編集長マチダ、長崎・壱岐島で初のソロキャンプ!「人生観が本気で変わった」素敵な体験とは…?【PR】
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    日本の旅

    2023.03.29

    編集長マチダ、長崎・壱岐島で初のソロキャンプ!「人生観が本気で変わった」素敵な体験とは…?【PR】

    アウトドアの師匠・フクタキが見守る中、初心者マチダのソロキャンプはどうなる…?

    アウトドアで遊ぶ楽しさを知って以来、“隙あらば外遊び”で国内外の野や山や海で遊んできた著者のフクタキ。一時は自宅なんかいらないのでは…と思うほどテント泊や安宿泊でフィールドをつなぎ、郵便物の確認と事務処理のためにしぶしぶ家に帰るという生活も。旅の連れ合いもだいたい自分と同等か、それ以上の猛者ばかりで、野宿何連泊でもへいちゃら!というメンバーが大半だった。

     「誰もいない場所の真っ暗闇のテントで寝るなんて…怖い!」

    この弱々しいセリフを耳にしたとき、なんだかちょっと昔の自分を思い出し懐かしくなった。

    このセリフの主は、「BE-PAL.NET」編集長のマチダ。昨年アウトドアの右も左も分からぬまま異動してきて、カルチャーショックを受けながらも現在奮闘中だ。それまでは美容業界や有名週刊誌など、刺激的な都会の喧騒のなかで仕事に励んできたというから、まさにテント泊とは真反対の世界にいた人と言える(自分と共通するのは肺呼吸・二足歩行であることと、お酒好きくらいだ)。

    「壱岐島です」。そのひとことですべてを決めた

    そのマチダが、このたび生まれて初めて「ソロキャンプ」をするという。しかも近所で、ではなく場所は島…。マジですか!それはなかなかですね!つい口を挟んだら、逆に師匠役を頼まれた。うーん、引き受けるべきか断るべきか。面倒になりそうな予感が激しいぞ。が、行き先を聞いて気持ちが180度ひっくり返った。

    「キャンプ地は壱岐島です」。

    ソロキャンプ地が、なんとあの壱岐島だという。前からつねづね行きたいと思っていた壱岐島!かくして、フクタキはあっさり快諾し、生まれ立てのトムソンガゼルのように手足をプルプルしている編集長マチダを小脇に抱え(?)、壱岐島の地を踏むことになったのである。

    (左)師匠のアウトドアライター・フクタキ。(右)ソロキャンプ実習生のBE-PAL NET編集長・マチダ。

    DAY1「あまりにもキャンプに不安しかない」

    「あぁぁぁ! 荷物が崩れた! 師匠~!」

    壱岐島の東の玄関口・芦辺港に到着した高速船から下船するなり、マチダの大荷物がなだれた。飛行機、タクシー、高速船のそれぞれで同じ場面を見た。乗り物を次々に換える旅をスムーズに進める第一歩は、アウトドアの基本「バックパッキングスタイル」だ。さっそく大荷物の洗礼を受けている。

    「すごい荷物ですね。いったい何が入ってるんですか?」思わず聞いた。

    「師匠に教わったとおり、借りたり買ったりキャンプの道具をかき集めたんです。寒そうだから服もまあまあ…なんでこんなに量が多いんでしょ? 」

    それはこっちが聞きたいわい。だが、キャンプも初めてならば、旅人に欠かせないゲストハウスにも泊まったことがないらしい。かくいう私も最初は山小屋にドライヤーを持っていこうとして先輩に怒られたっけ…。

    さて、今回の目的地「壱岐島(いきのしま)」は、九州の玄界灘に浮かぶ長崎県の離島だ。島根県沖にある隠岐島(おきのしま)と混同している方もおられると思うが、こちらは福岡県・博多港から高速船で約1時間、長崎空港からなら飛行機で30分の位置にあり、北西に対馬、そしてその向こうには朝鮮半島がある、まさに国境エリアの島なのである。

    それでも、今朝羽田空港で飛行機に飛び乗って4時間にも満たないというのに、もう壱岐島に着いた。これから始まる島旅への気持ちがはやる。しかも首都圏からはるか南にある壱岐島は海が美しいに違いなく、食べ物のよさは一級の九州にあるのだから食だって間違いないだろう。

    空が高い! ステキな旅になる予感しかない!

