山岳人生65年! 沢野ひとしさんが語る山旅の魅力とは  - 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.07.10

    山岳人生65年! 沢野ひとしさんが語る山旅の魅力とは 

    山岳人生65年! 沢野ひとしさんが語る山旅の魅力とは 
    今年81歳になるイラストレーターの沢野ひとしさんに、学生のころもらったサイン本を携え、BE-PAL編集長・沢木がインタビュー! 昭和の山ヤと、山談義に花を咲かせました。

    ご近所低山からスイスのアイガーまで
    古今東西、山旅の魅力とは

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    イラストレーター・エッセイスト
    沢野ひとしさん
    (写真右)
    1944年生まれ。第22回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。山に関する著書も多く、昨今「ジジイにふさわしい」低山登山に注目中!
    沢野「ジジイ向きの低山でも探すよ」
    編集長 沢木「まだまだ余裕ですよ!!」

    はじめての本格的な登山は、お兄さんに連れていってもらった奥多摩・川苔山。沢野ひとしさんの山人生は小学生のときからはじまった。昭和の「山ヤ」と呼ばれる世代で、一般的な登山からクライミング、沢登り、冬山、スキーと、ひと通り山を遊び尽くしてきた人たちだ。

    編集長・沢木(以下編)「僕が登山をはじめて約30年の間に、登山の装備もスタイルも随分変わったように思います。山岳人生65年の沢野さんとしたら、はるかに、山行のスタイルが変わったのではないでしょうか」

    沢野ひとしさん(以下沢・敬称略)「変わりましたよ。クライミングとかキャンプが山の世界からパーッと広がりましたよね。裾野が広がるのはいいけどさ、自由度が低くなりました。

    昔は沢に登ってずぶ濡れのまま歩いたり、好きな場所で適当に寝転がっていたのに、いまは岩登りにしたって、小川山と城ヶ崎とか決まった場所ばかり。登山道をはずれるなんてもってのほか」

    :「山に登る目的も変わりましたよね。昔のように登頂だけにとどまらない」

    :「そう、いろんな楽しみ方が増えてきたよね。麓のほうの散策だけで終わったり、鳥や植物を見たり、食事を楽しんだり」

    :「低山ブームもその一端でしょうか」

    :「そうだね。僕も然り、もういまは高いところには行かなくなったもんね。とくに冬山なんて危険だしさ

    :「山岳会も減りましたよね?

    :「もう、ほとんどないんじゃないかなぁ……」

    沢野さんの道具遍歴を垣間見る

    :「道具の進化も、目を見張るものがありますよね」

    :「アメリカ人が道具を変えたんだよ。イヴォン・シュイナード(パタゴニアとブラックダイヤモンドの創業者)なんかがさ」

    :「本のなかの“山のめしはシンプルが一番”に登場するようなオプティマスの箱型ストーブなんかは、骨董品として高値で売られたりもしていますね」

    :「僕は古い道具は全部息子にあげちゃったよ(笑)。どんどん便利で機能的な道具が登場するからさ。山道具が好きで、昔は給料が入るたびに、カモシカスポーツ山の店や、ICI石井スポーツ登山本店に行っては、新しいものを買っていたな。海外のものも多くてさ」

    :「はじめてのテントは何を買ったんですか?」

    :「カモシカスポーツでエスパースを買ったよ。軽くて風にも強くて、冬山用テントとして画期的だったんだよね」

    :「最近こだわってる道具なんかはありますか?」

    :「いまはね、シンプルがいちばんって思うようになってきた。疲れると、服部文祥さんのYouTubeなんか見るんだけど、いいよねぇ。最先端ではないんだけど、これでいいんだなって思うよ。

    食事は木の器にごはんよそって、あとはお汁ぐらい。たまに岩魚なんか釣ってさ。火床も焚き火だけでしょ。テントもなく寝床はタープだけ。あんなふうにしないと長期の山行はできないからね。山野井泰史さんと登った『ガンガラシバナ』の回なんて、おすすめだよ」

    :「サバイバル登山と昭和の山ヤ。何か通じるものがあるのかもしれませんね……」

    『そうだ、山に行こう』には、三十編の山行が収められているが、登山者として共感する人もいれば、これを読んでその時代を知り羨ましく思う人も多いだろう。本書のなかで沢野さんはいう。“山の頂で怒った人を見たことがない。山登りには精神を浄化し、体から毒素を抜き去る大きな要素があるのだろう”。この夏は、山に行こう!

    沢野さんの思い出ギャラリー

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    岩登りをはじめたばかりの高校生の沢野さん。クライミングの名所三ツ峠にて。

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    丹沢山での宴会風景。このころはガソリンバーナーが主流。

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    飯を盛った形に似た飯豊山の山頂。

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    ’98年エベレスト街道アマダブラムをバックに、はいチーズ。

    沢野ひとしの山道具考

    じつは新しいモノ好き

    WEAR

    かさばらずコンパクトなダウンが好き。ここ10年はマムートと、軽さがウリのユニクロのウルトラライトダウンを愛用。

    山の防寒着で絶対欠かさないのが青色のセーター。「自然界のなかでいちばん目立つのは青。これを着てると目印になる」

    『通販生活』で購入した、薄手の腹巻とネックウォーマーは冬の必需品。「ここ数年、強気になれるひざのサポーターはマスト」

    SHOES

    シューズはバランスのいいアクを愛用。「昔は日本人はストックなんて使わなかった。スキーじゃあるまいしって。時代は変わるね」

    BAG

    左のパタゴニアのショルダーバッグは散歩からハイキングまでフル活用。登山時はハードすぎないミレーのクンブやパタゴニアのロールアップ式を使用。

    GEAR

    最近は日帰りハイクがほとんどなので、ホームセンターで購入した雨具(¥500)と折りたたみカサで十分。

    エマージェンシーグッズとして必ず携行するのは、ヘッドライトとマルチツール2本とホイッスル。

    幾多の変遷を経て、いまは軽量コンパクトなプリムスのガスストーブP-153とライテックトレックケトル&パンが手元に残っている。

    『そうだ、山に行こう』

    沢野ひとし著 
    百年舎 
    ¥2、200

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    三十編の山行をテーマ別に章立て。読んだ途端、山へ行きたくなる。

    ※構成/大石裕美 撮影/黒石あみ

    (BE-PAL 2025年7月号より)

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