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準備万端のはずのアラスカ行―成田での忘れ物

2019.02.22

2015年7月9日、シアトルの空港で撮った夕日。黒点まで見えたので、思わずおお、と声が出た。

結局、フライトは7月初旬とした。国内のメーカーでできるだけ揃えたいので、足りない装備はモンベルさんで買い揃えた。予てから親戚にお願いしていた融資も受けとった。原野では食事の量も回数も減るだろうから、胃を小さくするため体も絞りに絞って、65キロを60キロを切るまでに落とした。アラスカの地図は吐きそうになるくらい読み込んだ。アラスカのルールや、気候や地形のクセはある程度理解できた。詳しくなるほど、無事帰ってこられるか不安になり、何かあった時のための手紙を書いて小学校からの親友に渡した。

出国直前、東京町田市の実家に戻り、大好きだった犬と祖母のお墓にお参りをした。心配をかけるだろうから親には細かい話はしなかった。今回、ESTAで入れる最長である3ヶ月の間アラスカに入ることにしていた。(※アラスカはアメリカの一つの州)やれることはまだありそうな気はしていたのだが、“あとはアラスカに行った私に任せよう、彼は現地でどうにかするだろう” なんて他人事のように捉えて楽観視しようとしつつ、バタバタと出国当日を迎えた。親友に成田まで送ってもらった。

シアトルを経由し、アンカレッジへ。とすんなりいいたいところなのだが、しょうもないミスをしてしまった。成田でスマートフォンの電池と充電器を忘れてきてしまったのだ。できるだけ電池を長持ちさせるため、電池容量の多い、特殊な形の電池パックを選んできたのが失敗だった。フル充電しておこうとしたのだが延々充電が終わらないので、電池パックを外して充電器に繋いだまま、空港においてきてしまったのだ。ああ情けなし。スマホ本体は手元にあるのだが使えない、ああもう。と思ったがここで嘆いていても仕方ない。

安いチケットの代償か、幸いにしてシアトルでの乗り継ぎ時間は10時間ある。シアトルに着き入国手続きを終えてすぐに代わりのものをネットで購入し、アラスカに送ってもらう手はずを整えた。ふう、と一息入れてベンチに座って、カメラをとことんまで掃除し、そのあとタコスを買った。気が張っていて食べる気がしないのか、単にしょっぱすぎるのか知らないが、水で流し込むようにして食べた。街に出ようかなとも思ったが、20キロもある機材やPCをもっていたので大事を取ってやめた。しばらく空港内をぶらぶらしたあと、ふと、こんな“何もしなくていい時間 ”は久々だなと感じ、静かなところを探して昼寝をした。

数時間後、少しの遅れはあったが、飛行機はアンカレッジへ向け飛び立った。夜のフライトだったが快晴だったので、外を眺めていた。北の空が少し明るいことに気づき、“あの向こうは昼なのか” と思うとなんだか抑えきれなくなって、遠足前日の子供のようにワクワクした。

飛行機から北の方角を見ると、少し明るかった。あのずっと向こうは”昼”なのか、と気づくとひどく興奮したのを覚えている。

プロフィール
佐藤大史

東京都町田市出身。長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。卒業後、写真家白川義員の助手を務め、2013年独立。
「地球を感じてもらう」ことをコンセプトに、アラスカなどの手つかずの大自然と、そこに生きる生き物たちを撮影している。
1012日〜20日まで、安曇野市豊科近代美術館で写真展を開催予定。大迫力の極大プリントで展示予定。

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