
シースナイフっていったい何?

シースナイフとは、どのようなナイフを指すのでしょうか。まずは、言葉の意味やシースナイフの種類を解説します。
鞘に収納するナイフ
シース(sheath)とはナイフのケースを意味する言葉で、日本語でいうと『鞘』です。つまりシースナイフとは、鞘に収納するタイプのナイフのことです。
シースナイフは、刃と持ち手に埋まっているタング(芯)が一体となっており、大きな力を加えても壊れにくいタフさを持ち合わせています。シースナイフの用途は、バトニング(薪割り)や料理などさまざまです。
刃とタングが固定されている点から、折り畳みタイプの『フォールディングナイフ』に対して、『フィクスド(固定)ナイフ』と呼ばれることもあります。
シースナイフの種類
一口にシースナイフといってもさまざまなものがあり、大きく次の3種類に分けられます。
- ハンティングナイフ
- タクティカルナイフ
- サバイバルナイフ
ハンティングナイフは、狩りに使うためのナイフで、動物の肉を削ぐのを得意としています。ときには動物と戦うための武器としても使うため、頑丈で高品質な素材で作られるのが一般的です。
タクティカルナイフは、軍用ナイフで、『ミリタリーナイフ』と呼ばれることもあります。護身やロープの切断などに使いやすく、携帯性も高いのが特徴です。
サバイバルナイフは、文字通りサバイバルのためのナイフで、掘ったり火打ちに使ったりと、さまざまな用途に使えるよう形状が工夫されています。刃の背がノコギリ状になっているものが多く、先端は刺しやすいように尖っていることがほとんどです。
シースナイフの選び方

数あるシースナイフの中から、自分に合ったものを選ぶには、用途や素材、使いやすさに注目するのがポイントです。以下、それぞれの具体的な注目ポイントを解説します。
用途に合った種類を選ぶ
用途によって、選ぶべき刃の作りや形状、長さが変わります。キャンプでのシースナイフの用途といえば、料理かブッシュクラフトの二択になるでしょう。
料理で使うのであれば、刃をネジや接着剤で持ち手に固定している『ナロータング』がおすすめです。ナロータングは、フルタングに比べ軽量で扱いやすく、繊細な手つきが要求される料理に向いています。料理では切れ味が重要なため、刃の形状は刃先が細い『ホローグラインド』が適しています。
ブッシュクラフトで使う場合は、薪割りで使っても壊れにくいフルタングが最適です。刃の形状は、木材に食い込みやすい『フラットグラインド』か『スカンジグラインド』を選ぶとよいでしょう。
いずれの用途でも、使いやすさを重視するなら、刃の長さは10cm以上が望ましいといえます。
素材で選ぶ
シースナイフの素材は、主にステンレスとカーボンスチール(炭素鋼)の2種類があります。ステンレスの強みは、なんといってもさびに強いところです。小まめに手入れをする自信のない人や、最初の1本を探している初心者におすすめです。
カーボンスチールはさびやすいものの、砥石で研げばさびを落としやすく、手入れを怠らなければ長く使えます。ステンレス製よりも価格もリーズナブルな傾向にあるので、手に取りやすい1本を探している人にぴったりです。
ハンドルの使いやすさで選ぶ
ハンドルの素材には、天然素材と人口素材の2種類があります。天然素材には木材や鹿の角、貝殻などが使われており、価格は高い傾向があります。しかし、使い込むほどに味が出るので、愛着を持って使いたい人におすすめです。
人口素材はリーズナブルな上に、水ぬれによる劣化に強いため、長く使いたい人や使い勝手を重視する人に向いています。
ただし、ナイフの扱いは危険が伴うため、素材よりも実際の使いやすさの方が重要です。可能であれば実際に手に取り、握ったときのフィット感や力の入れやすさ、滑りにくさをチェックするとよいでしょう。
キャンプにおすすめのシースナイフ

ここでは、キャンプシーンにおすすめのシースナイフを六つ紹介します。見た目に高級感のある製品も多いため、自分が使っていて気分の上がるものを選ぶのもよいでしょう。
ヘレ「ヘレナイフ ディディガルガル 14C28N」
ノルウェーのメーカーで、職人が1本1本手作業で仕上げているナイフです。刃渡りは約12.9cmと長めで、ブレードはフルタング構造になっており、ブッシュクラフトでもハードに使える耐久性を誇ります。
ブレードの素材はステンレスを採用し、天候や手入れの手間を気にせず使えるのもポイントです。ハンドルには木材が使われ、見た目の高級感があるだけでなく、握りやすさにも配慮されています。
- 商品名:ヘレ「ヘレナイフ ディディガルガル 14C28N」
- 公式サイト:商品はこちら

トヨクニ「アウトドアナイフMASANO D2・G10」
切れ味のよさと、耐食性に優れている点が魅力のナイフです。そのタフさからバトニングに使えるだけでなく、背面には切れ込みが入っており、付属のファイヤースターターを使って火おこしもできます。
ケースには2種類のベルトループが付いており、太いベルトでも装着できるタイプAと、装着のしやすさが売りのタイプBを、用途によって使い分けられます。
- 商品名:トヨクニ「アウトドアナイフMASANO D2・G10」
- 公式サイト:商品はこちら

