土の研究者・藤井一至さんに聞く「未知の醍醐味」とは【動画公開中】
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    2025.02.06

    土の研究者・藤井一至さんに聞く「未知の醍醐味」とは【動画公開中】

    土の研究者・藤井一至さんに聞く「未知の醍醐味」とは【動画公開中】

    探検家・関野吉晴さんが、時代に風穴を開けるような「現代の冒険者たち」に会いに行き、徹底的に話を訊き、現代における冒険の存在意義を問い直す──BE-PAL2月号掲載の連載第43回は、土の研究者 藤井一至さんです。

    ファイナル・フロンティア(地球最後の謎)と呼ばれる土壌を研究するため、スコップ片手に北極圏から熱帯雨林まで歩き回る藤井さんのモチベーションとは? 関野さんが迫ります。

    関野吉晴/せきの・よしはる
    1949年東京都生まれ。探検家、医師、武蔵野美術大学名誉教授(文化人類学)。一橋大学在学中に探検部を創設し、アマゾン川源流などでの長期滞在、「グレートジャーニー」、日本列島にやってきた人びとのルートを辿る「新グレートジャーニー」などの探検を行なう。

    藤井一至/ふじい・かずみち
    1981年富山県生まれ。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。スコップ片手に世界中・日本中を飛び回り、土の成り立ちと持続的な利用方法を研究している。著書に、『土と生命の46億年史』(講談社ブルーバックス)、『大地の五億年』(ヤマケイ文庫)、『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)など。

    原点は「岩が土になるなんて意味が分からない」という純粋な疑問、現場に行くと未知と向き合える

    関野 研究者として一番の喜びは何ですか?

    藤井 バナナの病害と土壌の関係の研究をフィリピンでやっているのですが、コロナ禍でフィリピンに行けない時期が続きました。仕方がないので、現地の人にゴルフのカップ(穴)を開ける器械で土のサンプルを取ってもらいました。

    取った土は分析センターに送ってもらい、そこから私のところに全データ、数字だけが届いたんです。そのデータを見て思いました。「そうか、僕は現地に行ってバナナを見ながら土を掘りたかったんだ」。研究者ですから論文を書くことも大事ですが、それだけではなかったのだとコロナ禍で気付かされました。

    関野 やっぱり藤井さんはスコップ1本持って掘りに行くというまさにフィールドワーカーという感じですね。

    藤井 そうですね。フィールドワークの最大の魅力は、新しい場所に行って土を掘ろうというときに、スコップを入れる瞬間のワクワクです。まだ何がその下にあるのか想像がつかず、何があるんだろうとワクワクしながらスコップを地面に入れます。

    そんなワクワクが、僕の中にはいまだにあります。それは学生のころからずっと続いている土壌調査の醍醐味で、そのプロセスが楽しすぎてやめられません。

    関野 未知への誘惑。まさに冒険の醍醐味ですね。

    藤井 そう、未知なる土に惹かれ続けているんです。研究の過程で、土は食文化にどのように関わっているんだろうとか、どうして私たちは今こんなに食糧問題を抱えてしまっているんだろうとか、興味や疑問が広がるばかりです。

    でもなんといっても原点は、「岩ってどうやって土になったんだろう」です。僕からすると、それってチンパンジーとの共通祖先からヒトが生まれましたといわれるのと同じぐらい意味がわからない。四足歩行のサルがだんだん立ち上がってヒトになる図を見てなんとなく納得した気になっているけれど、実際に進化の過程は見ていないじゃないですか。

    納得するためには、そのプロセスがあったと自分を騙していると思うんです。それと同じで、石ころが土になるというのを実際に見たことはないわけですから、石から土までをなんとなく並べてみても、じつはいまだにしっくりきていないんです。

    たとえばアフリカやブラジルでは、青い岩から赤い土ができています。何でそんなことが起こるのか? 今でも疑問で、そういうわからないことを現場でずっと調べているときが最高の時間ですね。ここの土の元の岩かなっていう石ころから、少しずつ崩れていっているのを全部並べてニコニコしているときが一番楽しいです。

     

    公式YouTubeで対談の一部を配信中!

    以下の動画で、BE-PAL誌面に掲載しきれなかったこぼれ話をお楽しみください。

     

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