とうとうヒマラヤツーリングも最終日!…絶不調の中8時間かけて下山…【39歳女芸人・橋爪ヨウコの爆夢旅その13】
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    2024.11.08

    とうとうヒマラヤツーリングも最終日!…絶不調の中8時間かけて下山…【39歳女芸人・橋爪ヨウコの爆夢旅その13】

    とうとうヒマラヤツーリングも最終日!…絶不調の中8時間かけて下山…【39歳女芸人・橋爪ヨウコの爆夢旅その13】
    どうも。私の名は橋爪ヨウコ39歳。身体は熟れてきているが、女としても芸人としてもなかなか売れずにいるお笑い芸人だ。

    大型バイクに乗り始めて数年。ふと「でけぇ山を走りたい!」と思い立ち、様々なトラブルに見舞われながらもインドにあるヒマラヤ山脈を走った記録を綴ったこの〝爆夢旅“もついにツーリング最終日!

    今から2週間ほど前に、インドのデリーにある「インディラ・ガンジー国際空港」に到着。トランジットのため空港内のホテルに1泊し、翌日に標高3650mの「レー」に飛行機で移動してすぐ高山病を発症…。

    せっかくヒマラヤ山脈に来ているというのに最大の目的である「ヒマラヤ山脈をバイクで走る事が出来ないかもしれない」と不甲斐なさで枕を濡らしたあの日が懐かしい…。

    何度も高山病になりながらも走り続けたこの10日間。道の概念を忘れさせるほどのオフロードに何十回も転倒。その度に立ち上がり!映画「ロッキー」も顔負けのタフな精神力で走り続けてきた。

    そんなヒマラヤツーリングが今日で終わってしまう。うぅ…寂しすぎる…。

    最終日にも襲ってきた…あの病

    チームでヒマラヤツーリング…もとうとう最終日!

    「まだまだヒマラヤ山脈を走っていたい!」と願うばかりだが、始まりがあれば終わりがある。

    人生最大のミッションと言っても過言じゃない「ヒマラヤツーリング」に悔いが残らないようにと、様々な想いを胸に走り出そうとするが、今日はどうもすこぶる体調が悪い…。

    「もういいよ!何回具合が悪くなれば気が済むんだよ!」

    と言いたいところだが、全く予測出来ないタイミングでなるのが、高山病。高山病の予防薬″ダイヤモックス″を毎日飲んで、水分も充分なほどに摂取し睡眠もしっかり取っていたが、最終日の朝。最大級の体調不良になってしまったのである。

    「ツーリング最終日に高山病になってしまうなんて……」

    しかも今日は5300m越えの峠を越えて、スタート地点である「レー」のホテルまで帰らなくてはいけない。

    「あぁ…このままテントで寝ていたい…」

    そう思うほどに体は絶不調だったが、下山しないという選択肢はない。そして今日走らないと、次いつヒマラヤ山脈を走ることが出来るのか。もしかしたら一生走る事が出来ないかもしれない。

    体調不良でも「最終日を思う存分楽しもう!」と重い身体を無理矢理起こし、バイクに乗り込んだ。

    今までバイクに乗れば体調不良でも、意外と気にならない事が多かった。なので「今回もバイクに乗ればきっと大丈夫!!」……と意気込んでバイクに跨ったのだが、バイクに乗っていてもめちゃくちゃ体調が悪い!!

    ううう、何度経験してもつらい。

    「ヘルメットのシールドを開けて吐きながら走行してみようかな。バイクに乗ったマーライオンとして、インドで一躍有名になれるかも」と意味不明な思考になってしまうほど、限界ギリギリの体調。

    ぎゅっと口を一文字にし、口から何かしらが出ないように耐えながら走る。脳内でロッキーの曲を繰り返し流しながら、己を奮い立たせる。私はこれから敵うはずもない世界のヒマラヤ山脈に挑むのだ。

    「タタター♪タターター♪タタータ♪タターター♪タタタータタタタータ♪タタタータタタータター♪」

    無謀な挑戦もロッキーのテーマのお陰で、なんとか持ち堪える事が出来た。走行を始めて3時間。無事5300mの峠越えを達成した。

    最高地点のタングラングラ峠に着いた~!

