TOYOTA ROCK FESTIVALはピンチをチャンスに変えられるか | イベント 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2018.02.22

    TOYOTA ROCK FESTIVALはピンチをチャンスに変えられるか

    毎年10月に愛知県豊田市で開催されている唯一無二のフリーフェス TOYOTA ROCK FESTIVAL が、いまピンチに陥っている。

    2017年の開催時に接近した台風による影響で大きな負債を抱えてしまったからだ。悪天候によるイベントの中止?よくある話しかもしれない。でも、ちょっと耳を傾けて欲しい。

    TOYOTA ROCK FESTIVAL(以下、トヨロック)は10年間フリーフェスとして開催されてきた入場無料の野外音楽フェスティバルだ。トヨロックを知った数年前、”トヨタ”と聞き、すぐに自動車メーカーを思い浮かべた。

    会場もトヨタスタジアム(実際にはスタジアムの外周をおもに利用している)とあって「TOYOTAのイベントか。入場無料とはスゴいな~」はじめはそんな風に思っていた。しかし、実際は地元豊田市の有志若者を中心に運営されている手作りのイベント。TOYOTAというより豊田なのだった。

    地元でなにか面白いことがしたい、好きな音楽で盛り上がりたい。そうした思いからはじまったイベントだった。それが10年も続いてきたこと自体、奇跡に近いような気もする。

    トヨロックは”地元の祭り”といった雰囲気で、面白そうなこと、やってみたいことをぜんぶ詰め込んだおもちゃ箱のような実験室のようなイベント。音楽ステージを中心に置きながらも、パフォーマーが大玉にのっていたり、バイクが空中を飛んでいたり。来場者を飽きさせない、とことん楽しめる仕掛けがいたるところに溢れている。

    それを入場者からお金を取らずにやろうというのだから、大変だ。ビールの売上(だからアルコールの持ち込みはご遠慮!なのだよ!)で経費をまかなおうとか、駐車場やキャンプ場利用は有料だとか、さまざまな工夫を凝らして入場無料を続けている。

    老若男女、誰もがふらりと立ち寄れて笑顔になって帰っていく。近所の人でも遠方の人でも、その気になったら誰でもが参加できる状況を作り上げているトヨロックはスゴいと思う。こういうのを地域貢献というのだろう。

    開催前夜は、いつも夜遅くまで灯りがついていて、施工作業を少人数でコツコツやっている。できるところはお金を掛けず、自分たちで手作り。「間に合うのかな~」なんて思っていると、翌朝にはちゃんと完成している。

    昨今人気の「フェス」は、その多くが興行を生業とするプロが主催運営している。ここ数年はミュージシャンが発起人となったり、個人の手作りであったり、有料無料、その形態は多様化してきた。春を過ぎれば毎週末、全国のどこかでフェスは行われていると言ってもおかしくない。

    夏フェスなどとひとくくりで呼ばれることも多いが、台風シーズンの初秋以降も開催が目白押し。だから主催者は天気予報を日々チェック、台風が発生すると気が気でない。

    幸いにもトヨロックはいつも天候に恵まれてきた。仕込み中に雨が降っても、初日には太陽がヒョッコリ。でも昨年ばかりは勝手が違った。巨大な台風が接近した。

    台風21号は昨年上陸したなかでも大きく、事前に中止発表するイベントも少なくなかった。やるかやらないか、どこまでできるのか…きっと悩みに悩んだことだろう。

    幸い、大事故やけが人は出なかったようだが、残ったのは負債だ。中止にした分、出店料やキャンプサイト利用料の払い戻しが発生。その負債をなんとかしようと、関係者を中心に「SAVE トヨロック」がスタートしている。

    来月3月17日には「SAVE トヨロックGIG!!!」の開催。トヨロックゆかりのアーティストが多数出演予定で、トヨロックではいつもトリを飾っている豊田出身のTURTLE ISLANDなどが出演する。まもなくクラウドファンディングも開始する予定だという。

    そして、トヨロックとは関係の深い静岡のフェス、頂-ITADAKI-も動きだしFRIENDS SAVE FRIENDS(FSF)」というプロジェクトでTシャツを販売。総利益を全額寄付の予定だ。

    このTシャツの売上は、同じく台風21号で大きな被害を受けた白浜フラワーパーク キャンプ場にもおくられる。同キャンプ場は、千葉県南房総で行われている音楽祭あわのネ の会場で、あわのネも地元で面白いことをしたいと立ち上がったイベント。頂も含めてみんな同志と呼べる仲間なのだ。

    ライブ開催、Tシャツ販売、クラウドファンディング、苦しい状況のなかでもトヨロックは今年12回目の開催を目指している。ピンチをチャンスへ。今年もトヨロックに会いたいと願う!

    あなたも行ってみませんか、トヨロックへ。

    ◎文=須藤ナオミ Naomi Sudo

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