バックナイフ「102 ウッズマン」
手の形にハンドルがフィットするように設計されており、料理に向いているナイフです。指がブレードに当たらないようブロックするフィンガーガードがあるため、ぬれた手でも安全に使えます。
刃渡りは約9.3cmと少々小ぶりですが、その分細かい作業に適しており、小骨を取り除くといった繊細な作業もしやすいでしょう。レザー製のシースも高級感があり、玄人キャンパーの雰囲気を出せる1本です。
- 商品名:バックナイフ「102 ウッズマン」
- 公式サイト:商品はこちら

モキ「バーグ(コンベックスグラインド)」
刃先に向かってふくらんだカーブを描く、コンベックスグラインド仕様のナイフです。
コンベックスグラインドは切れ味の鋭さが特徴で、鉈や斧などで採用される形状です。そのため、フェザースティック作りやバトニングに適しており、初心者でもストレスなく使いやすくなっています。
ブレードには硬度の高い鋼を採用し、ラミネート加工により高い耐摩耗性・耐食性を実現しています。ハンドルは紙や布、合板を固めた『マイカルタ』でできており、木材とは違った風合いを楽しめるでしょう。
- 商品名:モキ「バーグ(コンベックスグラインド)」
- 公式サイト:商品はこちら

モーラナイフ「コンパニオン ヘビーデューティー」
スウェーデン王室御用達のブランドが提供するナイフです。ステンレス製で初心者でも扱いやすいにもかかわらず、最初の1本としては手に取りやすい価格も実現しています。
刃渡りは約10.4cmとちょうどよい長さで、ブッシュクラフトや料理など、幅広いシーンで活躍できます。ハンドルの形状は人間工学に基づき、手が小さくても握りやすいよう設計されており、使う人を選びません。
ハンドルの先にはフィンガーガードが付いているので、安全に使えます。
- 商品名:モーラナイフ「コンパニオン ヘビーデューティー」
- 公式サイト:商品はこちら

ベルモント「BM-164 フィールドナイフ-倭-yamato」
ハンドル部分のパラコードが目を引くナイフです。忍者が使う短刀をほうふつとさせる見た目で、ギミック感のあるシースもキャンパー心をくすぐります。
刃には高強度のステンレスを採用し、フルタング構造に仕上げられているため、本体重量は約90gと軽量ながらバトニングにも対応する耐久性を持っています。
シースのループには別売りのファイヤースターターを収納可能で、ブッシュクラフトに挑戦したい人におすすめです。
- 商品名:ベルモント「BM-164 フィールドナイフ-倭-yamato」
- 公式サイト:商品はこちら

シースナイフの手入れの仕方

シースナイフを使ってみたいと思っていても、しっかりと手入れができる自信がなく、ためらっている人もいるかもしれません。シースナイフの保管方法と研ぎ方を解説するので、お気に入りのナイフを長く使うためのメンテナンス方法を押さえておきましょう。
使い終わった後の保管方法
シースナイフを使い終わったら、まずはぬるま湯と中性洗剤で汚れを落とし、しっかりと乾燥させましょう。水分は、さびの原因になります。
その後、さび対策としてツバキ油やオリーブオイルを塗り、乾燥した場所で保管します。ステンレスの場合は、油の塗布はしなくても問題ありません。
また、シースを定期的に掃除し、しっかり乾燥させることも重要です。特に木・革の天然素材のシースは、使用後に水分を含んでいる場合があり、そのままナイフを収納するとせっかくのさび対策が無駄になってしまいます。
なお、樹脂・ナイロンなどでできたシースであれば、ナイフを収納したまま保管してもよいかもしれませんが、基本的にはシースとナイフは別々に保管するのが理想です。
シースナイフの研ぎ方
シースナイフの研ぎ方の基本は、包丁を研ぐときと同じです。まずは砥石と霧吹き、タオルを用意しましょう。
砥石は、粗めのもの(#1000前後)と細かいもの(#3000前後)の2種類を用意します。ただし、慣れるまでは粗めのものだけでも問題ありません。
ナイフを研ぐときは、霧吹きで砥石をぬらし、刃の部分を45度の角度で砥石に当てて『刃先→中心部→刃元』の順番に研いでいきます。
表が終わったら裏を研ぎ、細かい砥石も使うなら同じ作業を繰り返します。研ぎ終わったらタオルで水分を拭き取り、上述の方法で保管しましょう。
まとめ

シースナイフは、調理・バトニング・ブッシュクラフトなど、多彩な用途で活躍するキャンプの万能ツールです。シースナイフを使いこなせれば、キャンプ玄人として周りから一目置かれるでしょう。
ナイフを選ぶ際は、刃の素材や形状・タング構造・ハンドルの握りやすさに注目するのがポイントです。乾燥した場所での保管や定期的な研磨など、適切な手入れを続ければ長く使えます。
自分が使いたいと思った1本を手に取り、キャンプスキルのレベルアップを目指しましょう。