    「し、師匠。おなか減りません? 」

    ズコー!(昭和風)。マチダよ! ようやく島に渡って、師匠は今、旅の雰囲気にひたってたの! でも確かにいいアイデア!というわけで、芦辺港にある評判の「味処うめしま」のランチに早々ドロップ。食欲には何事もかなわない。

    年間わずか800頭しか出荷されないという希少な壱岐牛を堪能。

    焼き肉「味処うめしま」では「梅嶋牧場」直販の“一頭仕込み”で各部位をリーズナブルにいただける。写真はランチの「カルビ定食」2,300円。壱岐牛は玄界灘の暖流や潮風の影響を受けたミネラルたっぷりの飼料で育ち、白く輝くサシと鮮紅色のお肉が口のなかで融けるおいしさ!

    味処うめしま

    所在地:長崎県壱岐市芦辺町箱崎中山触2604-86
    電話:0920-45-3729
    定休日:水曜日
    ホームページ:http://umeshima.com

    「いや~おいしかったですね! それじゃぼちぼちキャンプ場に向かいますか」腹ごなしを終えてそう言うとマチダがなにやら言いたそう。

    「師匠…、本日は民宿を取りました!あまりにもキャンプに不安しかないので、今宵はじっくり心構えや道具についての解説を聞こうかと。エヘ」

    うーむ、マチダにとってのソロキャンプは槍ヶ岳登頂並のハードルの高さなのだろうか。

    「師匠の晩酌用においしいお酒の購入もできればと考えております!」「むむ、苦しゅうない!」

    お酒に釣られつつ民宿のある島の南東へ車を走らせるのであった。

    芦辺港の南東にある「清石浜」に立ち寄り景色に目を奪われた。“くよしはま”と呼ぶこのビーチはシーズン中、多くの地元海水浴客でにぎわうそう。壱岐島の砂浜の砂が白くて細かく、ふわふわした手触り。貝殻などが砕け散ったものが海底やビーチに堆積している。

    「壱岐のモンサンミッシェル」と呼ばれるのが「小島神社」だ。干潮時の前後数時間だけ海から参道が現れて、歩いての参拝が可能。このときは潮のタイミングで渡れなかったが、マチダが熱心に「キャンプ安全祈願」をしていた。

    筒城浜海水浴場が望める高台にある初日の宿泊先「民宿 マリン宝盛荘」。

    「さ、師匠。まずは一献」「うむ、ではいただこう」

    宿は某番組「ご長寿早押しクイズ」を催したくなるような昭和感がいい。

    何のやりとりか不明なまま、夜の宴が進んでいく。せっかくなのでマチダが感じているキャンプの不安材料を洗い出してみた。

    「何より闇!真っ暗な中テントで寝るなんて怖すぎ…子どもの頃から暗いのが苦手でして。都会で生活しているので周辺に人がいないという環境も、あと夜中のトイレも…。寝ている間に動物が襲ってきたら…。虫もダメなんですぅ。それから…」

    出るわ出るわ、不安まみれ。聞けば、マチダは東京23区随一の大きな街で暮らしているそうな。自宅周辺は一晩中にぎやかで、24時間光と音が溢れる生活なのだそう。そりゃ不安になるわ!初心者キャンプの極意は「習うより、慣れろ」。今できることはなにもなく、結局は潔く飲んで寝るのみであった。

    料理自慢のおかみさんがひとつひとつ丁寧に作られる夕食。民宿とは思えない品数と味付けに一同驚いた。

    壱岐島で現在唯一日本酒をつくる「重家酒造」。1990年にいったん途絶えた日本酒づくりを28年ぶりに再開しニュースとなった。そのきっかけとなったのが、写真右の「横山五十」で、マスカットを思わせる上品な味わいの純米大吟醸だ。

    「マリン宝盛荘」から望むマジックアワーの眺め。

    民宿マリン宝盛荘

    所在地:長崎県壱岐市石田町筒城東触399
    電話:0920-44-6038
    宿泊料金:8,800~13,200円(1泊2食)

