【超フレンドリーな悪の枢軸国、イラン】 第1回 経済制裁の波が我が家を襲う。

2018.06.03

軽キャンピングカーで、世界半周中の放浪夫婦です。
稚内からサハリン島へ渡り、シベリアの大地を西へ。モンゴルで道草し、中央アジアから中東へ入りました。
南アフリカの喜望峰を目指す、無期限無軌道ドライブです。
ガイドブックに載らない隠れ家的パワースポットで力を蓄え、絶景・奇景を見つけては、「マイ秘境」と呼んで喜んでいます。

イスラム教、原理主義、革命、核査察、経済制裁……

謎に満ちた独裁国家トルクメニスタンから、悪の枢軸国イランに入りました。
イスラム教だとか、しかも原理主義だとか、革命があったとか、核査察を拒否したとか、経済制裁を喰らっているとか、イラクと区別がつかないとか、何かときな臭いイランです。

イランの国境で初めて、カルネと呼ばれる書類を使いました。カルネは日本のJAFが発行する、自動車のための一時輸入許可証です。自動車の税関手続きが早くなり、車を持ち込むための税金がかかりません。

もはや字にすら見えない道路標識。

国境のあるコペトダグ山脈は、雪。吹雪にかき消されるモスクのアザーン。もはや文字にすら見えないペルシャ語の道路標識です。

どっち側通行なんですかね、右、左?
対向車に会うまで、センターラインを跨いで走ります。ちなみに公衆トイレの男女表記もペルシャ語で、イラスト類はありません。誰かが来るまで、じっと我慢です。

ペルシャ絨毯のような山々

イランのイメージは砂漠。灼熱の大地を覚悟していましたが、意外にも山、。禿山に砂糖をまぶしたような雪が積もっています。高級ペルシャ絨毯のような山肌です。

なんちゃってムスリム

イスラム教シーア派の聖地という恐れ多い町にたどり着き、少々ビビっています。我が家は神道、仏教、キリスト教のミックス派ですから、敬虔な原理主義の人々の目に触れぬよう気配を消します。Yukoはヒジャブの代わりにストールを頭に巻き、モスクではチャドルという布を身にまといます。前髪を見せると不良娘です、おばさんですけど。
Yukoが愛想の良い青年に握手を求めたところ、「拙者、ムスリムですから」と断るあたり、中央アジアや東南アジアとは、気合いが違います。

どうにもならない現金不足

イランは、西側諸国からの経済制裁中。西側陣営の銀行カードとクレジットカードが使えません。生活費は、手持ちの現金1,497US$だけです。この予算で30日間ドライブするとなると、ガソリン代と宿と食事で精一杯ですが、妻Yukoはトルコ石を買いまくると意気込んでいます。
「どこかでお金を下ろせませんかね?」
地元民に相談すると、「そんなの簡単だよ」と安請け合いしてくれますが、
・ネットでPayPalを使用
・カナダ経由でクレジットカード
どちらも手数料は2割強。高すぎて手が出ません。しかもたぶん違法。PayPalは以前、敵性国家へ送金した罪で制裁金を払ってますから。

闇両替えは死刑!

町中で米ドルを両替えしたところ、100US$が362万リアル。公式レートは301万リアルなので、61万リアル(20US$)の儲けです。たいへん嬉しいのですが、イランで闇両替えすると「死刑!(seek the death penalty)」、とのニュースを読んだことがありまして、この両替えは闇ですか?

トルコ石を求めて

Yukoの旅仕事は、天然石を蝋引き糸で編むマクラメデザイナーです。世界各地で天然石を買い求めています。イランは世界的に有名なトルコ石の産地なので、鉱山を探しました。

とある田舎町で、創業7,000年前と言われる老舗の鉱山を発見。7000年前!?(ホントですかね?) 観光地ではないので、従業員しかいません。ヘルメットを借りて坑道を歩きます。よくもまあ、見ず知らずの日本人を入れてくれたもので、その危機管理のなさ具合を評価して、マイ秘境に認定!

苔のように薄くへばり付いている、トルコ石の碧い原石。

家計は逼迫中ながらも商談中

マイ秘境「トルコ石の鉱山」に近い、名もなき村の石の加工屋へ。

家計が非常に逼迫していることは棚に置いといて、熱心に商談するYuko。

石屋のあと、紹介の紹介で普通の民家を訪ねました。商談相手は中学教師。先生の副業は、自宅の地下室で石を磨くことです。

偶然、塩の鉱山を発見。これまた観光地ではないので、従業員以外誰もいません。とくに入場料を取られることもなく、坑道見学。

見たこともないような巨大なショベルカーが走る、巨大な坑道です。塩を掻き出しています。塩をいただきました、というか拾いました。
イラン天然塩。この名もなき塩鉱山もマイ秘境です。

塩を拾った夜、町の駐車場で就寝。トイレは近所の公園へ。

これ、お酒じゃん

幹線道路のパーキングエリアで、見知らぬおじさんが
「あんた日本人か、こっち来い」
「いいもんば飲ましちゃるから」
車に連れ込まれました。
「これ、飲んでみろ、美味いから」
彼が手にしているのは、ラベルのないペットボトルに透明の液体。
酒じゃないの?
「酒なことあるもんか、イランでは酒はご法度や」
で、グイっと飲んだところ……
かーーーーーっ、ウォッカ!
がははははっと豪快に笑うおじさん。
「さあ、これを一気に齧れ」
渡されたのはトマト。
おじさん、思いっきり誰かの歯型が付いるんだけど……

敵国語で、ご挨拶

何かと悪い噂の先行するイランですが、イラン人は驚くほど愛想がいいです。我が家調べでは、世界一。アメリカに極道扱いされていますが、みなさん、合言葉のように「Welcome to Iran!」と挨拶してくれます、敵国語の英語で。
ボクらを写メる率も世界一。有名な遺跡よりも熱心に撮影してくれて、ホント恐縮です。

イスラム原理主義だの、悪の枢軸国だのと脅されてアウトドアライフはお休みしていますが、ドライブは最高です。

次回は、イラン・ドライブの続編をお届けします。

石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。

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