時間やルートに縛られず、自分たちのペースで旅ができるのは素敵ですが、何カ月、何年と続けるとなると、話は少し変わってきます。毎日の観光や移動を繰り返す疲れ、非日常的な車の生活、車のメンテナンス、旅の費用など、長く旅をするからこそ直面する課題も少なくありません。
1年ほどのバンライフに挑戦する人はいても、それ以上の期間、車内で暮らしながら旅を続けていくと疲れやストレスがたまり、無理なく過ごすための工夫が必要になってきます。
では、どうすれば旅を楽しみながら、長く続けることができるのでしょうか?
今回は、夫婦で3年半以上、ヨーロッパをキャンピングカーで旅してきた経験から、長期バンライフを無理なく続けるための6つの秘訣をご紹介します。これから車中泊旅を始めたい方や、もっと自由な旅を楽しみたい方に、私たちの経験が少しでも参考になればうれしいです。
CONTENTS
気づけば1300日以上! 夫婦のヨーロッパ・キャンピングカー旅

私たち夫婦は2023年にヨーロッパでキャンピングカー旅をスタート。気づけば旅は3年半以上になり、これまでに訪れた国は32カ国になりました。
旅のスタイルは、リモートワークをしながら行き先やスケジュールを細かく決めすぎず、自由気ままなスタイル。観光名所を巡るだけでなく、季節の移り変わりを感じたり、気に入った土地でのんびり過ごしたりと、自分たちのペースでヨーロッパを旅しています。そもそものきっかけは、インターネットで見たほかのバンライファーたちへの憧れでした。自由なライフスタイルに魅力を感じ、「私たちもやってみたい!」と思ったのが始まりです。
しかし、他のバンライファーたちを見ていると、1年ほどで旅を終える人が多いです。長い旅に憧れて始めても、移動の疲れや車での暮らしにストレスを感じたり、日々の生活を維持するのが大変になったりすることもあるからです。そのため、私たち自身も最初から何年も旅を続けるつもりではなく、まずは実際にやってみよう、という気持ちでスタートしました。
ところがなんと、気づけば3年半以上も旅を中断することなく、キャンピングカー暮らしを続けられているのです。不思議なことに、始めたころは特別だった車での非日常的な生活も、いつの間にか私たちにとっての「当たり前の日常」に。車内で仕事をし、食事を作り、眠る。次はどこへ行こうかと考え、車で国境を越えて新しい土地に出会う。そんな毎日が、すっかり暮らしの一部になっています。
もちろん、長く旅を続けるには、楽しさだけでは乗り越えられないこともあります。それでも、3年半以上の旅を通して、自分たちに合った工夫や計画を取り入れることが、無理なく旅を楽しみ続けるための大切なポイントだと実感してきました。
秘訣①急がない、移動しすぎない、ゆっくりペースの旅

バンライフというと、毎日違う場所で目覚め、次々と新しい景色に出会う暮らしをイメージする人も多いのではないでしょうか?でも、実際にキャンピングカーで暮らしてみると、毎日の移動は意外と大変。車中泊できそうな場所やルートを調べ、荷物を片づけて出発。到着してからも食事、お風呂の準備や仕事など、やることはたくさんあり、気づいたらあっという間に時間は過ぎていたこともあります。移動を繰り返すうちに、観光や景色を楽しむ余裕がなくなり、旅そのものに疲れてしまうことも。実際に、移動の疲れや旅の忙しさから、バンライフを終える人たちもたくさん見てきました。
その点、私たちは旅を始めたころから、比較的ゆっくりしたペース。気に入った場所があれば数日から1週間ほど滞在し、車内で仕事をしたり、洗濯や買い物を済ませたり、何もせずのんびり過ごしたりしています。

毎日観光をしなくても、旅は十分に楽しめます。むしろ、移動しない日があるからこそ、心にも時間にも余裕が生まれるもの。気に入った場所ではゆっくり過ごし、急いで次へ向かわない。 そんな自分たちのペースを大切にすることが、長い旅を無理なく続ける秘訣です。
秘訣②観光地を全部巡らない。観光よりも暮らしを楽しむバンライフ