    DAY2 「じつは人がいない方が怖くないのかもしれない」

    翌朝、朝食を食べながらマチダが突然こう切り出した。「師匠!今日はキャンプの前においしい島の焼酎を調達にいきましょう!」

    どうしたんだ、いきなり。

    「キャンプではお酒がより一層おいしいと昨晩聞いたので俄然やる気が出てきました」

    昨日の夜の打ち合わせ(?)効果が出たということか。さっそく見学も受け入れている蔵を訪ねることになった。

    じつは壱岐島は麦焼酎発祥の地と言われ、なんと500年の歴史を有するというから驚きだ。中国から伝来してきた蒸留技術によって始まり、明治35年には最多で55軒の蔵があったそう。現在は7軒が伝統の製造法をまもりながら壱岐焼酎を造っている。やってきたのは「壱岐の蔵酒造」。

    200年以上歴史がある6つの蔵が協業し誕生した「壱岐の蔵酒造」。

    スペインから取り寄せたシェリー酒の古樽などを使って原酒を長期熟成させる焼酎も。

    できあがりはウイスキーのような味と香りに。冷凍庫でキンキンに冷やして飲むと抜群においしいらしい。

    「ドライバーの師匠に代わっておいしい焼酎を選び抜きます!」着々と試飲を進めるトムソンガゼル・マチダ。

    ちなみに、九州のメジャーな麦焼酎と異なるのが、壱岐の焼酎は麦麹ではなく「米麹」を使った麦焼酎だということ。そして壱岐市内で採水した水、製品によっては壱岐産の麦・米を100%使用して、壱岐市内で蒸留・貯蔵される。ここ「壱岐の蔵酒造」は定番品のほか、リキュールやクラフトジンなど焼酎をベースにした酒づくりも行なう挑戦的な蔵元として知られているのだそうだ。

    酒タンクの中心で愛を叫ぶフクタキ。

    壱岐の焼酎愛が止まらないスタッフの加代子さん。買わせ上手!

    壱岐の蔵酒造

    所在地:長崎県壱岐市芦辺町湯岳本村触520
    電話:0120-595-373
    営業時間:9:00~17:00 
    ※蔵見学は9:00~16:00、要予約
    休業日:お盆・お正月休み
    ホームページ:https://ikinokura.co.jp

    その後、地場産品の直売所「マリンパル壱岐」や地元スーパーをハシゴし、キャンプに備えて食材の買い出しを行なった。

    キャンプの楽しみは食べること。印通寺港にある「マリンパル壱岐」は新鮮な地場産品が揃う直売所。観光客だけでなく地元の人が市場のように利用していた。

    マリンパル壱岐

    所在地:長崎県壱岐市石田町印通寺浦471-2
    電話:0920-48-5800
    営業時間:8:00~18:00 

    キャンプ場に向かう途中、今人気のスポットだという「壱岐イルカパーク&リゾート」にも立ち寄ることができた。

    この施設は天然の入り江を利用した海浜公園で、2019年4月、現在の形にリニューアルオープン。それまではイルカは狭い囲いに閉じこめられていたが、自由に入り江内を泳ぎまわれるようにしたそう。イルカの尊厳や人との信頼関係を何より大切にしながら、誰でもイルカと触れ合いをもてる場として現在運営されている。

    イルカと実際に触れ合える「ステップタッチ」は、ウェーダーを履いて水中に入り、イルカとコミュニケーションが取れる人気プログラム。イルカがとにかく楽しんでいる雰囲気が伝わって、こちらもうれしくなる。

    また施設はテレワークも歓迎していて、カフェではWi-Fiや電源も完備。さきほどから遊んでばかりに見えるだろうが、実際はフクタキもマチダもちょこちょこ仕事もしているのである。イルカが泳ぐ海の前でのテレワークは人生初だったが…。

    入り江の前にある芝生広場は1日1組限定のキャンプ場。イルカの息遣いが聞こえる距離に泊まれるなんてほかにある!? キャンプ道具はスノーピーク製品ですべて用意され、キャンプ初心者でも安心して泊まれる。 (機材を持ち込みしたい場合は要相談)

    もともとあった建物はリノベーションして開放感あふれるカフェに。イルカについて学べるスペースも併設され、子どもたちにも大人気!

