2015年9月20日、福島県南会津町会津山村道場で開催された『大宴会in南会津』が開催された。まず到着して驚いたのが、古い木造建築の入り口。
どうやら実際に百年前までは農業訓練学校「会津山村道場」として使用されていて、その廃校を利用しているそうだ。
入場ゲートをくぐると『BE-PAL』本誌にも度々登場する「火起こし名人」大西さんのワークショップを発見。
何をしているのかと覗いてみると、「火起こし」ワークショップと、そのわきで『ドラム缶風呂&足湯』。不思議な出店&ワークショップが多いみたいだ。
さらに進んでいくと頭に花飾りをつけた「女の子」を発見。
会場のいたるところに花飾りの女子がいる。なんだこれはと場内を進んでいくと、森の美容室を発見。店名は「森デコ」。
森で見つけた草花や花屋さんなどで手に入るモノを使用し、頭に生けて、素敵にデコレーション! 動植物たちのおかげで生きている事を、 変身する体験を通して感じてもらうのがコンセプトだという。しかし珍しい出店が多い。
「南郷刺し子」という地元の伝統芸能の手芸ワークショップ、「わたなべ木工」さんでは、木のスプーン作りをその場で体験できるというワークショップが並んでいる。気になるワークショップばかりで目移りしてしまうが、肝心の音楽を聴こうとステージへ。
アン・サリーさんの美しい歌声が聴こえる。
ステージ前に着くと・・・
ね、寝ているー。
せっかくなので今回のフェス「大宴会in南会津」実行委員長の五十嵐大輔さんに話を聞いてみた。ステージ前で人が寝ていたり、ゆるいですけれど、どんなフェスなんですか?
「参加人数が毎年、400名~700名くらいで、いい感じに空いてるフェスです。赤字は嫌ですけど、人が集り過ぎるのも困るんです(笑)。村おこしではないですけど、地元を盛り上げたいと思って有志の素人で始めました。けれども今年で6年目、なんとかやっています。あ、地元のいいものを紹介することもテーマの一つですかね」
確かにワークショップや出店を見てきましたけど、珍しいものが多いですね。
これは特に珍しいぞっていうのはありますか?
「うーん……舞台、ですかね。舞台も、地元のものなんです」
え!舞台ですか。見たところよくある仮設の舞台に見えますけども。
「歌舞伎の舞台を使わせてもらっていて、ゼロから作るより、効率的ですよ」
え?えええ?
「この地域は、元々、平家の落人集落があって、歌舞伎を上演する風習があって、その舞台を毎年借りているんです。」
なるほど。
実行委員長のおススメで、廃校体育館で開催されるというワークショップ「まねぶ会」へ向かう。「まねぶ会」とは先人の知恵に学ぶ会のことで、「古いことを学んで、新しいことを知る」ための講座を定期的に開いて、大宴会に出張講座で来ていきているらしい。
今年は歌舞伎の舞台と地元のカルチャーについて。
うーん先人の知恵か。すごい勉強になる。何が勉強になるかと言うと「歌舞伎の話」から地域の「夜這い」の歴史まで教えてくれるのだ。百年位前までは、薄暗がりの祭りに参加する男女は、参加する時点でもう夜の営みがオッケーだったそうだ。野外フェスなのかというディープな講座である。ちなみ去年は「またぎ(狩人)」の作法についてのトークショーだったらしい。
日が暮れてきたので、あわててステージに戻ると「吾妻光良トリオ+早﨑」の演奏が、気持ちいいジャズにのって、あっという言う間にエンディング。
帰り道にはろうそくの炎で作られた「宴」の文字が浮かぶ。
音楽とワークショップを楽しめる、かなり上質なフェスに大満足の一日でした。
大宴会in南会津2015HP
http://daienkai.org/