ヨーロッパには、一度は訪れてみたい観光地がたくさんあります。旅をしていると、あそこにも行きたい、ここも見てみたいと、行きたい場所がどんどん増えていくものです。有名な観光地を訪れるのも楽しみのひとつですが、「あれも行かなきゃ!これも見なきゃ」と予定を詰め込みすぎると、観光すること自体がタスクのようになってしまい、疲れることもあります。
私たちが大切にしているのは、観光地を巡ることだけにこだわらず、その土地での暮らしも楽しむこと。キャンピングカーは単なる移動手段ではなく、旅をしながら暮らすための拠点でもあります。バンライフの魅力は、観光客として訪れるだけでなく、その土地に少し暮らしてみるような感覚を味わえること。小さな田舎町のスーパーで見慣れない食材を探したり、地元の人たちと交流したり、特に目的もなく街を歩いてみたり。そんな何気ない時間にも、その土地ならではの発見があります。

私たちが大切にしているのは、どれだけ多くの場所を訪れたかより、その土地でどんな時間を過ごし、どんな体験ができたかということ。観光だけでは味わえない、その場所ならではの日常を楽しむことも、長い旅の醍醐味です。
秘訣③見栄えより快適さ! 車内で心地よく過ごせる装備を選ぶ

ネットでバンライフについて調べていると、おしゃれに整えられた車内や、インテリアにこだわった素敵なバンの写真をたくさん目にします。私たちも旅を始める前は、そんなおしゃれなバンライフに憧れていました。
しかし、実際にキャンピングカーでの暮らしを始めてみると、見た目のおしゃれさ以上に大切なのは、快適さと使い勝手のよさだと気づきました。キャンピングカーは、旅先で過ごす時間だけでなく、仕事をしたり、食事を作ったり、眠ったりと、毎日の生活の拠点になる場所。だからこそ、見た目が素敵でも使いにくかったり、収納が少なくて物があふれたりすると、日々の小さなストレスにつながります。

もちろん、車内を自分好みに整える楽しさも、バンライフの魅力のひとつ。大切なのは、見栄えだけを優先するのではなく、自分たちの暮らしに合った装備やアイテムを選ぶことです。カタチ、重さ、収納性、使い勝手、必要性などをしっかり考えてアイテムや装備を選ぶようにしています。
長く暮らす場所だからこそ、毎日使うものは使いやすく、車内では心地よく過ごせることを大切に。実際に使いながら、自分たちの生活に合うものを残し、合わないものを見直していく。見た目と実用性のバランスを考えながら、自分たちにとって快適な空間をつくることが、長期バンライフを無理なく続ける秘訣です。
秘訣④ 季節を追いかける。暑さ寒さを避けて移動する

季節・気温を気にしながらのルート選びが長期車中泊で一番重要になってきます。キャンピングカーは外との距離が近い分、外気温の影響をもろに受けてしまいます。夏の車内はサウナ並みに暑くなり、冬は氷点下まで冷え込み、装備が凍結するなどの悪影響が起きることもあります。
私たちも旅を開始した1年目はそこまで気候を意識しておらず、冬にアルプス山脈を訪れたときには、車が雪に覆われ、水回りが凍結して水道が使えなくなるトラブルに。寒さの厳しさを身をもって知りました。
夏もまた、猛暑で夜眠れないほどだったり、仕事で使うパソコンが暑さでオーバーヒートしたり。「このまま車での暮らしを続けられるのだろうか……」と不安になるほどでした。
このような気温が厳しい環境でのトラブルを経験してからは、旅先を決めるとき、行きたい場所だけでなく、その時期の気候や気温も考慮して旅先を決めるようになりました。