    壱岐イルカパーク&リゾート

    所在地:長崎県壱岐市勝本町東触2668-3
    電話:0920-42-0759
    営業時間:9:30~17:30
    休業日:12月31日、1月1日
    ホームページ:https://ikiparks.com

    イルカタッチで胸いっぱいになったところで、いよいよやってきたのが島の最北端にある「串山キャンプ場」。島内にはキャンプ場が全部で3箇所あるらしいが、せっかく島にやってきたのでオーシャンフロントで野営できるワイルドなキャンプ場をチョイス。海と山に挟まれた手ごろなサイズのキャンプ場で、なんと無料。

    「芝生の上ってローラーが転がらない…」美容の取材でフランス・パリに出張していたかつてのマチダからは考えられないセリフと行動。

    マチダ全持ち物。ULテントの定番ビッグアグネスや、ヘリノックスチェア、入手困難なゴールゼロ「マイクロフラッシュ」などは編集部の貸し出しアイテム。寒さを恐れるマチダの心の現れか、ニット帽やマフラー、手袋系が充実し、「マグマ」という高温カイロの量もすごい!キャンプらしからぬニンテンドースイッチは「夜怖くて寝られない事態に備えてもってきた」とのこと。

    さあいよいよテント設営だ。

    恐る恐るあける。

    見守るフクタキ。

    ちょっと変則的なフレームだから苦戦やむなし。

    中に入ってみるという斬新な作戦。

    形になってきた! 基本的にテントは誰にでも立てやすい ユニバーサルデザインでわかりやすくできている。

    出発前から「ハンマーが準備できない」と心配していたマチダ。ペグは足で踏むか石で十分!

    寝床ができてきましたよ~。

    なんとか設営完了!

    ひと仕事終えた感ただようマチダだが、キャンプはこれからだぞ!

    思いの他テントの設営が簡単だったためゴキゲンなマチダだったが、「こんな薄い布のなかで眠るなんて本当に大丈夫かな…」と不安もたっぷり。確かに大都会の暮らしとは環境が違いすぎ、好奇心旺盛な職業である編集者でも引け腰になるのもわかる。ここまでくれば案ずるより産むが易しだ! 勢いで宴会の準備もグイグイ進める。

    ほぼ壱岐島産で揃えられた購入食材。海産物や柚子関連の調味料、そしてお酒。

    島のツテで唯一お借りしたBBQグリルで炭火に火熾し。煙突効果で積み上げた炭の間を空気が上昇し、うちわであおぐことなく着火できる。

    火熾しの間に、湯煎したパックご飯を使って時短の刺身丼でまずは腹ごしらえ。

    みりん干しや厚揚げなど。少食だなとお思いでしょうか。これにはワケがあります。

    仕事で外国で晩餐会に出席したこともあるというマチダが、離島で、最低限の装備で、おっかなびっくりアウトドア調理。人生って分からないものだな、ととても感慨深い。

    炭火で香ばしく焼き上げた食材を、島のよい調味料だけでいただく。小細工をする必要がまったくない、十分すぎるおいしさ。

    温暖な壱岐島もまだ3月初旬。日没が近くなり徐々に冷えてきたが、風はなく穏やかだ。この時期にしては格好のキャンプ日和となった。

    言葉もいらぬ、至福のひと時。

    さぁ陽も暮れますし、そろそろ寝床をととのえて…と、優等生キャンパーならそう言うところ。だがこれで終わらない貪欲シスターズ!小腹を満たしてキャンプ場からひたすら歩くこと45分。最寄りの港町・勝本にあるクラフトビール醸造所にやってきた。ふたりを突き動かしたのは「せっかく壱岐島に来たのだから余すことなく楽しみたい」という、もはや執念である。

    「アイランドブルワリー」は、コロナ禍のまっただ中の2021年にオープン。創業130年の麦焼酎の酒蔵だった「原田酒造」の5代目・原田知征さんが実家である酒蔵をリノベージョンし、長崎唯一のクラフトビールの醸造所としてスタートさせた。

    ビールのコンセプトは「壱岐島の魚に合うビール」。

    醸造所にはつくりたてのビールが飲めるタップルームを併設。写真一番左がここのフラッグシップビールで、壱岐焼酎づくりに欠かせない白麹を使った「ゴールデンエール」。なんと、すべてのビールはお店で量り売りでき、串山キャンプ場に持ち帰る人もいるのだとか!(グロウラーのレンタルもあり!)

