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    2024.03.23

    耕しながら旅をする!土に根ざす生き方を学ぶ「WWOOF」のファームステイ

    農業を軸に、ホストは宿泊先と食事を用意し、来訪者は力を提供する「WWOOF(ウーフ)」。みなさんも、農的暮らしを体験してみませんか?

    WWOOFとは?日本では1994年に活動開始

    概念の図解

    WWOOF(World-Wide Opportunities on Organic Farms)は有機農業に触れる機会を世界規模で提供する組織。日本では1994年に活動が始まった。
     
    WWOOFジャパンの事務局が行なってくれるのは日本国内での農家(ホスト)と農業に興味のある来訪者(ウーファー)の仲介。条件が合えばホストはウーファーを受け入れて宿泊先と食事を提供し、ウーファーは農作業を補佐する。ホストとウーファーは相互に知識や経験の交換もする。
     
    ホストとウーファーはそれぞれWWOOFのサイトで事前登録を行なって年会費(ウーファーは初年度¥5,500。継続期間に応じて減額される)を事務局に納めるが、ホストとウーファーの間では金銭の授受は必要ない。
     
    1日の作業時間は6時間程度が基本で、7日間以上滞在する場合は1日の休養日がある。
     
    注意したいのがWWOOFは食事・宿泊と労働力の交換ではないことだ。ホストとウーファーは、相手に自分が何を与えられるかを常に考えながら接することが求められている。
     
    誕生以来、WWOOFは農業を学びたい人に機会を与え、さまざまな地域・国に滞在する手段として旅人にも愛されてきた。

    「日本と海外でのウーファーの体験は、今の私たちの大きな糧となっていますね」
     
    そう話すのは、ウーファーを経て静岡県でWWOOFのホストとなった佐野さんご夫妻。おふたりは山中の古民家跡をウーファーの力を借りながら再生し、リノベーションされたゲストハウスは里山での生活を体験する場所としてこの春から貸し出される。太陽光や薪、沢水や果樹といった身近な資源で生きる暮らし方を学べるという。

    「ウーファー時代、さまざまなホストから生活技術を学びました。ホストと合わなかったのは一度だけ。ホストの気質や待遇はプロフィールなどで知れるので、丁寧に読めば失敗することはそうはないと思います」
     
    受け入れる側になった今、佐野さんたちにとってウーファーはどんな存在になったのか。

    「薪割りや植え付けなどの日々の作業を手伝ってもらえるのはとても心強い。また、精神面での支えにもなっています。以前は私たちが出会いに行く側だったけれど、今は居ながらにしてウーファーたちが出会いを運んでくれる。ウーファーは、どうしても閉じがちな山の暮らしに風を通してくれる存在でもあるんです」

     

    私たちもWWOOFで旅をしました!

    鴨志田農園代表 鴨志田 純さん

    東京三鷹で少量多品種のスタイルで野菜をつくる。生ごみの堆肥化技術のエキスパートで、国内外を技術指導で飛び回る。

    鴨志田 純さん

    鴨志田家はずっと農業を営んできましたが、私は家業を継ぐ前にWWOOFを利用して他の農家をのぞかせていただきました。とくに印象に残っているのは熊本のとある農家さん。ここでは農業技術そのものよりも地域社会に根ざして食に責任をもつ姿勢を学ばせていただきました。

    自営業 川嶋俊彦さん

    環境保全について学ぶうちに食料生産が鍵を握ることを痛感。現在はスーパーの農業部門で米と野菜の有機栽培の生産管理を行なう。

    川嶋俊彦さん

    学生時代、夏休み中に2軒のホストの下で合計1か月のウーファー生活を体験。有機栽培にもいろいろな考え方や営農スタイルがあることを知りました。自然食品の流通業を経て今は有機栽培の野菜を扱っていますが、ウーファーで現場を見た体験が役だっています。

     

    おじゃまします! ウーファーライフ

    静岡県森町「西向き」さんでのウーファーの1日

    西向き
    佐野達哉さん
       祥さん
      もんさん

    達哉さんは一級建築士。祥さんは天然素材を使った染織家。土に根ざした暮らしを営める場所を探して静岡県森町の山中の一軒家にたどりついた。

    「西向き」さん

    地球の力で生活中!

