資金調達のメドがつくまでの葛藤。個人オーナーのキャンプ場オープン奮闘記 vol.4【事業計画&資金調達編】 | キャンプ場 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.05.02

    資金調達のメドがつくまでの葛藤。個人オーナーのキャンプ場オープン奮闘記 vol.4【事業計画&資金調達編】

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    ©︎Shigeo Ogawa

    202112月、瀬戸内海を望む広島県江田島市にオープンしたキャンプ場「Hawk Nest Family Village」。オーナーのコージさんは、個人で、会社勤務を続けながら、数々の難題を乗り越えてキャンプ場の開設にこぎ着けました。どんなプロセスを経てキャンプ場の個人オーナーとなったのか、コージさんの奮闘記をお届けします。第4回は、キャンプ場作りの「事業計画&資金調達」編です。

    第1回目【構想編】はこちら
    第2回目【準備・申請編】はこちら
    第3回目【着手編】はこちら

    計画の再検討と資金調達のメド

    専門業者の工事は、候補の2社目で検討を進めていました。一方、伐採作業を手伝って頂いていた方がある会社(3社目)を紹介してくれ、その後頂いた見積りが目標を下回るアグレッシブな価格の提示を受けました。そこで、検討を進めていた2社目の会社には責任者にも直接コンタクトし、丁寧にお断りをしたのです。

    しかし!その後、なんとその3社目の一部の工程の孫外注の会社が、見直しで大きく価格を上げて来ました。今さら2社目には戻れない。さすがに真っ青…。だからといって、頓挫などする訳にはいきません。

    価格が上がったその項目は、この孫外注をあきらめました。この工程は独立させ、4社目となる地元の別業者さんに短期間で正確な見積りを頂くことにしました。価格を抑えるため実地で何度か打ち合わせをし、水道管を舗装道から上の100mは埋めずに敷くだけにする、などの方策を協議したりしました。それでも目標には届かなかったものの、最終的に妥当と思われる見積りを頂いた地元の事業者さんに今後のことも考え決めました。…と、簡潔に書きましたが、ここの経過はもっとも厳しく苦しい局面でした。

    こうして、なんとか全体の事業計画が最終的にまとまったのは、2021年8月。ここから目標の年末のキャンプ場オープンまで時間はありませんが、あとは怒涛の寄り!と行きたいところでしたが、まだまだ。次なるハードル、資金調達が待っていたのです。

    投資金額は当初の見込みから大きく膨らみ、事業計画上の採算性は悪化していました。資金は①自己資金+②融資になりますが、ここに③補助金+④実家売却も計上。それでも②の融資は、必要額が当初春先に考えていた概要から大きく膨れ上がりました。

    そこで事業計画に対し、改善したのが以下です。

    1. サイト数の増加=売上増加
    2. 単価の見直し=売上増加

    (1.)については、実地を見ながら考え、今のレイアウト上のサイトBを追加。サイトABCと少しいびつに互い違いに配置され、少々サイトとサイトの感覚が窮屈になっているのは、この結果です。しかも、サイトCは片手桶のような形になり、当初は無かったサイトHも樹木を伐採し、追加しました。下の図面は、さらに後に追加したサイトMも載せた最新版で、このサイトMの場所はオープン当初は木材がまだ山積みになっていて、コツコツ片付けて追加したものです。

    また、(2.)単価見直しについては、2章でも述べましたが、当地の周囲の価格に合わせることなく、全国平均レベルの価格水準で設定することとしました。では、どうやって周辺の価格より高いキャンプ場にお客さんを呼び寄せるのか。この事業計画に実現性はあるのか。

    その答えは現在に至るまでの連続技・合わせ技になってくるのですが、まずは——。

    • ホームページを半年前からオープンし、キャンプ場の開設を皆さんに待って頂けるようにする。
    • Googleマップ上にもオープン前から地図上に設定、適宜写真を上げ、キャンプ場が準備中であることを掲載。
    • (これは手を差し伸べられた形ですが)手作業でキャンプ場オープンを目指している時点で中国新聞に掲載いただいた(当初から市役所と積極的にコンタクトを取っていたことが効いています)。

    地元新聞への掲載は事前の良い宣伝にもなりましたし、副次的効果として各業者さんがコージの考えをよく理解してくれました。また、重機を扱っている会社から、なんと無償で重機を貸してくれるというオファーすらありました。

    • 一番の売りになると考えた景観をしっかり得ることができるよう、開拓の上で意識して進める(そのため、体にロープを括り付け斜面に降りて樹木を伐採したりと頑張りました)。
    • 清潔な水回り、ボディーソープやドライヤーなどの備品といった、女性来場者を意識した整備。
    • 小学生以下を無料にし、ファミリー層を呼び込む(大人2+子供2の合計では全国平均価格に)。
    • インスタを中心にSNSでの情報発信の重視。

    こうしたことに開場以降も現在までいろいろな気を配っています(全体像は後述します)。

    見直した事業計画ですが、売上規模は固めに抑え(後にそれ以上の事業規模になりますが)、どう見ても収益性が低い状態のまま、融資の審議にかけます。そして、やはり苦戦。

    <初期投資概要>

    • 上水道・浄化槽、電気工事、共用設備および設置配管工事:計1,100万円
    • 事務棟兼住居ロッジ(バス・トイレ・エアコン、配管・配線込):計1,100万円

    これを、自己資金+実家売却+各種補助金+融資でカバーする計画としました。ただし、売上(来場者数)を固めに見た計画として採算性はギリギリくらいの数値で、事業計画としては押し通しました。実績が計画比プラスになるようにしたかったからです。

    ちなみにクラウドファンディングという選択肢を取らなかったのは、コージなりの考え方がありました。出資者に対し、100には100+のリターンとすべきです。しかし、100%を出資いただいてもクラウドファンディング運営事業者に25%前後が渡るので、結局その金額をさっ引いたものしか手元には入りません。100ではないものに対し100+をリターンするのは割に合わない、という考え方です。もちろん100%の出資に対して何割か引かれた分のリターンしか返さないという考え方もあるかもしれませんが、どうしてもその考え方は出来ませんでした。

    気がつけば、キャンプ場オープン予定日が近づいています。その間、融資の検討をお願いしていた公庫には、たとえば実家売却契約が成立しただとか、愛車のGLAを売却して国産中古車に買い換えて維持費を抑えることにしただとか、関連報告を入れ続けました。

    そして、なんとか口頭で承認連絡頂いたのは2021年10月15日のこと。実際の融資額振込は11月26日までかかりました。オープン予定日まで、残り約1ケ月!

    いったいどうやって、ここからオープンに漕ぎつけたのか…。

    vol.5 開業編に続く

    私が書きました!
    キャンプ場「Hawk Nest Family Village」オーナー
    コージ(秋田浩一)
    30数年の会社勤務を経て、2021年12月に広島県江田島市にキャンプ場「Hawk Nest Family Village」をオープン。同キャンプ場の詳細・予約は、上記リンク先のウェブサイトをご覧くさい。

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