シェルパ斉藤、野田知佑さんを偲んで筑後川~柳川をカヌーツーリング! | 海・川・カヌー・釣り 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.06.08

    シェルパ斉藤、野田知佑さんを偲んで筑後川~柳川をカヌーツーリング!

    昨年に引き続き、野田知佑さんのお墓がある福岡県久留米市の専称寺へ出かけた。

    昨年は大阪からフェリーで北九州の新門司港に上陸し、そこから専称寺まで80kmの道を歩いて(一部はヒッチハイク)野田さんのお墓を参拝した。今年は墓参りをしてから、専称寺のすぐそばを流れる筑後川を下って有明海をめざすカヌーツーリングだ。1か月前にサラリーマン転覆隊が筑後川をカヌーで下って野田さんの墓参りをしたから、打ち合わせたわけでもないのに転覆隊からのバトンを野田さんの前で受け継ぐ旅となった。

    理にかなったカヌーの運搬方法を発見!

    カヌーやバックパックの総重量は27kg。この荷物を抱えての移動は大変だけど、電車には車イスやベビーカー用のスペースがあるので、そこに荷物を置くことができた。

    昨年に引き続き、専称寺へ。昨年も感じたけど、こんな天気のいい日に野田さんがこの寺で寝ているはずがない。きっと川で遊んでいるに違いない。

    専称寺から下流の筑後川は穏やかな流れが続く。ビールを飲みながら下れる程度の流れだ。カヌー初心者でも問題なくツーリングできるが、ハードルがないわけではない。

    ひとつは向かい風だ。野田さんを追悼する長良川のカヌーツーリングのときもそうだったが、午後になると海からの風が吹く。河口に近づくにつれて川の流れがなくなるから、パドルを漕ぎつけないと風に押されて後退してしまう。

    もうひとつは堰だ。専称寺から河口まで筑後川には2つの堰がある。カヌーでは越えられないので、堰の手前で上陸してカヌーやツーリングの荷物をすべてかついで堰の下流まで運ばねばならない。

    わがカヌー、フェザークラフトの重量は約15kg。手で持って運ぶにはつらい重さだ。ふと思い立って、カヌーをひっくり返して頭に載せてみた。

    楽ちんだった。コックピットのシートが適度なクッションとなって頭頂部に重量が集中しても痛くはない。シートの位置はカヌーの前後左右、ほぼ真ん中だから重量バランスがよくてホールドしやすいし、頭に載せると手で持ったときのような重さを感じない。実際の重量よりも軽く感じられる。アフリカの女性たちが頭に水瓶などを載せて歩いているが、なぜそうしているのか理解できた。あれは理にかなった運搬方法なのだ。

    巨大な帽子を被って歩く気分で、僕はカヌーを運んで堰を越えた。

    カヌーにとって、堰は大敵だ。流れが緩やかとはいえ、堰に近づいたら早めに岸辺に寄っておく必要がある。

    はたから見たら変な人に思われるかもしれないけど、カヌー運搬にこのスタイルが最適であることがわかった。

    カヌーを漕ぎ続けて有明海へ

    2日目は流れがほとんどなくなり、ひたすらパドルを漕ぎ続けるカヌーツーリングとなった。カヌーに驚いたボラが水面を跳ね、浅瀬に漕ぎ入れると大きな鯉が泳いで逃げていく。そういえばこの筑後川にはかつて「鯉とりまあしゃん」と呼ばれる素潜り漁の達人がいた。開高健の『私の釣魚大全』に書かれているが、「鯉とりまあしゃん」は初春の筑後川に裸で潜り、両腕や胸、口などで1度に数匹の鯉を抱えて捕まえる名人だったという。

