日本の伝統燻製食「荒節」作りにトライ!

2020.11.01

日本の伝統食「鰹節」は、和を代表する燻製。燻乾する「荒節」と、カビを付けた「枯節」があるが、ここでは家でもできる荒節作りを紹介。

ライター ババリーナ裕子

かつて世界中を旅し本誌で連載。現在は房総半島にセルフビルドで家を建てて自然暮らし中。燻製や野草茶などナチュラルフード作りを楽しんでいる。

日本の伝統燻製食「荒節」作りにトライ!

日本の伝統的な燻製法のひとつに「燻乾」がある。食材の保存を最大の目的とし、薪で燻して材料の水分をとことん抜き乾燥させる方法。この燻乾法を用いた代表的な食品が「鰹節」だ。

カツオは古代から食用されてきた魚。当初は生食より干して食べることのほうが多かったようだ。カツオの語源も干すと堅くなることから「堅魚(かたうお)」→「鰹(かつお)」の文字ができたともいわれている。

カツオを燻乾した鰹節が文献に登場するのが室町時代。料理書『四条流庖丁書』『庖丁聞書』には調味に用いられた鰹節と、料理の上にパラパラとかけた花鰹(鰹節を花びらのように薄く削ったもの)が記載されている。

当時の鰹節は生切りしたカツオを煮てナラ材などで燻し魚の水分を除去。現在の荒節に近いものだった。江戸時代には鰹節は「勝男武士」と当てられ、縁起物として祝儀に用いられたり、日本料理の出汁として欠かせないものとなった。

ならば私もコロナ禍に疫病退散を願い、勝女武士として「荒節」作りにトライ! サクラの燻煙材で燻すこと1週間。カツオの色が黒ずみ鰹節特有のにおいが漂いはじめると、気持ちが高揚してくる。時間かかれど燻し待つこと、いと楽しかりし。でき上がれば濃厚なカツオの風味が目から鱗の旨さ也!

燻乾1週間にて「荒節」が完成。荒節は燻煙材のタールで黒光りするのが特徴だ。削るとフワフワとした花鰹に。感動!

〈材料〉
生カツオの切り身…1~2本
スモークウッド(サクラ、ナラ、クヌギなど)… 約15~20ブロック(1ブロック90分燃焼タイプ)
注)スモーカーの種類やスモークウッド のメーカーによって燻煙時間や日数が異なります。

〈作り方〉
①カツオの切り身を90度Cのお湯で約1時間茹でる。
②茹で終わったカツオを冷水に数分浸けて冷ます。
③カツオをスモーカーに入れて、60~80度Cの温燻で3時間、燻煙する。
④燻し終わったら上下ひっくり返し、常温でひと晩寝かす(高温多湿の時季は冷蔵庫に入れると良い)。
⑤❷~❹の工程を5日~7日繰り返せば荒節の完成。

1時間じっくり茹でたカツオを燻乾。茹でると生臭さがなくなり身が締まる。

約3時間燻し、上下をひっくり返して常温で寝かせる。この状態が「生節」。

燻煙、乾燥を繰り返して3日目。水分が抜けてカチカチに堅くなる。

荒節のスライス

荒節は燻す時間によって味も食感も変わる。短い時間(1~2日)で燻しカツオの水分を残した状態のもの(生節)を厚めにスライスすれば、ジャーキーのような食感に。

鰹節は江戸時代には薬としても利用。「胃腸を調え、筋力を壮し、歯牙を固くする」などの効能があるとされていた。

荒節の煎り酒

鰹節と梅干し、酒としょう油で作る『煎り酒』は、江戸時代の万能調味料。削った荒節で作ると、濃厚なカツオの香りと梅の酸味が絶妙にマッチして美味。どんな料理にもよく合い、ドレッシングとしても使える。

煎り酒は、鰹節10g、梅干し2個、日本酒200㎖、しょう油100㎖を鍋で5分煮詰めて濾せばでき上がり。

酒の肴にピッタリな貝焼き

貝殻に魚介類をのせて煎り酒をたらし、炭火で焼く「貝焼き」は、江戸時代の人気料理のひとつ。

江戸のソウルフード小丼

江戸庶民が食べていた伝統食「小丼」。鍋に荒節、大豆の水煮、干し鱈、水、煎り酒を入れて煮る。絶品!

