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    2018.03.27

    【ロングトレイル旅】ビバルマントラックを歩く「え、カヌーに乗れないって!?」

    アパラチアントレイル最終章 ビバルマントラックの旅 vol.022

    ウォールポールを出発して2日目に入ると、山を越え沿岸部のエリアに入っていきます。そして、カヌーで渡らなくてはいけないポイントの手前に、ピースフルベイという何とも素敵なネーミングのリゾート地があります。キャンプサイトもあるという情報だったので、僕はここで宿泊する予定を組んでいました。

    海岸線を歩き、久々に海を眺めながら歩くと、チェックポイントのシェルターがあったので中に入っていくと、高齢の男性が出発するところでした。
    いろいろと話をしていると、この先カヌーで渡る場所には、たくさんカヌーがあったと言っていました。ホッとして、今日はどこに泊まろうか決めかねていたので聞いてみると、おじいさんは、今日の朝から歩き始めたらしく、カヌーがあるのは昨日の話ではなく、前に通った時の話だというのです。

    なんだよ、と思いながらきっと彼と話していても、時間だけが過ぎると思い、先を急ぐことに。沿岸部から内陸に入ると、ドロドロで水はけの悪いルートになっていました。
    こうなると、濡れる確率が高くなるし、ブッシュを迂回しながら歩かなくてはなりません。イライラは募り、そして次第に僕は汚い言葉を吐き始めます。(こんなルートを歩くといつもです)
    そして、罵声を吐き切るころにようやくビーチへとルートに導かれるのでした。

    なんだかテアラロアに似ていますね!

    インド洋の海はブルーがきれいです!

    僕は、あまりビーチ歩きは好きではありません。最初の1時間くらいは気持ちがいいのですが、同じような景色と柔らかい砂地は歩きにくい。しかも、今回のように天候の悪い時に歩く、ビーチは最悪です。長いビーチを過ぎ、アスファルトの道が出て来るとその先がピースフル・ベイでした。

    予定より早く着いたので僕は少し悩んでいました。気軽に泊まれる値段の宿泊所はキャンプサイトしかありません。しかし、今日の天候は雨の予報です。
    どうせ、雨の中でテントを張らなければいけないのなら、カヌー乗り場まで行ってテントを張っても、リゾート地でテントを張っても大差がないように感じていました。
    とりあえず、水も尽きてきたのでショップに入って水を汲ませてもらおうと思うと、1ガロン(4リッター)で10ドルと言われたのです! そうだ、ここはリゾート地なのだ…。店内を物色すると、あまりの物価の高さに震え上がります。

    僕は諦めて、外にある飲料には使用できない水を大量に汲みました。(僕は浄水器を持っているので問題ないというわけ)

    こうなると、ますますここに泊まる気はなくなります。時計を見ると午後3時でした。ここから6km先がカヌー乗り場です。
    もし、カヌーがなくて渡れない場合は、ここまで戻ってヒッチハイクすることになります。
    とりあえず、先に進んでカヌー乗り場でカヌーがあれば渡ってテントを張ればいいし、カヌーが無ければ明日6kmを戻りヒッチハイクする。これがベストだと考えたのでした。

    僅かな光でも干します

    大量の水を背負い、重くなった荷物で小刻みなアップダウンは久々に堪えました。夕方5時、多少薄暗くなり始めた頃にカヌー乗り場に着きました。
    どうやらテントは張れそうな場所はありません。ヤバイなぁと思いながらカヌー置き場を見ると、60代半ばのおじさんの姿。そしてカヌーが1艘あったのです。

    おじさんは、僕を見るなり「僕はカヌーに乗ったことがないんだ。誰も来なくて2時間ここで待っていたんだ」と言います。
    え!? 乗れないでここまで歩いてきて何がしたいのだ? 聞いてみると「先に行ってもいいけど、もう一艘カヌーを持ってきて、ロープで結んで俺を渡らせてくれないか?」と言います。

    この時間は、干潮前のかなり強い引き潮で手こずりそうな予感があったのですが、「OK、トライしてみるよ」といって川へ漕ぎ出しました。
    さすがに注意しないと引き潮で引っ張られます。多少濡れるのは気にせずとりあえず200mほど先にあるカヌー置き場へたどり着きました。

    対岸のカヌー置き場には、いくつものカヌーが収められていました。僕はその中から1艘を引っ張り出し、パドルとライフジャケットを中に入れて、ロープで連結して戻りました。

    川の半分の地点までくると、川の上流からボートが来るのが見えました。そして、おじさんのいる方へと向かっていたのでした。

    どうやら釣りをしている人が僕を見つけて何かあったのかと思い、来てくれたようでした。

    僕は、カヌーを2艘、船着き場の倉庫に入れてから、釣り人のボートに乗り対岸まで送ってもらいました。

    おじさんと合流すると、随分感謝されました。どうやら僕がカヌーで渡って、そのまま行ってしまうのだと思っていたようです。
    「このまま平地があればそこで一緒にキャンプしよう、いいかな?」とおじさんが言うので、カヌー乗り場からの急な坂を登り、10分ほど進んだ草原でテントを張ることにしました。
    おじさんは何度も、「ありがとう」と言って感謝してくれました。そして「ビバルマン・トラックを歩き終えたら、今度はカヌーの練習をするよ」としみじみ語るのでした。

    おじさんと一緒にキャンプ。

    Anthocercis littoreaかな?

    つづく

     プロフィール

     

     

     

    【Profile】斉藤正史 

    山形県在住
    LONG TRAIL HIKER
    NPO法人山形ロングトレイル理事
    トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。

    ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
    山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail

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