夏は比較的涼しい北部や山岳地帯へ、冬は温暖な南部や海辺へ。季節に合わせて移動することで、暑さや寒さによるストレスが減り、車内でも快適に過ごせるようになりました。長期バンライフでは、行きたい場所を目指すだけでなく、心地よく過ごせる気候を追いかけるという考え方も大切だと感じています。
秘訣⑤ 車の異変を見逃さない。日々の点検で大きなトラブルを防ぐ

キャンピングカーは、旅の相棒であると同時に、私たちの暮らしを支える大切な家でもあります。だからこそ、長く旅を続けるうえで欠かせないのが、車の状態を日頃から気にかけることです。
毎日の移動や走行中の振動によって、車には少しずつ負担がかかります。もし旅先で故障してしまうと、整備工場とのやり取りに言葉の壁があったり、特殊な構造のために必要な部品がすぐに見つからなかったり。修理に何日もかかったり、高額な出費になったりと思いがけない負担が生じる可能性もあります。

せっかくの旅も、車のトラブルが続けば楽しむ余裕がなくなってしまいます。そんな事態をできるだけ防ぐために、私たちが心がけているのは、車の小さな変化を見逃さないこと。
定期的なメンテナンスや点検は必ず行うようにし、いつもと違う音や振動がないか、日頃から気にかけるようにしています。故障してから慌てて対処するのではなく、普段から車の状態を把握し、必要なメンテナンスを行うこと。すべてのトラブルを防げるわけではありませんが、早めに異変に気づくことで、大きな故障を避けられる可能性もあります。
秘訣⑥旅のお金を把握する。無理なく続けるための予算管理

長期のバンライフを続けるうえで、避けて通れないのがお金の問題です。旅を始めたばかりのころは、行きたい場所や楽しみたいことに目が向きますが、旅が長くなるほど、日々の生活費や車の維持費も気になってきます。
燃料代や観光費、駐車料金、食費、通信費、保険料、修理費など、旅の出費は意外と多いもの。ひとつひとつは少額でも、積み重なると大きな金額になり、気づかないうちに予算をオーバーして、旅を続けるのが難しくなってしまうこともあります。
そこで大切なのが、何にどれくらいお金を使っているのかを把握し、無理なく調整できる部分を見つけることです。

私たちの場合、特に出費が大きいのが燃料費と食費なので、そこを抑えるようにしています。外食は月に1回程度にして、自炊を中心に。また、移動距離が長くなれば、そのぶん燃料費もかさみます。秘訣①で紹介した「移動しすぎず、ゆっくり旅をする」ことも、実は節約につながる大切なポイントです。しかし、せっかくの旅なので我慢して細かく制限するのではなく、どこにお金をかけたいのか、どこを調整できるのかを考えることが大切です。
そして、忘れてはいけないのが、車の修理や予想外の出費に備えておくこと。長期の車旅では、どれだけ気をつけていても、突然の出費が発生する可能性があります。普段の生活費とは別に、ある程度の予備費を確保しておくと、いざというときにも落ち着いて対応しやすくなります。
予算管理の目的は、ただ節約することではなく、お金の不安を減らし、安心して旅を楽しめる状態をつくることです。自分たちの収入や暮らし方に合った予算を考え、無理のないペースで旅を続けていけるようにしています。
1300日以上の旅で学んだこと。長く続ける秘訣は、失敗の中にあった
1300日以上ヨーロッパをキャンピングカーで旅してきて思うのは、長く続けるための特別な正解があるわけではない、ということです。
旅を始めた頃はわからないことだらけで、実際にやってみて初めて気づいたこともあれば、失敗したからこそ、次はどうすればいいのか考えられたこともあります。大切なのは、最初から完璧な計画を立てることではなく、自分たちに合った旅のスタイルを少しずつ見つけていくこと。疲れたら休み、予定が変わったら柔軟に対応し、うまくいかなかったことは次に生かす。そんな積み重ねが、結果的に長い旅につながっていくのだと思います。
今回は私たちの実体験から、長期バンライフを楽しむために大切だと感じた6つの秘訣をご紹介しました。これからバンライフをを始めたい方や、いつか海外を自由に巡ってみたい方にとって、最初の一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。





