「LOGナイフ」は刃物の老舗が作った日本でいちばん素朴なナイフ
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    2020.06.01

    「LOGナイフ」は刃物の老舗が作った日本でいちばん素朴なナイフ

    私が書きました!
    アウトドアライター
    斎藤純平
    キャンプに関する記事を中心に執筆しているアウトドアライター。趣味はキャンプ・国内旅行・バイク・スキューバダイビング。温泉や神社を巡るのも好きで、そこそこ詳しい自信あり。どこにも定住しない自由気ままな生活を目指すため、ライターとして活動している。

    同じものがふたつとない自分だけのナイフ

    自然の中に溶け込むようなデザイン。昭和61年に生まれてから現在まで続く伝統的な形です。

    ナイフは数あるキャンプ用品の中でも、もっとも重要なアイテムのひとつ。だからこそこだわりを持って選ぶ必要があります。

    そのこだわりとは刃物としての性能や使い勝手など人それぞれではありますが、そのナイフに対して愛着を持って何年も使い続けるためには、「見た目」というのも大切な要素です。

    「別に使うわけじゃないけれど、なんとなく手にとってしまう。」

    そう感じることができるナイフこそ、その人にとってより身近な存在であり、最高の相棒となってくれると私は思います。

    そこで今回はその「見た目」に関して強烈な個性を持っているナイフをご紹介します。それがこの、LOGナイフです。

    ごらんの通り、ハンドルは木の枝の形をそのまま活かして作られています。そのすべてが違った表情を持っており、同じものは存在しません。自らの手にとったLOGナイフ、それは正真正銘、世界でその場所にしか存在しない1本なのです。

    一見するとそこらへんから拾ってきて簡単に作ったナイフのように感じるかもしれませんが、このLOGナイフは刃物の町として世界的に有名な大阪府堺市の老舗刃物メーカー、「芦刃物製作所」が長年作り続けている逸品。

    その親しみやすい姿の中に、ずっと使い続けたくなるようなナイフとしての魅力が詰まっています。

    LOGナイフを製造している「芦刃物製作所」とは

    「LOG」の意味は丸太。その文字の下に、芦刃物製作所が作ったことを示す「ASHI」の名が刻まれています。

    芦刃物製作所(あしはものせいさくしょ)は1948年に創業した大阪府堺市の会社。紀州街道沿いの目立たない場所にひっそりと建っています。料理に使用する包丁をメインに製作しており、昭和63年に製作を開始した「銀香(ぎんが)」シリーズは、今もプロの料理人たちが買いに訪れている名品です。

    日本国内でとくに有名な刃物の産地というと、岐阜県の関市、新潟県の燕三条、そして芦刃物製作所がある大阪府の堺市の3つ。製法や刃物自体の特徴など、その土地ごとに違った伝統を持っています。

    堺市の刃物づくりの特徴は、「プロが使うような高品質で高性能な包丁を、鍛冶・研ぎ・柄付けの3行程を分業して製作する」というもの。分業して製作するとは、それぞれの工程を別の会社が行うことであり、つまりは1本の包丁を作るのにいくつかの会社が携わっているということです。

    その点、芦刃物製作所はそのすべての工程を自社で一貫して製作しているのが特徴です。数人の職人たちが金属を叩いて鍛える鍛造から、鋭利な刃をつける研ぎ、柄を取り付けて完成させるところまでを1本1本手作業で行っています。

    また芦刃物製作所には、そこで働く職人が空いた時間を利用し、自分が考えたオリジナルの刃物を作ることが許されているという面白い気風があります。

    伝統を守りながらも新しいものを受け入れる精神があったからこそ、LOGナイフのようなユニークなナイフが生まれたのかもしれません。

    LOGナイフの特徴

    LOGナイフはただ見た目が変わっているだけのナイフではありません。アウトドアでの使い勝手においてもなかなか優秀です。

    ブレードとハンドルの2つに分けて、より詳しくLOGナイフの特徴を見ていきましょう。

    ブレード

    包丁づくりで磨き上げた技術が注ぎ込まれているブレード。産毛も剃れる切れ味です。

    ブレードの長さは85mmで厚さが2mmとなっており、これはオピネルのNo.8と同等。キャンプでの料理やちょっとしたブッシュクラフトにも使いやすく、オールマイティに使えるちょうど良いサイズです。

    素材は包丁にも使われているモリブデン鋼。サビに強く切れ味に優れ、研ぎ直しもしやすいのが特徴です。あまりナイフに慣れていない方でも、少し研ぐだけで簡単に鋭い切れ味を復活させることができます。

    ブレードの形状は、刃の背中側が先端に向かうにつれて下がっていくドロップポイント。細かい作業がしやすく、何をするにも扱いやすいタイプです。見た目においてもハンドルとのバランスが良く、ナイフ全体の雰囲気にマッチした形状であると感じます。

    ハンドル

    このハンドルの素材はミズナラだそうです。芦刃物製作所に持って行って直接聞きました。

    ログハウスからヒントを得て名付けられたというLOGナイフ。もっとも印象的なのがこの天然木を使用したハンドルです。削られて内部の木目があらわになっている部分と、樹皮が残っている部分の対比が、自然のものならではの美しさを感じさせます。

    木の枝をただそのまま使用しているのではなく、内側までしっかりと樹脂加工が施されているので耐久性も十分。水濡れにも強くなっています。

    私が持っているLOGナイフのハンドルは比較的太めのものですが、このほかに細めのハンドルや普通の太さのハンドルもあります。木の曲がりや節もそれぞれの個性として残してあり、使用する木の種類も様々。

    そのため「人間工学に基づいて設計された〜」などとうたっている樹脂製のハンドルほどホールド感には優れていませんが、手のひらにかすかに熱が伝わってくるような握り心地の良さがあります。

    実際に触れて初めてわかるこの温もりこそ、LOGナイフが持っている1番の魅力です。

    LOGナイフは実用品としても観賞用としてもおすすめ

    威圧感がなく、部屋に飾っておいてもオシャレなナイフです。

    木の個性をそのまま活かして作られたLOGナイフは、使い勝手に優れているだけでなく、見て楽しめるナイフでもあります。そのため実際に使わなくとも、観賞用やコレクションとしてもおすすめです。

    芦刃物製作所の公式サイトでは、現在在庫として持っているLOGナイフの写真がたくさん掲載されています。ほかにどのようなものがあるのか見てみたい方は、そちらをチェックするといいでしょう。

    自然を愛するキャンプ好きな方なら、きっと一度手に取ってみたくなるはずです。

    芦刃物製作所 LOGナイフ

    全長:約195mm
    刃長:約85mm
    刃厚:約2.0mm
    素材:モリブデン鋼、天然木

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