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各国で注目を集める新しいライディングスタイル「ライドアウト」を目撃した

2021.08.11

「サイクルモードライド大阪 2021」で取材した「ライドアウト」でのパフォーマンス。

「サイクルモードライド大阪 2021」で「ライドアウト」を取材した

派手なカラーリングのフレームに、ぶっといタイヤ。背中を地面に擦ってしまうほどのスタイルでウイリーをする自転車。これはアメリカを中心に世界中でムーヴメントの最中にある「ライドアウト」と呼ばれるライディングスタイルだ。

海外でのムーヴメントを受け、日本でもこの文化が熱を帯びてきている。若者を中心にSNSでその姿を見る機会も増えたが、今回は目の前で「ライドアウト」を拝むことができるということで、大阪は万博公園で開催された「サイクルモードライド大阪 2021」の特設会場へ出かけてみた。

グループライドの新しいスタイル

ライダーがウィリーのパフォーマンスを披露。大きなタイヤ、大きな自転車だけに迫力満点だ。

今回のお題目である「ライドアウト」は、マウンテンバイクやBMXなど、自転車の種類の呼称ではなく、みんなで集まって一緒に走る”グループライド”の種類を指す言葉だ。一般的なサイクリングのように、あらかじめ決まった日時やルートも決まっていないのが特徴で、誰かがSNSで「乗ろうぜ!」と声をかければ、それに応じたライダーたちがどこからともなく現われ、街中をイカしたスタイルで走り回るというもの。

自転車は「クルーザー」と呼ばれるBMXの車輪を大きくしたタイプの種類が多い。

ライダーたちが愛用しているバイクは、主に「クルーザー」と呼ばれるもので、レース用のBMX(タイヤサイズは20インチ)をそのまま26インチや29インチに拡大したようなものだ。クルーザーは、本来、BMXレースで使用するために開発されたが(BMXレースには「クルーザークラス」というものが存在している)、ストリートを舞台にする若者にとっては、街中を自由に闊歩できる自分たちのライドスタイルにマッチするパートナーとして選ばれた。

「SE BIKES」のクルーザーをDIYでモディファイ

使用される自転車は、「SE BIKE(エス・イー バイクス)」のものが大人気だ。

「ライドアウト」文化が広まるにつれ、クルーザー側にも独特な味付けがなされるようになった。フレームやフォークは、BMXレースの歴史とともに生まれ愛され続けているアメリカの「SE BIKES(エス・イー バイクス)」製のものが好まれている。ライドアウトのために、ブレーキは制動力が高い油圧ディスク製のものに換装。スピードを上げてウィリーするため、ギア比もやや重めに変更されているそうだ。

この日、ライダーが乗っていた自転車は、ディスクブレーキやペグが取り付けられ、ホイルはカラフルにデコレーションされていた。

また機能性のほか、ファッション性を高めるためにフレームに派手なカスタムが施されているものも多い。取材したライダーのクルーザーは、ホイルにDIYでカラーチューブを巻き付け、より目立つ仕様になっていたり、ハンドルにはゴムバンドが巻かれ、スタント的な動きがしやすいように工夫されていた。

自分でもできそうな気にさせる圧巻のパフォーマンスが観客を惹きつける

この日は、まさに夏日ともいえる炎天下。かなりの高温のなか、ライダーたちが様々なパフォーマンスで観客たちを盛り上げた。

さて実際「ライドアウト」を体現するライダーたちのパフォーマンスを、「サイクルモードライド大阪 2021」で目撃した。10代の若者たちが、大きな車体のクルーザーを軽々乗りこなし、ウィリーやサーフライド、ウィリーから片手離しで地面にタッチする技を披露してくれた。トリックに魅了された観客が賞賛の拍手を送ると、またそれに応えてライダーたちのパフォーマンスに熱がこもっていった。

二人乗りでウィリー。頑丈なクルーザーならではのトリックだ。今回はサイクルモード会場内に特設された安全なコースで実施された。

誤解を恐れずにいえば、彼らが繰り出すトリックはBMXやスケートボードなどのそれと比べれば、危険度や難易度がさほど高いわけではない。ジャンプなど特殊な技術に頼らず、しかし発想力で周囲を驚かせることができる不思議なスタイルだ。フロントタイヤをリフトアップさせるウィリーは、スポーツサイクルを手にした人なら一度は挑戦したことがある身近な技。ショーを観た人たちが、そのあと試乗車として用意されたクルーザーに跨り、ウィリーに挑戦する姿もみられた。

これぞ自転車の新しいムーヴメント

若者たちがこのムーヴメントを牽引しているが、実際の「ライドアウト」に参加しているライダーの幅はとても広いそうだ。

では、なぜこの「ライドアウト」が海外で人気のアクティビティーとなっていったのだろうか?サイクリングやマウンテンバイクなど、自転車に関わるモノゴトが世間に浸透する過程には、大きく2つのポイントがある。

ひとつは「普及」のためのものだ。健康のために自転車が認知されたり、自転車で走りやすい道が整備されるなど、世間にじわじわと広がっていくもの。この20年を振り返ると、自転車を楽しむための環境がすさまじいスピードで充実しことがことがあげられる。

そしてもうひとつは、世間を席巻するような「ムーヴメント」だ。例えば1990年代後半には派手なダウンヒル用MTBを街中で乗り回すスタイルが流行り、雑誌などを通してその文化が広く知られた。その後、2000年代中盤には、競輪などで使用するピストバイクが流行した。これは海外のメッセンジャー文化に影響を受けたものだが、各地で独自のスタイルが形成され、爆発的に自転車愛好家を増やしていった。ピストブームはノーブレーキによる道路交通法などネガティブな印象も少なくないが、それをきっかけで自転車に熱中することになった人も多く、まさにムーヴメントだったといえる。

年齢やスキルにとらわれないライディングのニュースタイル

ウィリーをしながら片手を地面に擦る豪快なトリック。

後者の「ムーヴメント」は、常に情熱的で既成のスタイルに囚われない人によりストリートで生まれた。

「ライドアウト」も、まさにこの流れを汲むものであり、海外の都市では自然発生的にライダーが街中をジャックしている。先に述べたように、大きなジャンプや難易度の高いトリックが求められるBMXや、高度な身体能力を要するロードサイクリングなどに比べて、「自分でもできそう!」と思わせるところがポイントだ。

集まったライダーと彼らの自転車。これからこのムーヴメントがどんどん大きなものになっていくことを期待したい。

ジャンプはできなくても、ウィリーくらいなら練習すれば私だって……そんな気持ちをあと押ししてくれるような新しいジャンルともいえる「ライドアウト」。年齢や環境にとらわれることなく、誰でも気軽に自分たちのスタイルで遊べるライドとして、さらなる注目を集めそうだ。

私が書きました!
CX / BMXアスリート
腰山雅大
自転車歴20年の社会人アスリート。BMXパーク競技を経て泥の中をレースするシクロクロスへ参戦、ボーダーレスな自転車競技活動を続けている。All-City Cyclesの本国契約ライダーとして国内トップカテゴリーを走る一方、本職では自動車整備業に従事。乗り物のほかコーヒー、銭湯、カメラにアウトドアなど、趣味は常に多彩でオーバーフロー気味。https://www.instagram.com/vhlg/
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