
イグルーは雪のブロックを積んで、かまくらは雪を固めながら
「雪は究極の自然素材。特性を知り、コツさえつかめば、誰もが自由自在に加工できます」。そう語るのは、百基以上のイグルーを作ってきた、くりこま高原自然学校の塚原俊也さん。今回は1家族で作るという想定で、作り方を教わった。
「中に子供2人が入ることを考えたら、イグルーもかまくらも、内径1.5m、高さ1.5mくらいがいいですね。このサイズなら大人の手が届くので、天井部の処理もしやすいですから」
雪質は踏みしめたときにベショベショでなければOK。踏み固めるのに時間はかかるが、パウダースノーでも問題ない。
雪のブロックをらせん状に積んで作るイグルーは、雪を踏み固めたあと、高さ20㎝のブロックが作れればOK。隙間ができないよう、スノーソーで形を微調整しながら積むのがコツだ。
かまくらは、雪の山をスコップで叩いてしっかり固めながら、少しずつ山を大きくするのがセオリー。雪が少なくても、雪をかき集めて作れる手軽さもいい。
「内径1.5mほどなら、どちらも約3時間で完成しますが、大きなものを作る場合は、イグルーのほうが短時間でできます」
雪を運んだり、デコレーションしたりと、イグルーもかまくらも家族で楽しめる雪遊び。今冬は世界にひとつだけの“雪の別荘”を作ってみませんか?
教えてくれた人
くりこま高原自然学校 塚原俊也さん

ぜひ 作ってみて くださいね!
1980年生まれ。栗駒山域および北上川流域で冒険キャンプなど、自然体験活動の企画・運営・指導にあたる。青森で開催される「イグルーマイスター育成講座」の講師としても活躍。
イグルーコース
イヌイットが暮らした冬の仮設の住まい、イグルー。初めて作る人は、内径・高さともに約1.5mのサイズ感を目指そう!
用意するもの
スノーソー(なければ刃渡り30㎝前後の折りたたみ式枝切用のこぎり)、農業用スコップ(三角型、角型)、ロープ、ストック、巻き尺、バケツ、防水&防寒用手袋、日焼け止め、サングラス、脚立(なくてもOK)。
START!地面を踏み固める
間隔を詰めて横並びになり、3m四方の雪面を踏み固める。凸凹がなくなり、表面が平らになるまで、しっかりと踏み固めよう。
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雪のブロックを切り出す
サイズの目安は幅35㎝×奥行25㎝×高さ20㎝。逆台形になるように刃を入れると、切り出しやすい。70個ほど作ろう。
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場所を決める
イグルーを作る場所を決め、ストックとひもで直径1.5mの円を描く。中心がわかるよう
に、ストックは刺したままにしておこう。
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1段目を積む
雪のブロックをまるく並べていく。ブロックの左右をカットして台形にし、円の中心を意識して置いていくときれいにできる。
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傾斜をつける
1段目を積み終わったら、入り口の場所を決める。入り口の反対側の位置にある3ブロック分を緩やかに削って傾斜をつけておく。
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らせん状に積み上げる
ブロックをレンガ積みでらせん状に積み上げていく。2段目から中心へ向かって傾くように角度をつけて置いていく。
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中に入って作業する
中に人が入り、先頭のブロックを手で押さえながら、隣に置くブロックと接する面をスノーソーで整えて、置いていこう。
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天井部を作る
天井部のブロックは少し小さめに。最後は穴の形に合わせたブロックを作り、コルクの栓をはめるように蓋をする。内側から穴を開けて入り口を作る。隙間は雪で補修。
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完成!
子供の遊び場にぴったり! 雪が深い場合は、真ん中をまるく残して周囲を掘り下げると、テーブルが完成。空間もより広くなる。
かまくらコース
雪を集めて山を作り、表面をスコップで固めながら山を大きくしていく過程はワクワク感たっぷり!しっかり固めれば雨にも強いんですよ〜。
雪の山を固める
スノーダンプで雪をかき集めて小山を作る。表面をスコップで叩いて固めながら、山を大きくする。ひと晩寝かせるとしっかり固まる。
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棒をガイドに中をくりぬく
天井に1か所、前後左右斜めなど、適所に長さ30㎝の棒を刺す。入り口を決めたら穴をあけてくりぬく。棒の先端が見えたら完了。
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完成!
耳をつけたり、装飾を施したり、かまくら全体をオブジェにすると楽しい。内部の壁を削って作った棚にキャンドルを灯すのもいい。
雪遊び基地づくりの3か条
1 作れる場所かどうか事前に確認
2 雪の加工は簡単!自由な発想で楽しもう
3 遊んだ後は必ず更地に戻そう
※構成/松村由美子 イラスト/キムコ玉川
(BE-PAL 2025年2月号より)