    グラデーションが見事な各種ビール。左3つは定番で、左からゴールデンエール、IPA、柚子麹エール。

    右3つは期間限定で味が変わり、このときはプラムバーレイワイン、セレブレーション、ゆべしチョコレートをラインナップ。3種ずつスモールグラスで飲み比べのセットが楽しめる。たまらん!

    ISLAND BREWERY TAPROOM

    所在地:長崎県壱岐市勝本町勝本浦249
    電話:0920-42-0010
    営業時間:10:00~22:00(L.O.21:30)
    定休日:年中無休
    ホームページ:https://iki-island.co.jp

    島旅も初めてならキャンプも初体験。ヘッドランプを灯し、焚き火を囲む夜も人生で初。日本海に面した壱岐島の北端で、満天の星空に見守られながらマチダの長い1日が終わろうとしていた。

    「なにもかもが初めてで、気付けば夜。このあと眠れるか…」「大丈夫! だって悪さする人ここにはだれもいませんから」「ドキドキ」

    それぞれのテントに入り、身支度を整え、「おやすみなさい」とライトを消した。マチダの様子が気になってしばらく耳をそばだてていると…。

    「スー、スー…」

    一瞬で寝た! 案ずるより産むが易しとはまさにこのこと。あとで聞いたら、夜中に目覚めてトイレに行ったそうだが「じつは人がいない方が怖くなかった!」と言い放っていた。美容誌と週刊誌とアウトドア雑誌を渡り歩いているだけあり、さすがの順応力!なんだか成長しているぞ、マチダ!

    DAY3 「仕事ってなんだろう、都会に暮らすってなんだろう」

    霜が降りるほど冷え込んだ朝、マチダはマイナス5度対応の最強寝袋で熟睡したらしい。っていうかこのお腹、この色合い、ひょっとして…!?

    マチダが唯一持っていたアウトドア道具が寝袋ブランド「ナンガ」と小学館がコラボしたドラえもん寝袋。何コレ、かわいすぎでしょう!!

    刻々と変化する夜明けの空を眺めて。普段は夜型だそうだが、キャンプの朝は早い。

    朝食はとらず撤収した私たちは、一気に南下して島の南部へ! 2泊3日、やることがまだまだ終わらない!最終日、朝からやってきたのは郷ノ浦港にある「クロスポート武生水」。ここで「トゥクトゥク」を借りられると聞き、アジア放浪旅をなつかしむフクタキの希望でやってきたのだ。

    トゥクトゥクとは東南アジアで多く使われている三輪の乗り物で、運転手が前席、後席に乗客や荷物を載せて走るというもの(そのエンジン音からタイなどでトゥクトゥクと呼ばれるようになったという諸説も)。その電動トゥクトゥクのレンタルが壱岐島に導入されているという。

    じつは壱岐島は日本で最初に「SDGs未来都市」に認定された離島で、島をあげて最新の移動・輸送技術や持続可能なエネルギーをテーマに掲げているのだそうだ。ガソリンを使わず、バッテリー式電源で走るトゥクトゥク。公道で運転するには普通自動車免許があればいい。カラッと晴れ渡った壱岐島を排ガスの出ないエネルギーで颯爽と走ったらどんなに気持ちいいことだろう。

    さっそくクロスポート武生水にある「りとれん」でレンタル手続きをし、簡単な操作方法を聞いて、貪欲シスターズはドライブに出ることにした。

    りとれん

    所在地:長崎県壱岐市郷ノ浦町郷ノ浦122-8(「クロスポート武生水」内)
    電話:050-5211-5434
    営業時間:9:30~17:30
    定休日:年末年始(12/30〜1/3)
    電動トゥクトゥクレンタカー料金:1時間2000円~(ほかEV車や軽自動車もあり)
    ホームページ:https://crossport.site

    黄色いボディがなんともかわいい。EVらしくクイックな操作感。一度のフル充電で島をめぐる上でのバッテリーは十分だそう。

    なんとのびやかな風景!

