【超フレンドリーな悪の枢軸国、イラン】 第2回 雪山で宴会するムスリムたち

2018.07.09

軽キャンピングカーで、世界半周中の放浪夫婦です。
稚内からサハリン島へ渡り、シベリアの大地を西へ。モンゴルで道草し、中央アジアから中東へ入りました。
南アフリカの喜望峰を目指す、無期限無軌道ドライブです。
ガイドブックに載らない隠れ家的パワースポットで力を蓄え、絶景・奇景を見つけては、「マイ秘境」と呼んで喜んでいます。

イラン半周ドライブ、4,500km

イラン半周ドライブは、30日間で4,500km。経済制裁のあおりを喰らった旅の予算は、手持ちの現金1,497US$だけ。東で道に迷うとアフガニスタン、西へ突き抜けるとイラク。迷子は命がけです。

イラン人によれば、日本の書道のルーツはペルシャ語です。草書体らしき道路標識は、芸術的に意味不明。どこへ向かっているものやら、ボクら。

インターネットを突破せよ!

SIMカードを購入したものの、西側諸国と敵対する政府はインターネットを規制中。繋がらないFacebook, Twitter, Youtube, Line。謎の画面が立ちはだかります。

ご法度なのに、多くのイラン人からFacebookの友達申請をされるということは、彼らは規制を突破していますね。イラン人御用達のご禁制アプリをダウンロードし、やっと世界に繋がりました。アッラーに背いたようで恐縮ですが、これで仕事ができます。働かざるもの旅するべからずなのです、我が家。

土漠に浮かぶ皺々な山々

イランの山は、日本百名山にはない美しさがあります。神々しく輝いています。その秘密はハゲ。雑草すら生えていません。
土漠の先に立ちはだかる、ムダ毛も産毛もない雪山。隅々の皺々まで見渡せ、人影どころか動物の気配もなく、神さまのひとりやふたりは信仰していないと、奈落に迷い込みそうです。

遠いようで近い山々に、解剖図のようにくっきりと描かれた地層と頭頂を覆い尽くしていない雪のシマウマ模様。我が家の軽自動車であの山脈を越えようとは、神をも恐れぬ申し訳なさ。

土漠からにょっきりと頭を出す山がありまして、これまた日本百名山にはないタイプ。ハゲ山ならではの見晴らしの良さ。空気は冷たいものの、髪の毛が抜けそうなくらい陽射しが強いです。

集合住宅の遺跡と自然の氷祭り

およそ40年前、米軍がイランに軍事侵攻したタバス砂漠を通ります。砂嵐が米軍を蹴散らした、神風の地です。強きをくじくパワースポットとして、我が家をお守りください。合掌。
砂漠の近くに、忘れ去られたような遺跡がありました。ADOBEと呼ばれる日干しレンガで作られた、集合住宅的村。観光客ゼロ。浮浪者に襲われても文句の言えない廃村ですが、遭難するまで自由に歩き回れるラビリンス。次回はここでキャンプしましょう! マイ秘境に認定です。

手頃感のある箱庭的借景もあります。畑の奥にミニ禿山脈。麓に色のあせた空色のキューポラ。手前に葉のない木と廃墟。潤いは少ないものの、癒されます。

スキー場を発見。と言っても、みなさんタイヤのチューブで橇遊びです。チューブは沿道のレンタル屋さんで借りられます。

スキー場のあちらこちらで盛り上がっている宴会。
「こっち来て飲んでけ!」
「食ってけ!」
珍しいようでさほど珍しくもないムスリムの酔っ払いですが、アメリカと縁切りしたほどの原理主義国家とも思えば、お誘いを断るにも気を使います。

温泉街Sareynで、砂漠の汗を流しました。温泉の蒸気が町全体を覆い、翌朝、すべての樹木が凍りついて白い花が満開。

自然が生んだ白い芸術「イランの氷花」は、筆者が勝手に名付けたものですが、一見の価値あり。誰にも教えたくないマイ秘境です。

1500年間燃え続ける聖火

イランの観光地といえば、「中東の3P」と呼ばれる遺跡ペルセポリス。紀元前331年にアレキサンダー大王に破壊された世界遺産です。規模とロケーションにおいて、圧巻。青空の映えること。

また、世界最古の宗教はイランが発祥。ゾロアスター教です。聖地ヤズドにあるアータシュキャデ寺院の聖火は、1500年以上前から燃え続けています。眺めているだけで厄落としになりそうな、燃えるパワースポットです。

ゾロアスター教は鳥葬を行います。「沈黙の塔」と呼ばれる丘の上は、性別によって分かれ、下の写真は女性用です。

ゾロアスター教は、火を尊ぶ拝火教です。聖なる火を汚したくないために、死体を焼かず鳥に捧げます。ちなみにチベットの鳥葬は、死体を埋めても寒くて分解せず、焼こうにも木がもったない。経済的理由です。
世界的に有名な観光地でも、人だかりは我が家の軽自動車。常に誰かがボクらを写メってまして、芸能人の気持ちがわかるというものです。

たまには路上の車中泊

核査察を拒むイスラム原理主義という言葉に怯えて、ほとんどアウトドアライフを楽しまなかったイランですが、ペルセポリスの遺跡では、珍しく路上で車中泊。砂漠の夜は冷えます。

経費節減でカウチサーフィン

手持ちの現金が乏しくなりました。首都テヘランでは無料民泊の「カウチサーフィン」を利用します。アッラーの教えに、旅人には優しくしなさいというお言葉がありまして、3食昼寝デザート付きの6日間。ビールは一滴もないですが、ホストファミリーの親切に甘えまくりました。感謝。
イランの食事は、床です。たとえテーブルがあっても!

悪の枢軸国と呼ばれるイランですが、ホスピタルティは世界一です。
ユニークなのはトイレ。和式と洋式が並ぶ和洋混合。そのときの気分に合わせて、用を足せます。
よく見かけるのは、鼻に絆創膏を貼っている女性。整形手術で鼻を小さくした後です。
最悪なのは、首都テヘランのドライブマナー。3車線に5台が並びポールポジションを争います。腕に自信のある方は、武者修行にどうぞ。

【イラン・ドライブ情報】
ビザ:要(滞在期間30日間/ウズベキスタンの代理店で特急発行130US$)
車両関係の入国費:カルネを使用(無料)
アウトドアな宿泊先:町の駐車場/ホテルの駐車場
SIMカード:5GB30日間(450,000リアル/1,776円)
道路状況:舗装
最新国境情報:Web site「The Silk Road Travel Guide」https://caravanistan.com/border-crossings/
警察官:賄賂なし
ドライブマナー:首都テヘランは最悪です。

次回は、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方。アルメニアを訪ねます。

石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。

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