    その鯉たちを追うようにカヌーを漕ぎ続けて有明海に出た。静かな内海ではあるけれど、うねりをカヌーで体感できて、筑後川を下って海まで出た達成感を得られた。

    専称寺から有明海まで、全部で21の橋を通過した。特徴的だったのが昇降式の稼働鉄橋。世界的にも珍しいそうで、国の重要文化財に指定されている。

    川を下って海に出たときは感激する。波に揺られる小舟とはいえ、どこまでも進んでいける船長の気分に浸れる。

    柳川のお堀での人々とのふれあい

    有明海に出たあとは筑後川の東側を流れる沖端川を遡って、柳川をめざした。

    水郷として知られる柳川には清らかな流れのお堀があって、川下りの観光船が航行している。そのお堀を愛艇で下ろうと考えたのだが、ちょっとしたトラブルが起きた。その内容に関しては、BE-PAL7月号の『シェルパ斉藤の旅の自由型』を読んでもらいたい。

    柳川のお堀は自艇でのツーリングが可能で、大河の筑後川や有明海とは異なるカヌーの旅を満喫できた。また川で出会う人々がカヌーで旅する僕に対して好意的だったことも、印象に残った。

    バックパッキングなど陸上の旅では三脚にカメラをセットしてセルフタイマーで自撮りをしているけど、カヌーの旅ではそれができない(できなくもないが、かなり面倒くさい)。そこで柳川の町を歩く観光客にカメラを渡してカヌーに乗った自分を撮影してもらったが、撮影を快く引き受けてくれた人々とのふれあいも楽しかった。

    柳川の町内には川下りの船着場が何箇所かある。観光船の営業時間が終了していたので、ここから出航した。

    乗客を降ろして出発地へ戻る観光船とすれ違った。エンジンは使わずに竿で船を航行。川を遡るのは重労働だと思う。

    低い橋をいくつも通過する。柳川観光船の醍醐味だけど、小さなカヌーだとすんなりと通過できてしまう。

    観光客に頼んで撮ってもらった貴重な写真。道ゆく高校生たちにも手を振ってもらって、気分よく川下りができた。

    柳川の中心には、観光船が横づけできる水上売店がある。ロープが張ってあって、そこにつかまって買い物ができる。

    水上売店のおじさんはカヌーで来た僕を歓迎してくれた。笑顔がチャーミングなおじさんで、胸がほっこりとした。

    おじさんから買ったイチゴのアイスクリーム。「さがほのか」という品種のイチゴで、ほのかな甘さに疲れが癒された。

    カヌーを背負って柳川の名店へ

    柳川といえば、うなぎのせいろ蒸し。カヌーを撤収しているときに通りかかった地元の男性にオススメの店を訊いたら、上陸した場所のすぐ近くにある老舗を教えられた。

    そこは高級旅館を思わせる名店だった。靴を脱いで玄関に上がり、中庭のある廊下を通って奥に案内される料亭のような店である。川下りで衣服が汚れ、おまけにカヌーやバックパックを背負った旅人が入店できるか疑問だったが、ご主人は「カヌーで来たんですか!」と温かく僕を迎えてくれた。

    うなぎのせいろ蒸しも絶品で、おおいに満足して帰路についた。

    カヌーの旅を終えて上陸した亀の井ホテルのすぐ近くにうなぎの名店が何軒か並んでいた。夜の柳川を下るのもいいなと思った。

    うなぎが柔らかくて、せいろで蒸したごはんもアツアツで最高においしかった。また食べたいと、この写真を見るたびに思う。

     

    シェルパ斉藤
    私が書きました!
    紀行作家・バックパッカー
    シェルパ斉藤
    1961年生まれ。揚子江の川旅を掲載してもらおうと編集長へ送った手紙がきっかけで『BE-PAL』誌上でデビュー。その後、1990年に東海自然歩道を踏破する紀行文を連載して人気作家に。1995年に八ヶ岳の麓に移住 し、自らの手で家を作り、火を中心とした自己完結型の田舎暮らしを楽しむ。『BE-PAL』で「シェルパ斉藤の旅の自由型」を連載中。『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅』ほか著書多数。歩く旅を1冊にまとめた『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』(小学館)には、山、島、村、東海自然歩道などの旅や、犬と歩いたロングトレイルの旅を収録。

     

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