南の島だけじゃない!身近な海でサンゴが見られるスポット4選

2020.08.18

私が撮影しました!
水中カメラマン
堀口和重
日本の海を中心に海洋生物やそれに携わる被写体を1年通して撮影。撮影した写真は新聞やダイビング雑誌などのメディアに掲載、セミナーなどのカメライベントなども開催。水中の生き物の面白い姿や、面白い生態を知ってもらいたいと、海と人の関わりをテーマに伝えていきます。

愛媛県愛南市、色とりどりのテーブルサンゴとソフトコーラルが見渡す限り続いている。  

海に浮かぶボートから身を乗り出して海を覗けば、透き通った海の中に広がる一面のサンゴの群生。

誰もが思い浮かぶ美しいサンゴの楽園は、実は遠い南の島だけに存在するものではありません。海に囲まれた日本列島には沖縄から九州、四国、伊豆や関東でも様々なサンゴが生息しています。いまだにあまり知られていない、美しく個性的なサンゴたちをほんの一部ご紹介いたします。 

八丈島 底土海水浴場(東京都・太平洋) 
防波堤に囲まれた港に一面のサンゴと泳ぐカメ

底土港のサンゴ群、歩いて海に入ってすぐの場所だが圧倒される。

八丈島の底土(そこど)海水浴場では、海水浴やシュノーケルでも「一面のサンゴ、その上を優雅に泳ぐカメ」という夢のような光景に出会えてしまいます。 

サンゴいといえば、ありのままの自然の場所にあるイメージかもしれませんが、現地のダイビングショップのお話しによると、この見渡す限りのサンゴの群生は昔からあるものではなく、港ができてから育ったものだそうです。港を造成した際に防波堤ができたことにより潮が流れすぎずサンゴの育成に適した環境となり、これだけの群生が生まれたというわけです。はからずもヒトが環境に手を加えたことでこの見事なサンゴが育まれたのですね。 

サンゴやカメを守るため、何より安全のためにもダイビングショップなどを利用し、レクチャーを受けて楽しみたい。

このサンゴ群は海水浴場にもなっている港の中という安定した環境ゆえに、ダイバーやシュノーケラーなどでにぎわいます。しかし港の中とはいえ、海という自然を相手にするということを忘れてはいけません。、潮流の急な変化に見舞われたり、そうとは知らずにサンゴの上に立ってサンゴを破壊してしまったり、危険な生物に刺されたりすることも考えられます。この夢のような環境を楽しむにためには現地の海をよく知るダイビングショップのガイドなど海のプロにシュノーケリングのレクチャーを受けることが大切です。 

「八丈島なんてすごく遠いじゃない」と思うかもしれませんが、羽田から飛行機でたった50分、ANAの定期便が1日3往復するという便利さ(身近さ)です。がんばれば日帰りでもできそうですが、週末1泊してワイルドな八丈島の自然と珊瑚に癒され、夜は島寿司など味わってゆったりとすごしたいですね。 

 

南さつま(鹿児島県) 大当海岸 
天然の環境にはぐぐまれたサンゴたち
 

島が風や波をさえぎり、サンゴの育成に適した環境となった。

南さつま市には県内最大級のサンゴの群生が広がっています。大当(おおと)海岸は透明度もよく、穏やかで安定感があり、ダイビングの講習にも使われるポイントです。 

なぜ大当海岸にはこれだけのサンゴが広がっているのでしょうか。 

大当海岸の沖合には「立羽島」と「上之島」の2つの島が北東の風をさえぎり、強烈な波とうねりからサンゴを守っているのです。 

これは先ほどの八丈島の底土海水浴場のサンゴが、港の防波堤が作られたことで育ったということの、自然環境での同じパターンといえます。風が島にさえぎられないエリアではサンゴは育っていないのだそうです。 

シコロサンゴ キャベツのような丸っこさ、枝状でもテーブル状でもないユニークな形だ。

鹿児島の本土で見られるたくさん種類のサンゴのなかでも、このシコロサンゴはキャベツを思わせる丸さと、葉っぱが波打ってつながるようなユニークな形状をしています。南国でも見られるサンゴですが、これだけの群生は他にはなく、世界の海を撮影する水中カメラマンも驚く貴重な光景だそうです。 

またシコロサンゴはいまだ繁殖行動など生態解明されていないミステリアスな珊瑚ですが、地元のダイビングショップが継続して観察を続けて近年産卵行動を目撃し、注目されています。産卵はとても幻想的で、サンゴから精子や卵がまるでドライアイスの白い煙のようにあふれ、水底を白く覆い、異世界に迷い込んだような不思議な光景になるそうです。 