    平家の落人が拓いたといわれる集落に居住。周囲はほとんどが同じ姓なので現在も屋号で呼び合う。佐野さんたちが落ち着いたのは「西向き」と呼ばれていた南西の斜面に開けた家だったので、その名を引き継いだ。建築士と染織家の技能を生かして身近な素材で古家をリノベーションし、地域の資源を使った里山生活を体験できる場に整えた。定期的に生活技術のワークショップや音楽会も企画している。Instagram→@nishi.muki

    体験のようす

    さまざまな体験のできる西向きは人気のホスト。海外から来たウーファーの利用も多い。

    ゲストハウス

    改築が済んだゲストハウスは農業と里山生活の体験のベースとしてこの春から貸し出しを開始!

    作業風景

    9:00

    朝イチの仕事は人気の薪割り

    薪割り

    西向きのエネルギー源は薪。薪ボイラーで生活のなかで必要な熱を生み出している。小割りをつくって焚き付けに。

    10:00

    かまどと蒸篭で米を蒸す

    米を蒸す

    沢から引いた水を沸かして、自分たちで栽培・収穫した赤米と黒米を蒸す。米も水も薪も家の周囲で採れたもの。

    11:00

    蒸し上がった米で麹をつくる

    麹をつくる

    蒸し上がった米を冷まして、「もやし」(種麹のこと)を振りかけて混ぜ合わせて寝かせる。数日で米麹ができる。

    12:00

    見晴らし抜群のデッキで昼食

    昼食

    炭火で焼いた肉とヨモギをつき込んだお餅で昼食。西向きはウーファーとホストが一緒に同じものを食べる。

    13:00

    斜面の畑にジャガイモを植える

    斜面の畑

    ジャガイモをいくつかに切り分けて切断面を乾かしてから植えつけ。「ジャガイモは太陽さえ当たればよく育つ」

    15:00

    自由時間は快適な部屋で

    自由時間

    西向きではウーファーの1日の活動を5時間以下に設定。長期滞在では土日を完全休養日に。作業時間以外は自由時間!

    自然のなかで生きる力を学べる! 訪ねてみたいWWOOFホスト

    オーナーは探険部出身!

    北海道幌加内町「Mt.ピッシリ森の国」

    Mt.ピッシリ森の国

    元の地主らから「化学肥料なしでは何も育たない」といわれた畑を改良。60haの畑で多品種の野菜栽培とそれを原料にした加工品販売を行なっている。ウーファーの受け入れ開始は4月から。残雪期の休養日はスキーや犬ぞり体験もできる。

    image

    自家発電100%! オフグリッドで生きる

    北海道豊浦町「中つ地農園」

    中つ地農園

    電気は太陽光、水は湧水、火を薪ボイラーと薪ストーブで賄い、ハーフビルドの家には廃材を活用。肥料や農薬を使わない自然栽培で野菜をつくる。豆や雑穀などの野菜を栽培しつつ、農業体験や自然観察のワークショップも展開。

    自然栽培

    里山の幸を活かす 生活技術を学ぶ

    京都府舞鶴市「寒山拾得」

    寒山拾得

    寒山拾得は狩猟、鶏締め、保存食つくり、摘み草料理、農作業など、京都の里山の幸の活用法を伝える農家民宿。ウーファーは主にホストの作業を補佐する。ホストの清水さんは養蜂や自然エネルギーでのエネルギーの自給にも取り組む。

    養蜂

    WWOOFへの参加はwww.wwoofjapan.comから!

    ※構成/藤原祥弘 撮影/藤原祥弘、佐野達哉 イラスト/いお

    (BE-PAL 2024年4月号より)

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