コツコツ伐採作業をしていたら地元の仲間が手伝いに!個人オーナーのキャンプ場オープン奮闘記 vol.3【着手編】 | キャンプ場 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.05.01

    コツコツ伐採作業をしていたら地元の仲間が手伝いに!個人オーナーのキャンプ場オープン奮闘記 vol.3【着手編】

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    ©︎Shigeo Ogawa

    202112月、瀬戸内海を望む広島県江田島市にオープンしたキャンプ場「Hawk Nest Family Village」。オーナーのコージさんは、個人で、会社勤務を続けながら、数々の難題を乗り越えてキャンプ場の開設にこぎ着けました。どんなプロセスを経てキャンプ場の個人オーナーとなったのか、コージさんの奮闘記をお届けします。第3回は、キャンプ場作りの「着手」編です。

    第1回目【構想編】はこちら
    第2回目【準備・申請編】はこちら

    勤務先の理解と奥さんの同意

    2020年9月、満を持してコージは東京の自宅より広島県江田島市へ約900kmの道のりを、愛車のSUVに最低限必要の荷物を詰め込んで、単身、移動して来ました。

    この時点では、まだ会社での仕事を続けていました。すでに2018年9月から定年再雇用という業務形態になっていましたが、そのままではまとまった時間を江田島での作業着手には割けません。そこで、勤務先の当時の人事部長に相談。結果、詳細は省きますが、月のうち2週は宮城で業務、2週は江田島でキャンプ場開設準備、必要に応じリモートで業務フォローという形態に切り替えることができたのです。それがあって上記の移動になったわけです。

    もちろん、従来の仕事をきっぱり辞め、100%キャンプ場立ち上げに集中すればいいのに、という見方もあるかもしれません。でも、いかんせんキャンプ場の立ち上げには初期投資がかなりかかる上、オープンまでの間の生活費や住民税、健康保険などの支払いもあります。勤務先との業務契約切り替えで年収は減少しましたが、それでも収入を得ながらのキャンプ場立ち上げの準備を進めることが出来、大いに助かりました。勤務先の会社の理解には心より感謝しています。

    それと、切実な事情がもう一つありました。実は当初、コージは奥さんの同意を「完全に」得ているわけではありませんでした。退職金のうち半分はキャンプ場作りには充てないことで一旦は同意を得たものの、その後、投資が膨れ上がり、融資の返済を事業計画で明確にしました。同時に、融資返済に対する団体生命保険によって、何かあった場合に家族に借金が降りかかることを避けました。そして、実際にキャンプ場を作り上げ、ちゃんと事業を立ち上げることで奥さんの理解を得る心づもりで、コツコツと進めていったのです。

    話は本章冒頭の実家に戻ります。父は20年前に逝去、母は埼玉に住む弟の近くの施設におり、実家は空き家状態が続いていました。何ケ月かに1回戻って清掃や草刈をしても、何ケ月か離れると元の木阿弥。実家に戻るたびに清掃と雑草との闘いでしたが、今回はちゃんと生活できるように時間をかけました。

    結果的に、実家とキャンプ場の両方を維持・メンテし続けるのは実質無理でしたので、後々実家は売却することになります。資金面もそうですが、売却して正解でした(先祖からの土地なので葛藤はありましたが)。ちなみに、この地域での土地+家の売却はそう簡単ではないのですが、何社かあたるうちに見つかったのが、即金買い上げしてリフォームして売り出す会社でした。買取価格は思ったより低かったですが、即現金化ができてキャンプ場事業立上げのために非常に助かりました。時間を金で買う、というイメージに近い判断になったと思っています。

    この時期は並行して、住民登録、免許証住所変更、また、車も広島ナンバーに変えるべく陸運局に持ち込みました。先々キャンプ場にどれだけの費用がかかるか明確に見えてなかったので、細かいことですが、自分でナンバープレートの交換作業を行いました。

    いよいよキャンプ場予定地の開拓へ

    ということで、なんだかんだキャンプ場開拓の着手は2020年10月中旬からとなりました。作業着手の前夜、あらためてYouTubeで電動チェーンソーの使い方を確認し、家の中で試運転。このときの様子などをケータイで動画とタイムラプスで撮ってあったのですが、とても人様にお見せできるような作品にはなっていません。ただ、見返すと、いよいよ着手だ!という緊張感や高揚感はヒシヒシと伝わる動画ではありました。

