
本記事では各方法の具体的な手順や注意点を解説。
さらに、撥水が戻らないケースや補修の選択肢にも触れ、長く使い続けるための実践的な対策を紹介します。
ゴアテックスの撥水は復活させられる!
ゴアテックス製品の表面に施されているDWR(耐久撥水)加工は、使用や洗濯を繰り返すうちに効果が低下します。
しかし、これはDWR加工の劣化ではなく、機能の一時的な低下であることが多く、正しい方法で熱を加えることで撥水性を復活させることができます。
新品のような状態に戻るわけではありませんが、雨をしっかりはじく程度まで撥水性を回復できます。以下で、詳しい復活方法を紹介します。
ゴアテックスの撥水は熱で復活させよう
DWR加工は、熱を加えることで再活性化されます。熱の加え方は乾燥機・アイロン・ドライヤーの3種類がありますが、どの方法でも共通して大切なのは「洗濯して汚れを落とすこと」「高温にしすぎないこと」「圧をかけすぎないこと」です。
洗濯後、表面がきれいになった状態で、適切に熱を加えると、撥水機能がよみがえるのです。
ゴアテックスの撥水を復活させる方法【乾燥機】
手順① 洗濯して汚れを落とす
まずは洗濯表示に従い、中性洗剤を使用して洗濯しましょう。表面についた皮脂などの汚れをしっかりと落としておかないと、撥水性が復活しないためです。
なお、柔軟剤や漂白剤は撥水性を損なうため、使用しないように注意しましょう。
手順② 低温設定で乾燥機にかける
低温(40〜60度C)で約20分ほど乾燥機にかけます。高温設定にすると生地が傷む恐れがあるため、温度設定に注意してください。
手順③ 冷ます前に確認する
乾燥後はすぐに撥水効果を確認しましょう。水をかけて玉になれば復活成功。なっていなければ再度軽く乾燥機にかけてみてください。
ゴアテックスの撥水を復活させる方法【アイロン】

手順① 洗濯後、脱水して干す
先に洗濯しておき、軽く脱水してから自然乾燥または陰干しします。アイロンをかけるときは、生地がしっかり乾いている必要があるからです。
手順② 当て布を用意し、低温でプレス
直接アイロンを当てるのはNGです。ゴアテックスのジャケットなどは化繊素材のため、溶けてしまう恐れがあります。
タオルなどを当て布として使い、スチームなしの低温(110〜130度C)でやさしくプレスします。
手順③ 数秒ずつ全体にあてていく
一箇所に長時間アイロンを当てず、数秒ずつずらして全体に熱を加えていきます。これで撥水加工が再活性化し、撥水性が復活するはずです!
ゴアテックスの撥水を復活させる方法【ドライヤー】

手順① 洗濯・乾燥後に使用
洗濯して乾燥させた状態のゴアテックス製品を用意します。表面に汚れが残っていると撥水効果は戻りません。
手順② 15〜20cm離して温風を当てる
ドライヤーを中温に設定し、生地から15〜20cm離してゆっくり全体に温風を当てていきます。一箇所に温風を当て続けると、生地が溶ける恐れがあるため注意してください。
手順③ 水をかけて効果を確認
温風を当て終わったら、水を垂らして撥水性が戻っているか確認します。水が玉のように表面を流れていけば、撥水効果が復活しています。
ゴアテックス対応の防水加工アイテムを使ってみる
熱による撥水性の復活は、あくまで応急処置です。時間が許せば、撥水剤が含まれた洗剤で洗濯をしたり、表面に防水スプレーを散布したりして、しっかりと撥水性を復活させましょう。
防水スプレーを購入する際には、1点注意点があります。
防水スプレーには「フッ素系」と「シリコン系」がありますが、ゴアテックスに使用する際は、必ず「フッ素系」を選んでください。「シリコン系」を使ってしまうと、撥水性は復活するものの、ゴアテックスのメリットである透湿性を損なってしまうからです。
また、使用前には必ず洗濯し、乾いた状態で使用しましょう。乾燥機やアイロンと併用するとより効果的に仕上がります。
ゴアテックスの撥水が復活させられないケース
ケース①透湿防水フィルム自体のダメージ

これまで、「ゴアテックスの撥水性」についてお伝えしてきましたが、厳密に伝えるならば、ゴアテックスは防水性のあるフィルムで、撥水性はありません。
ゴアテックスのジャケットなどは、一般的に撥水性のあるナイロンなどでゴアテックスのフィルムを挟み込んだ三層構造でできています。つまり、耐久撥水加工などが施されている撥水性がある素材は、ゴアテックスの外側にある素材ということです。
そのため、表面の素材の撥水性が生きていても、内側のゴアテックスのフィルムが劣化していたり、表面素材と剥離していたりする場合は、撥水加工の復活では対応できないのです。
この状態では、防水性自体が失われており、撥水の有無にかかわらず雨水が染みてきます。
フィルムの剥離が見られる場合は修理不可と判断し、新品への買い替えを検討しましょう。
ケース②表面素材の劣化や損傷がある場合
長年の使用で生地が擦り切れていたり、耐久撥水加工や表面素材そのものが劣化していたりしていると、熱を加えても撥水性は回復しません。
このような場合は熱を加えても効果が薄いため、買い替えや専門業者による再加工サービスを検討するのがベストです。
ケース③ シーム部分が剥がれている場合

ゴアテックス製品の縫い目には、内側から水の侵入を防ぐためにシームテープが貼られています。
このシームテープが剥がれてしまうと、縫い目から水が染み込むようになり、撥水性や防水性が大きく損なわれます。熱処理や撥水スプレーでは改善できないため、シームテープの再接着や貼り替えが必要です。
専用の補修キットを使う方法もありますが、確実な補修を求めるならメーカー修理や専門業者への依頼をおすすめします。
ゴアテックスの撥水加工を復活!手順を守って対応しよう
ゴアテックスの撥水性能は、正しい洗濯と熱処理によって、ある程度まで復活させることが可能です。
乾燥機・アイロン・ドライヤーのいずれも汚れを落とし、高温を避け、ムラなく熱を伝えるといった、基本的な手順を守ることが重要です。
ただし、生地そのものが劣化している場合には復活は難しいため、状態を見極めながら判断しましょう。定期的なケアでゴアテックス製品を長く快適に使い続けてください。