    壱岐島は島でありながら広い平野があちこちに見られる。温暖な気候や豊富な地下水と合わせ、島では米作りもさかん。また離島ながら海産物だけでなく多くの農産物も収穫でき、それらをベースにした加工品も充実。焼酎・日本酒・ビールまでもつくっている。まさに「自給自足できる島」なのだ。

    『魏志倭人伝』に記された「一支国(いきこく)」の王都に特定された遺跡「原の辻遺跡」。約2000年前にあたる弥生時代~古墳時代初頭に一支国が交易によって栄えていたことを示す居住跡や日本最古の船着き場の跡が周囲で確認されているそう。

    「原の辻遺跡」の目と鼻の先にあるテレワークセンター「フリーウィルスタジオ」。史跡の国宝のなかで仕事できるのは日本で唯一ここだけだそう!コワーキングスペース20席、サテライトオフィス7室、コミュニティスペースなど充実。

    ここでは急ぎのメールを返信するなど、スペースをお借りして仕事に集中することができた。サテライトオフィスやコミュニティスペースでは、思い思いのスタイルで仕事に打ち込んでいる人々もたくさんいらっしゃった。キャンプやアクティビティを楽しみながら、仕事もしやすい環境が整っているなんて本当に助かる~!

    ちなみに、 壱岐市内にはこの記事で紹介した場所も入れて、現在全部で8カ所のテレワークセンターがあるそうだ。
    https://www.city.iki.nagasaki.jp/soshiki/sdgs/telework/10084.html

    前述のワーケーションスペースでは、今回お世話になった市SDGs未来課の畑 健太郎さんと地域おこし協力隊の田口有香さんに壱岐島での暮らしぶりについても聞いてみた。おふたりとも移住組なのだが、口を揃えて「壱岐は本当に住みやすく、いいところです」と胸を張る。

    笑顔の素敵な畑さん(左)と田口さん(右)。

    「たまたま学生のころに食べた壱岐島のメロンがおいしくて」と、意外な目線から壱岐島への就職を決めた畑さんは、都会暮らしからの転居でも「困ったことや不便なことはそんなにない」と、今の毎日に満足しているそう。

    田口さんは旦那さまが壱岐島出身で、結婚したときからいつかは島に住むだろうなと思っていたそう。実際に来てみたら気候や豊かな食、人のやさしさなどからますます好きになったと話してくれた。

    そしてまた、壱岐島は移住者が多い島でもあることも知った。

    「PCひとつで仕事ができる人はもともとの仕事を持って移住されることが少なくないですね。Webデザイナーの方は転居後、島の企業ともお仕事をされて仕事の幅が広がったそうです」と畑さん。

    では移住に仕事を伴えない人はどうなのだろう。

    「それも大丈夫かと!ハローワークでは常時20〜30件の求人があって、第一次産業のお手伝いや観光施設の仕事など業種も多種多様。移住のネックになる就職のハードルはそんなに高くないと思います」と、田口さんが笑顔でフォローしてくれた。

    フリーウィルスタジオ

    所在地:長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触1092-5
    電話:0920-40-0231
    営業時間:9:00~17:00
    コワーキングスペース利用料金:平日9~17時のドロップイン利用は無料
    ホームページ:http://iki-freewillstudio.jp

    仕事も一段落付いたら…お腹が空いたー!!ということで、壱岐島産の新鮮食材を使ったバイキング形式の食事どころに向かった。郷ノ浦漁港すぐにあり、土日祝は朝7時からやっているそうだ。昼バイキングはお刺し身も付く和食中心 。朝定食800円、昼バイキング1100円。