     翌朝、着手した実地ですが、単に木を切るだけではなく、藪、ツタ、雑草も処理しないと踏み入れない状態だったので、網の防護服とヘルメットを着用。ジャングルを切り拓く探検隊の様相でした。ここからコツコツと“牛歩より遅い”進みの伐採作業の日々が続いて行きます。

    開拓作業初日の様子。

    開拓作業初日の様子。

     コツコツ整備で闘っているうち、地元の仲間が手伝いに来てくれました。何十年もこの地を離れていたので初対面のような方が多かったのですが、親戚つながりの飲み会で自己紹介がてらキャンプ場の計画案をプレゼンして、共感を得ることができたのだと思います。仕事柄、プレゼンを数え切れないないほどやってきたことが活きたようにも思いますが、むしろ「これをなぜやりたいか!」という中身が重要だと思います。

    コージは長年離れていたとはいえ、故郷への感謝と恩返しとしてキャンプ場を実現したい、多少なりとも地元に寄与したい、周囲の事業者さん達とも連携できる可能性を拡げたいなど、心より考えていることを真摯に伝えました。

    手を差し伸べてくれた仲間との作業。

    手を差し伸べてくれた仲間との作業。

     日々の作業が続き、作業過多で徐々に手と腰にダメージを受け、後に医者にはチェーンソーは1日2時間までに制限をするようアドバイスを受けました(そういわれても従えない事情があったのですが)。伐採した木材は一切、外には捨てず、周囲の柵や迷路に活用。細めの木材は裁断機にかけてウッドチップ化し、各テントサイトに敷き詰めました。

    なお、キャンプ場としてすべての樹木を切り倒して平地にするところもありますが、当地では最初から樹木を計画的に残しながら、必要な部分だけ伐採し、テントサイトに木陰が出来るようにしました。ただ、残す松として考えていた樹木が後に松喰い虫によって枯れてしまいました。その分、木陰が減り、悩ましい点になっています。そこで、松ガードという注入薬を入れ、松枯れを防いでいますが、結構な額のする薬を30本も注入し、予定外の出費になりました。また、場内にはうるしの木が何本も自生していたことが判明。来場者の方がかぶれてしまう事態は避けたいので、全て伐採することになり、かなりの工数とレイアウトへの影響もありました。もちろん、伐採した木は活用しています。

    平面の伐採整備に加え、実は斜面に自生していた雑木がかなり景観を邪魔しており、これは“高枝ノコギリ”でえっちらおっちら切ったり、体にロープを括り付けて斜面を途中まで下り、時々ずり落ちそうになりながら伐採したりしました。そうした結果、納得のいく景観を得ることが出来たのです。

    ちなみに前述の裁断機によるウッドチップ化ですが、これで伐採して山のように積みあがった雑木は容積1/10以下に出来ます。この裁断機自体は地元の仲間が実家の畑の倉庫に眠っていたものを貸し出してくれたのですが、総重量100kgほどもあり、仲間7人で斜面を引っ張り上げ、地元のエンジニアの方に修理までして頂き、活用できるようになったという経緯があります。実は使い始めてからも何度も故障し、そのたびに修理してもらい、地元チームの有難さを実感しました。

    なお、当初の構想では、すべてオートサイトで考えていましたが、海の眺望の邪魔になることと、オーシャンビューサイトの数をより多く確保したいため、方針変更。駐車場から荷物を運んで張ってもらうキャンプ場という構想になりました。オートキャンプが流行っていたので来場者が減る懸念もありましたが、景観を優先させました。とはいえ、駐車場と、そこまでの車のアプローチ道の整備は必要。切り株を根本までフラットに切る作業や、大木の根などでボコボコの土地を砂で埋めたりと、コツコツ整備するにも気の遠くなる作業でした。最終的には、後の浄化槽設置工事で土地を掘って出た砂で、業者さんがこれら道路と駐車場を重機でフラットに敷き詰めてくれて、たいへん助かりました。

    作業は、やった分だけ、前に進む。当たり前のことですが、それが大きな張り合いになっていました。

    vol.4 事業計画&資金調達編に続く

    私が書きました!
    キャンプ場「Hawk Nest Family Village」オーナー
    コージ(秋田浩一)
    30数年の会社勤務を経て、2021年12月に広島県江田島市にキャンプ場「Hawk Nest Family Village」をオープン。同キャンプ場の詳細・予約は、上記リンク先のウェブサイトをご覧くさい。

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