
冬はスキーやソリ、夏はハイキングやマウンテンバイク、湖散策などを楽しむことができる。スイスのファミリーはもちろん、近年アジアからの観光客にも大人気のエンゲルベルクを紹介!
雪も新緑も楽しめるエンゲルベルクの春!世界初の回転ロープーウェイで名峰ティトリス山へ
標高1,015mのエンゲルベルクはルツェルンから電車で約40分。標高3,239mのティトリス山への観光拠点として有名だ。1850年前後より、清らかな空気と山の景観を求めて観光客が訪れ発展してきた歴史がある。村からゴンドラと世界初の回転する空中ロープーウェイ「ロッテール」を乗り継ぎ、クライン・ティトリス山の展望台へ。

世界初の回転する空中ロープーウェイ。
春でもスキーが楽しめる

壮大な景色が広がり、春でもスキーを楽しむことができる人気エリア。
まずはゴンドラ乗り場でスキーをレンタル。5月上旬まで圧雪されたピステでスキーを楽しむことができ、ツアースキー(装備を持ちコース外のオフピステを登って滑走すること)も人気のエリアだ。このリフト乗り場近くには、山上湖「トリュプ湖」があり、冬にはスノーチューブやスノーモービル、夏は水遊びが人気。山岳ホテルや公園もあるファミリーにはありがたいエリアだ。
展望台周辺の楽しみ方
吊り橋体験
展望台では、標高3,041mの絶壁に作られたヨーロッパ最高地点の吊り橋の体験が可能。長さ100m、幅1m。この日は視界が悪く残念だったが、晴れた日にはパノラマビューを眺望できる。

ヨーロッパで、もっとも高い吊り橋「ティトリス・クリフウォーク」。
氷河の洞窟
ひんやりした氷河のなかの氷は、約5,000年前に作られたそう。洞窟は全長約150m。時をさかのぼり、静かで美しい氷の世界を体験することができる。薄暗いターコイズブルーの氷がきれいだ。

マイナス3度Cに保たれた氷河の内部を探索できる。
スイスの伝統料理=レシュティ

レシュティとソーセージ、タマネギソース添え。
ティトリス山頂駅にあるレストランにてランチタイム。レシュティは、スイスの国民食ともいわれるポテトのパンケーキ。ジャガイモを細切りにしてフライパンで炒め、パンケーキのような形にして表面がカリカリになるまで焼く。シンプルな料理で、レストランによって味もカリカリ度も異なる。ソーセージには、とろっと煮込んだタマネギソースがよく合い、ビールがすすむ。
ゴンドラの窓から楽しめるスイスらしい風景
ゴンドラで下山する際には、エンゲルベルクの村とオイゲンイ湖の景色が美しい。ここでは春から夏にかけて、ニジマス釣りができるそうだ。湖までは村から徒歩約15分。ちょうど良い散歩コースだ。

ゴンドラから見るエンゲルベルクとオイゲンイ湖。
村散策で見つけたコーヒーショップとチーズショップ
たまたま見つけたコーヒーショップに入ってみた。ここではエンゲルベルクで焙煎した豆を販売しているそう。コーヒーの焙煎を店内で見ることもできる。

店内には、いい香りが広がっていた。

エンゲルベルクで焙煎したエスプレッソ。美味!
エスプレッソをいただき至福のコーヒータイム。テーブルをよく見ると山の地図、等高線がデザインされていて、なんともお洒落。山に対する愛を感じられる。
●施設名:コーヒーショップ「ROASTERY Engelberg」
地元のチーズを楽しめる専門店
エンゲルベルクは、1120年に設立されたベネディクト修道院を中心に発展してきた歴史がある。昔から牧草地に囲まれたこのエリアでは、酪農が盛んに行なわれていた。修道院の横にあるチーズショップでは、地元のチーズを集めて販売している。周辺の山小屋で作られたチーズやヨーグルトなどのミルク製品、チョコレート、ワインやお菓子が並ぶお土産物屋さんとして有名だ。

エンゲルベルクのチーズショップには地元で作られたミルク製品とワイン、お菓子などが並ぶ。
チーズショップを経営する二人は、地元の小さなチーズ農家と協力して生産と販売に携わっている。清潔な工房ではチーズを作る体験もできる。二人から聞く話はとても情熱的で、チーズとエンゲルベルクに対する愛情が伝わってきた。昨年、彼らは日本を旅行したとのこと。チーズと同じ発酵食品の麹や味噌、納豆の話で盛り上がり、うれしかった。

共同経営者のアレックス(左)と、クリスチャン(右)。
●施設名:チーズショップ「CHAES im Kloster」
エンゲルベルクにある2軒のおすすめレストラン
「Alpenclub(アルペンクラブ)」の創業は1875年。店の天井は低く、スイスらしさを感じる木製のデザインが印象的だ。チーズフォンデュやレシュティ、肉料理などで知られる名店だ。