伝統いぶり三種

いぶり豆腐

豆腐の燻製「いぶり豆腐」は、険しい山越えの旅などに持参した、古来の携帯食。水抜きした豆腐を燻製にすると、豆腐が滑らかに固まり、まるでチーズのような食感に。中華鍋でもできる手軽さも魅力。燻製初心者におすすめの一品だ。

〈材料〉
木綿豆腐…1丁
塩…10g
スモークチップ (サクラ、ヒッコリーなど)…約15g

〈作り方〉
①よく水切りした木綿豆腐に塩を多めにすり込む。
②❶をキッチンペーパーに包み、豆腐が崩れない程度に重石をして冷蔵庫で一晩水抜きする。
③❷を冷蔵庫から出したらさらに2時間ほど風乾燥させて水を抜く。
④中華鍋(スモーカーでも良い)の底にアルミホイルを敷き、スモークチップを入れて網をかぶせて蓋をして点火する。
⑤煙が出たら❸を網の上に乗せて約1時間温燻し、表面が茶色くなったらでき上がり。

水抜きする際はキッチンペーパーを繰り返し交換。豆腐の厚みが半分になるまで水抜きすると仕上がりが良い。

豆腐の水分量で燻製時間や仕上がり具合が変わる。茶色いスモーク色が豆腐全体についたらでき上がり。

いぶり漬け

いぶり漬けは、秋田県など雪深い地方の一般的な保存食。野菜を囲炉裏の上に吊るして燻煙乾燥させた後、ぬか床に漬ける漬物だ。近年は各家庭に囲炉裏がなくなり漬物屋が製造。干し大根を燻す「いぶりがっこ」として知られている。

〈材料〉
ニンジン…1本
ゴーヤ…1本
セロリ…1本
干した大根…1本
ぬか床…適量
スモークウッド (サクラ)…1ブロック(90分燃焼タイプ)

〈作り方〉
①野菜類をスモーカーに入れて2時間ほど温燻する。
②❶をぬか床に漬けて一晩寝かせば完成。

燻し終わったら適当な大きさに切って一晩ぬか床に漬ける。スモークされた野菜がぬかと相まって美味。

燻製にする野菜は、なるべく水分が少なめなものが向く。大根などは干して乾燥させてから燻すと良い。

いぶり笹かまぼこ

かまぼこは、古くは魚の練り物を細竹に巻いて炙って作っていた。その形が「蒲の穂」に似ているところから「蒲鉾」。囲炉裏で燻す「いぶり笹かまぼこ」は笹状に形成したもの。原料にはタラ類、イトヨリ、ベラ類などの白身魚を使う。

〈材料〉
白身魚(生ダラなど)…200g
スモークチップ(サクラなど)…適量
A 塩…小さじ1
    酒…大さじ1
    みりん…大さじ1
    片栗粉…大さじ2

〈作り方〉
①魚の皮と骨を取り除き、細かく包丁で刻む。
②❶とAをフードプロセッサーに入れて粘りが出るまで撹拌する。
③❷を笹かま状に成形し、竹串につける。
④鉄板やアルミホイルにスモークチップを乗せ、七輪にかけて煙をおこす。
⑤煙が出てきたら❸を温燻し、すり身の中まで火が通り弾力が出てきたら完成。

白身魚は細かく刻み、粘りが出るまで包丁でたたいてからフードプロセッサーかすり鉢でする。

※撮影/茶山 浩
(BE-PAL  2020年10月号より)

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