オーストラリア国内で「リバーシティー(川の街)」と称されるように、町の中心部を蛇行した川が流れるブリスベン。その川沿いの印象的な遊歩道を紹介するシリーズの第3弾はマングローブ林の脇を行く遊歩道です。
マングローブは何科の植物?
その遊歩道の名前はオーストラリア・ブリスベンにある「マングローブウォーク(Mangrove Walk)」。
ブリスベンの南端にあるクイーンズランド工科大学のそのまた南端あたりから始まって、川沿いを北北西に進む約650メートルの遊歩道です。
この「マングローブウォーク」、東側はマングローブでその先高速道路を挟んで高層ビル群ですが、西側は川なので日差しをもろに浴びます。特に夏場は日差しを避けて、朝早くか夕方遅めから歩きはじめるのがオススメです。
では、いよいよウォーキング開始です。
突き当りにあるカフェの手前を右に曲がるとすぐにこんな遊歩道が始まります。
マングローブ林の向こうは高速道路なのですが、目に入らないようになっています。
さて、みなさん。マングローブって何科の植物かご存じですか? じつは何科とは限定できません。というのは「マングローブ」という種類の木があるわけではなく、熱帯や亜熱帯の汽水域(河川水と海水が交わる場所)に生える低木や高木の総称。つまり高山に生える植物をひっくるめて「高山植物」と呼ぶような感じですね。ちなみにマングローブを構成する植物は100種類前後と見られているようです。
先住民アボリジニのアートを楽しむ
しばらく進むと歩道上にこんなアートが出てきました。いちばん手前はカンガルーですね。このカンガルーは先住民アボリジニ(アボリジナルとも)の壁画などでもよく描かれているものです。
そのアボリジニは文字を持っていなかったこともあり、ある壁画がいつ描かれたのかわかりづらいことも多いそう。推測のヒントの一つになるのが描かれている動物です。たとえば海水にしかいない魚が描かれていたら、「そのあたりが海のそばだった時代に描かれたもの」と推測するのだそうです。
しばらくするとベンチの壁画にもアボリジナルアート。
これはおそらくアボリジニの伝統的なアートとか関係のない作品。
休憩所もところどころに。屋根付き・屋根なし両方あります。
おなじみブーメラン。アボリジニが狩猟や儀式に使っていた道具です。
両側をマングローブに挟まれたエリア。
ええっと……この柵、臨時のものですよね? 下のほうはちゃんとコンクリートにボルトで固定されてはいますが。
最後に右側に折れて、高速道路の下を通過。この先で最初に枝分かれした歩行者・自転車専用道路と合流します。
じつは2021年に続き2022年2月末から3月にかけて大きな洪水があったブリスベン(わが家も床下あと15センチのところまで浸水して、庭は完全に水没しました)。このあたりのマングローブもそれなりに被害を受けたと思われます。でも日差しの強い亜熱帯。すぐにマングローブも成長して、さらに興味深い姿を見せてくれると信じています。
あっ、途中で問題を出した「日本人やアメリカ人の男性はブーメランを投げるのがうまい人が多い理由」の答えを発表しましょう。経験のある方はご存じでしょうが、ブーメランは肘と手首のスナップを利かせて投げます。このスナップを利かせる投げ方、そう、野球と同じ! で、草野球も含めて経験者が多い日本やアメリカの男性は、ブーメランもうまく投げられる人の割合が高いというわけです。
次回は川越しに摩天楼を望む「クレムジョンズプロムナード」を紹介します!
オーストラリア在住ライター(海外書き人クラブ)
柳沢有紀夫