村のおすすめレストラン、アルペンクラブ。
チョコレートムースが大人気だそう。一見、アイスクリームに見えるが、たっぷりのムース。スイス人は甘いものが大好きで、国民一人あたりのチョコレートの年間消費量は、なんと約11kg以上。日本人は約3kgといわれており、スイス人のチョコレート好きが理解できる。男性もお酒とともにペロリとたいらげる人が多い。

たっぷりのチョコレートムースが美味しいと評判。
●施設名:「Alpenclub」
店の名物「アルペンマカロニ」とは?
次に訪ねた「Fluehmatt(フリューマット)」というレストランまでは、タクシーで約15分。到着するとホスピタリティ溢れるマダムがおもてなしをしてくれた。タライに盛り付けられたアルペンマカロニに驚いた。アルペンマカロニとはゆでたマカロニとジャガイモをチーズであえた素朴なメニュー。すりおろしたリンゴの甘ずっぱいソースと一緒にいただく。

高台にあるレストランで食べた名物のアルペンマカロニ。

レストラン横にある子供の遊び場。
レストランの外には滑り台やブランコなど子供たちが遊べる遊具が設置してあり、ファミリーにはうれしいサービスだ。スイスでは、このように子供が外で遊べるレストランが多く見られる。絶景が広がり気持ちの良い場所に、子供たちも大喜び。
●施設名:「Fluehmatt」
エンゲルベルク観光に便利なホテル

駅から歩いてアクセスできるホテルシュヴァイツァーホフ。
今回宿泊したのは、1896年創業のホテル「Schweizerhof(シュヴァイツァーホフ)」。エンゲルベルク駅から徒歩数分の好立地にあり、メインストリートにも行きやすい。周辺を散策するにも便利なのでおすすめ。
●施設名:「Schweizerhof」
氷河特急に乗ってアンデルマットからツェルマットへ優雅に移動

氷河特急にのりツェルマットへ。
グレッシャー・エクスプレス=氷河特急は、マッターホルン・ゴッタルド鉄道の路線(ツェルマット=ディゼンティス)と、レーティッシュ鉄道の路線(ディゼンティス=サン・モリッツ)を結ぶ。約8時間かけてゆっくり走行。1930年に開通した人気のルートは、アルプスの名峰、美しい森や牧草地、山間の急流や渓谷など絶景の連続で迫力がある。
今回はエンゲルベルグからアンデルマットへ移動し、そこから氷河特急に乗車してツェルマットへ。この区間の乗車時間は約3時間。このように途中駅から乗車するのもおすすめ。車窓からはのどかな景観が広がり、写真撮影が止まらない。

車内にはWi-Fiもあり、現在地や解説が分かりやすく表示されるので便利。
Wi-Fiに繋ぐと、端末に表示される地図上で現在地や標高が確認できる。ほかにも、村の説明やお土産物、食文化、地元の人々のストーリーなどの情報が満載で、飽きることなく快適な乗車体験を楽しめた。

氷河特急内で食べる優雅なランチ。
この日のランチのメニューは、サラダ、鶏肉のクリームソース煮込みと温野菜、チョコレートケーキ。牧歌的なスイスの景観を楽しみながら、ゆったり走行する車内でいただく贅沢なランチだ。
アンデルマットからフルカトンネルを抜け、木造の民家が特徴的なゴムス地方やローヌ川が流れるアレッチ地方、ワイン名産地であるフィスプ地方を抜けて、あっという間にツェルマットへ移動した。
トラベルパスを使えば、スイスの旅がお得で快適になる!
スイス旅行のハイライトのひとつは、鉄道やバス、船を使い風景を楽しみながら移動すること。スイス全土の主な公共交通機関が乗り放題になる「スイストラベルパス」には、さまざまな種類があり、旅のスタイルに合わせて最適なものを選ぶとお得になる。
旅行者が切符を逐一買う手間が省け、効率よく快適に旅の時間を使うことができる。チケットの種類によってはロープウェイや登山鉄道などの山岳交通が半額になったり、美術館や博物館が無料になることもある。スイス旅行には欠かせないアイテムだ。
春夏秋冬、それぞれの季節で楽しみ方が異なるスイスの山岳観光地。夏と冬のハイシーズンにも素敵な景色は広がるが、季節を少し外すとリーズナブルで落ち着いた旅ができる。スイス人にも人気のエンゲルベルクと氷河特急の魅力が伝わるとうれしい。
取材協力
- スイス政府観光局
www.myswiss.jp - エンゲルベルク観光局
https://www.engelberg.ch - スイストラベルシステム
https://www.myswiss.jp/swiss-travel-pass/ - グレッシャー・エクスプレス
https://www.myswiss.jp/gex