    かもめの朝ごはん

    所在地:長崎県壱岐市郷ノ浦町郷ノ浦405-6
    電話:0920-47-4539
    営業時間:月・火・木・金 11:00~14:00
    土日祝 朝定食7:00~9:30  昼 11:00~14:00
    定休日:毎週水曜日
    ホームページ:https://www.facebook.com/kamomenoasagohan/

    午後、岳ノ辻にもトゥクトゥクで足を伸ばしてみた。岳ノ辻は島内最高峰で、山肌にある展望台は島周辺を見渡せる絶景スポットだ。晴れた日には九州や対馬などが見渡せ、この日も重なりあった島々が一望できた。

    そんな風景を眺めながら、展望台でマチダがつぶやいた。

    「東京で毎日遅くまで働いて…仕事ってなんなんでしょうね。都会ってなんなんでしょう。こんな景色を眺めてしまったら、本当(に求めるの)はこれなんじゃない?なんて思ってしまいました」

    なんと! 壱岐島に来たときのマチダの心はまだ大都会・東京にあったろうに、たった3日でその境地に。壱岐島の魅力は、瞬く間にマチダの心に強く作用したのだ。その土地に身を置くことでしか体感できないたくさんの魅力。壱岐島はわずか数日の滞在でも、人生観を変えてしまうほど本当にすばらしい島なのである。

    岳ノ辻展望台から見た景色は、まるで山の上から眺める雲海のように輝いてみえた。

     博多へ向かう高速船・ジェットフォイルの出港まであと1時間足らず。2泊3日の壱岐島旅はまもなく終わりをつげようとしている。マチダよ、今度は荷物がなだれる心配のないバックパックで来よう。空いた両手でつかむものは無限の広がりがあるアウトドアの旅。次回はまだ見ぬ壱岐島のフィールドに出かけようではないですか!

    その他立ち寄ったオススメスポットをご紹介

    島の南東部にある日本の快水浴場100選「筒城浜(つつきはま)」。そこに隣接しているのが「筒城浜ふれあい広場キャンプ場」だ。広大な芝生広場を利用したキャンプ場で、ひとり1泊400円(レストハウス窓口で支払い)。

    筒城浜ふれあい広場キャンプ場

    所在地:長崎県壱岐市石田町筒城仲触1885
    電話:0920-44-6673(筒城浜ふれあい広場レストハウス)
    営業時間:9:00~17:00
    休業日:月曜日、年末年始
    ホームページ:https://www.ikikankou.com/spot/10102

    「壱岐市立一支国(いきこく)博物館」では、中国の史書『魏志倭人伝』に「一支国」というクニの名で記された弥生時代を中心に、壱岐島の通史をわかりやすく紹介している。

    土器や石器、鉄製品、動物の骨など、島内の遺跡や古墳から出土した約2000点の実物資料を展示し、165体のフィギュアを用いた巨大ジオラマなど創意工夫に富んだ演出が人気。緑化された曲線屋根のデザインは、世界的建築家の故・黒川紀章。

    壱岐市立一支国博物館

    所在地:長崎県壱岐市芦辺町深江鶴亀触515-1
    電話:0920-45-2731
    営業時間:8:45~17:30
    休業日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)、12月29日~31日
    常設展示室観覧料:一般410円、高校生310円、小中学生210円
    ホームページ:http://www.iki-haku.jp

    壱岐島の南の玄関口・郷ノ浦港から徒歩12分にある「クロスポート武生水(むしょうず)」。テレワークの拠点として誕生し、1階はイベント開催もできるコワーキングスペース。2階は防音仕様のモニター付きソロブース(個室)や会議室を備えている。

    クロスポート武生水

    所在地:所在地:長崎県壱岐市郷ノ浦町郷ノ浦122-8
    電話:050-5211-5434
    営業時間:9:00~18:00
    休業日:年末年始(12/30〜1/3)
    施設利用料:フリーアドレス(1F)無料、ソロブース500円/時間など
    ホームページ:https://crossport.site

    壱岐島の観光情報はこちらでチェック!

    一般社団法人壱岐市観光連盟
    電話:0920-47-3700
    営業時間:8:30~17:15
    休業日:土日祝
    壱岐観光ナビ:https://www.ikikankou.com/

    撮影/田渕睦深
    取材・文/福瀧智子

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