から各島に寄港し、鹿児島港へ18時頃に入港という流れになるのです。

     

    フェリーとしま2

    この船のスケジュールで全制覇をしようとすると、最短でも14日間かかるのです。
    通常運航のスケジュールでの巡り方の例を挙げると、次のようになります。

    ①「フェりーとしま2」船中泊(1泊)→②悪石島(1泊)→③平島(2泊)→④小宝島(1泊)→⑤中之島(3泊)→⑥諏訪之瀬島(1泊)→⑦口之島(2泊)→⑧宝島(1泊)→鹿児島(1泊)

    はい。そうです。2週間ほどの休暇を取らないと一度に全島制覇は難しい島々なのです。しかも、海況によっては、船が予定通り運航しない時も……!

    そのまんまの自然が溢れる島々

    必然と観光客は他の地域よりも断然少なく、知る人ぞ知るエリア。そのおかげもあって、自然が荒らされるコトもないのです。中之島にある通称「トカラ富士」の山頂からは、人工物が一切目に入らず、もくもくと白い噴煙を上げる火口と、360度ぐる~っと、どこまでも続く海を眺められます。まるで、古事記の中で国生みをするイザナギノミコトとイザナミノミコトになったかのような気分です。

    中之島のトカラ富士

    小宝島では開放感ハンパない温泉でひとっ風呂(ちなみに、7島全部に温泉があります)!

    小宝島の温泉

    はたまた、昔からの貴重な民俗行事も継続されています。悪石島では、旧盆に「ボゼ」と呼ばれる来訪神が現れます。それは、まるで、パプアニューギニアにでもワープしたのかと思うような姿なのです。ちなみに、この「ボゼ」。201811月末に、秋田県男鹿半島の「ナマハゲ」と供にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

     

    全島制覇には裏技あり!?

    日本なのに日本ではないような、なんとも不思議なトカラ列島。全島制覇には最低2週間かかると思うと、仕事を辞めた時しか行けないと感じるけれど、2泊3日になったら、どうでしょう? がんばれば、有給が取れる人もいるのでは? そんなミラクルな行程を叶えてくれる裏技があるのです! それは「マラソン便」。毎年10月のいずれかの土日に開催されます。

    このマラソン。ちょっと変わっていて、マラソン上級者ですら「ペースがつかめず難しい」と唸るコース設定なのです。ひとつの島を走ってフェリーに乗り、次の島へ向かいます。次の島でまた走り、再びフェリーに乗り……。それを7島繰り返します。そうです。走って休んでと、ちょっぴり忙しないマラソンなのです。

    トカラ列島のマラソン便

    この日の「フェリーとしま2」は変則運航となります。金曜夜に鹿児島港を出航し、一番北の島・口之島に早朝5:10頃到着。日の出とともに、マラソンがスタートです。トカラの島々は、港からすぐに急坂を上がる島も多く、体力必須です。(体力のない私は、ランナーではなく見学者枠で乗船しました←え? )しかし、走りながら目に飛び込んでくる景色は絶景の連続! 黒潮ど真ん中の濃い青・トカラブルーの海が広がり、絶壁と生茂る緑の山々。一眼レフ片手に走っているハイレベルなランナーもおられました(びっくり)! そして、最後の島・トカラ列島最南端の宝島では、夜に盛大なパーティーが待っています。

    トカラ列島最南端の宝島のパーティー。背景にフェリーとしま2

    港にテーブルやステージがセットされ、大きな「フェリーとしま2」を背景に、スティールパンの演奏が響き渡ります。ごはんも豪華(注:ごはんが出るのはランナーのみ)! 各島の名産がズラリ! イセエビのお姿も!

    宝島のイセエビ

    翌日、鹿児島に向かう「フェリーとしま2」とランナー達を各島の港では島の子ども達が歌って踊って賑やかに見送ってくれるのです。トカラ列島の中心的存在の中之島では停泊時間がちょっと長めに取られていて、シュノーケルと温泉を堪能している強者もいました(結構、ハードスケジュールです・汗)。ランナー枠は、そんなに多くはないのですが、チャレンジしてみてはどうでしょう?

    悪石島のフェリー出航風景。防波堤上の人々と色とりどりの紙テープ

    ついでに、もうひとつ全島制覇できる航海日があります。それは毎年5月の某日に運航する通称「レントゲン便」! 要は健診船。トカラ列島は各島に診療所はあるものの、各診療所に看護師が1名常駐しているのみ、医師は不在なのです。医療設備も揃っているわけではありません。また、島民が鹿児島市内に出かけて健診を受けるには、時間と交通費がかかる。と、言うわけで、レントゲン車を2台「フェリーとしま2」に乗せ、鹿児島市内の医師や保健師も乗せ、各島の港で野外健診を行うのです。この日も「フェりーとしま2」は変則運航になります。

    フェリーとしまと港の駐車場

    1島の健診時間は1~2時間。その間、観光客も途中下船して、ふらっと島内観光ができちゃうのです♪ ただ、医療関係者と役場関係者が大勢乗船されているので、観光客が乗船できる枠は、ほんの少し。そして、村役場による健診なので、もちろん平日開催。マラソン便に比べるとちょっぴり難易度が上がります。

    放牧中のウマ

    旅のお供には、この一冊を♪

    けれどもけれども! 有給を合わせて2週間ほど休みを取るよりも、23日の休みを取って秘境に行くのは、かなり可能な気がしませんか? 
    新元号元年のこの年を、秘境制覇記念YEARにしてみませんか? 
    あ! その際には、拙著『トカラ列島 秘境さんぽ』をお供にして頂けますと、これ幸い♪良き旅、良き記念YEARを!

    トカラ列島秘境さんぽ

     

    ※イラスト・文・写真/松鳥むう(まつとり・むう)

    松鳥むう

     

     

     

     

    松鳥むう イラストエッセイスト
    離島とゲストハウスと滋賀県内の民俗行事をめぐる旅がライフワーク。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上、訪れた日本の島は94島。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島かいてーばん』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島かいてーばん』(スタンダーズ)、『ちょこ旅瀬戸内』(いずれも、アスペクト)、『日本てくてくゲストハウスめぐり』(ダイヤモンド社)、『あちこち島ごはん』(芳文社)、『おばあちゃんとわたし』(方丈社)等。最新刊は『島好き最後の聖地 トカラ列島 秘境さんぽ』(西日本出版社)。 http://muu-m.com/

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