    長時間標高の高い場所にいると、より体調不良になるので急いで下山。少し休憩することにした。ゴールまであと5時間ほど走るらしい。

    「もう無理かもしれない…」とフラフラしながら近くにいたドクターに救いを求める。

    「あの…薬は無いですか?」
    『これ飲めば大丈夫よ!!』
    「えっと…これ何ですか…?」

    と緑色の紙パックに入った飲み物を渡された。「え?薬じゃないの?」と聞きたかったが、とりあえず飲んでみる。

    薬…じゃなくて緑パッケージのドリンクを渡された。これは一体…。

    「何じゃこりゃーーーーー!!」

    私の中に眠る(?)松田優作が目覚めてしまうほど、その飲み物はとてつもなく不味かった。

    思わず「これ飲んでいいやつ?」と聞いてみると『お腹に効く。パワーも出るから飲みなさい』と言われ、鼻をつまみながら何とか全部飲み干した。

    あとで聞いてみると、コリアンダーやいろいろな調味料が入ったヤギのミルクらしき物だった。原材料が分かり「口にしていいものだったのか…」と少しホッとした。(口にしちゃいけないぐらい、不味かったけど)

    そろそろ出発。体調は変わらずだが、マズミルクのおかげで最後まで走り切れそうな予感がした。

    あと少しやー!

    またもや脳内でロッキーのテーマをリピートで流し「あと少し!あと少し!」とヒマラヤの神に祈りながら、運転すること5時間!なんとか「レー」のホテルに到着した。

    思わず叫んだ。

    「エイドリアーーン!!」

    あ、間違えた!

    「やっと着いたーー!!」

    愛のため、15ラウンドを戦い抜いた無名のボクサー、ロッキーのように…気づいたら拳を天高く突き上げていた。

    不屈の闘志でリングに立ち続けた……あ、間違えた、ヒマラヤを走り続けた私。

    何度も5000m越えを経験し、転倒も沢山したけれどその度に立ち上がり、やっとの想いでゴール出来たのである!!

    頑張ったよ、私!

    「本当に良かった…ゴール出来た…」とホッとしたのも束の間、張り詰めていた糸がプツンと切れたように体調が悪化。完全に無理をしていたのである。

    ツーリング最終日の余韻にたっぷり浸りたいところだったが、そのままホテルのベットにダウン。

    そして、何故だか涙が止まらなくなった。

    「そうか…私ずっと緊張してたんだなぁ」

    ヒマラヤツーリングを走り始めて、今まで経験した事がない事ばかり起きて、楽しい事が沢山あった。けれどその反面「このまま死ぬかもしれない」「生きなきゃ」と、生と死を幾度となく感じる事もあった。

    日本で暮らしていた時に意識していなかった「とにかく一生懸命に生きる」という事を、全力でしていた10日間。とにかく前向きに!前向きに!と考えないようにしていたが「ヒマラヤの大自然に飲み込まれないように必死に戦っていたんだな」と気づいて、涙が止まらなくなった。

    よくぞ、無事に走ってこられたな。感謝!

    「ケガなく帰れる」というそんな当たり前の事が当たり前に感じなくなるほど、雄大で偉大なヒマラヤ山脈。体調不良でも最後まで走れて本当に良かったなとしみじみ思った。

    とにかくケガなく走り切れた10日間。ツアーのメンバーが2名ほど骨折してしまったりと過酷旅ではあったが、私は蚊に刺されたぐらいでヒマラヤツーリングを終える事が出来た。ツアーメンバーのインド人に「ヨウコは、タフな身体と精神力!親に感謝しなさい!」と言われて、とても嬉しかった。

    お父さん!お母さん!

    頑丈に産んでくれてありがとう!
    そして次回!

    ついに!!

    ヒマラヤツーリングコラム最終回!!

    この後4日ほどインドに滞在するのだが、このあともハプニング続きだとは誰が予想出来ただろうか…。

    果たして、無事帰国出来るのか!?

    次回もお楽しみに! 

    橋爪 ヨウコさん

    こじらせハスキー

    1985年生まれ、群馬県出身。お笑いコンビ「こじらせハスキー」として活動中。10代からずっと夢だった大型バイク(スポーツスターXL883N)に乗り、 バイクYouTube【ようこそ!づめちゃんねる】にてツーリング動画を定期的にUP中。雑誌BE-PAL連載「お笑い清掃団が行く」の団員。

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