海へ旅行というと南の島へ注目されてしまい、意外にもスルーされがちな鹿児島県本土に、 たくさんのサンゴがあるのですね。鹿児島は地鶏や黒豚などおいしい食材が多くゆっくり訪れたい場所でもあります。 

西伊豆 大瀬崎(静岡県・駿河湾) 
伊豆にもいる!カラフルなサンゴたち
 

オレンジ色が美しいキサンゴの一種。カニやウミウシなどが共生する。

多くのダイバーでにぎわう、西伊豆の大瀬崎(おおせざき)でもサンゴは親しまれています。 

伊豆のダイバーは初心者から何年も伊豆に通うベテランまで様々です。伊豆でダイビングのライセンスを取得するため講習を受けている初心者ダイバーの目標は「南国に旅してサンゴを見る」、だったりしますが、伊豆にもサンゴがあると知って驚かれることもあります。 

ニホンアワサンゴ 蛍光緑の触手がやわらかな花のようだ

熟練ダイバーの間で水中写真の撮影が盛んな西伊豆大瀬崎では、このカラフルなサンゴたちが絶好の被写体となっています。サンゴに共生しているカニや小さなハゼ、ウミウシなど生物主体の写真の背景色として、また花のような触手は海の中の意匠として、オリジナリティあふれる写真作品のモデルに人気があります。 

また、おぼんくらいの小さなテーブルサンゴもひとつだけですが存在しています。台風のしけで欠けたあと、ゆっくりではありますが欠けが回復していく様子は多くのダイバーに見守られ、愛されています。 

首都圏からも日帰り可能な大瀬崎、沼津港では深海魚を使ったお寿司や、海鮮丼など海の幸がうれしい小さな旅気分でサンゴに会うことができますね。 

愛南市(四国 愛媛県)
海中に揺れるサンゴのお花畑
 

エダサンゴにクロホシイシモチが群れる。群れる魚も南国とはひと味違った光景。

四国の愛媛県愛南市には、とてもユニークなサンゴのお花畑があります。 

テーブルサンゴやエダサンゴなど固いハードコーラルが見渡す限り広がる光景もいいですが、愛南のサンゴは少し様子が違います。サンゴが波のリズムに揺れて、お花畑に風がそよぐのを見るような不思議な光景なのです。愛南にはハードコーラルだけでなく、固い骨格を持たないソフトコーラルがたくさん生息しています。ハードコーラルの間にびっしりとソフトコーラルが敷き詰められていて、岩のように動かないハードコーラルと海水の動きに合わせて揺らめくソフトコーラルが見たことのない光景を生み出しているのです。 

エダサンゴとともにソフトコーラルがびっしり水底を覆っている。まるでサンゴのお花畑だ。

愛南の海は宇和海海域公園として整備されており、泳げない人でも海中展望船で気軽に海の中を見ることができます。地元で長年愛されている海域公園ですが、全国的にはまだあまり知られておらず、魚種の多さやユニークな珊瑚の群生がみられるダイビングスポットとしても今注目されつつあります。 

愛南では何といってもカツオがプチプライスで大満足のおいしさ、サンゴでもお食事でも海を満喫することができますね。 

サンゴは遠い南の海だけでなく、九州本土、四国、東京、伊豆など身近な海でにもいるということがお分かりいただけたでしょうか。 

私たちにとってサンゴは美しい海の象徴でもあり、温暖化による白化現象やオニヒトデに食べられたりか弱い印象もあるかもしれませんが、実際はたくましい生き物でもあり、自らの生きる環境を見極めて選び、暮らしています。 

ご紹介したサンゴたちはほんの一部ですが、みんな個性的で魅力的です。ゆっくり出かけられるようになったら、身近なサンゴたちに会いに行きたいですね。 

取材協力(順不同)
八丈島ダイビングショップアラベスク・大瀬館マリンサービス・DIVE愛南・ダイビングショップSB

取材/海の生物ライター 真木久美子
海の生物のたちの生活を伝える海の生物ライター。西伊豆大瀬崎のダイビングショップ「大瀬館マリンサービス」の現スタッフ、ダイビングインストラクター。顕微鏡ではなく、実際に潜って自分の眼で見るプランクトンの観察、撮影がライフワーク。ブログ「まいにち大瀬崎」。

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