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シチュエーションに合った選択が鍵。冬の山歩き初心者が選ぶべきクランポン選択術

2021.12.13

雪化粧を始めた山が遠くに見えると、気になるのが冬の登山道への対策。

上級者でなくても雪のエリアに行くなら必須なのが、スパイクやクランポンと呼ばれるアイテム。これらは、鉄の爪を靴底に装着して雪の上を歩きやすくするためのもの。

購入を検討する際には、何よりシュチュエーションと靴がポイント。いくつかある種類も含め、雪が降り始めた今こそ押さえておきたいクランポン選びのポイントに注目。

クランポン?アイゼン??

聞かれることがあるのが「クランポンとアイゼンは何が違うの?」という疑問です。

実はどちらも同じものを指しています。クランポン (Crampons ) は英語、フランス語。アイゼンはドイツ語のシュタイクアイゼン (Steigeisen ) に由来する和製語です。

普段何気なく使っている登山アイテムの中には、同じものを指しているのに違った呼び方をしているものがとても多く、なぜなら日本で主に使われる山用語はドイツ語を由来とするものが多いからです、近年はだいぶ英語に統一されてきました。そのような経緯から、別のアイテムだと勘違いしたりする人も少なくないのです。この辺りはまた別の機会にお伝えしたいと思います。

今回は、代表的なスパイクとクランポンをご紹介していきます。

左から12本爪クランポン、6本爪クランポン、チェーンスパイク。

冬の低山や残雪期などに活躍するチェーンスパイク

筆者も御守りのように持って行く機会のあるアイテムがチェーンスパイク。本体は収縮性のあるゴム素材で鉄製の爪が付いたチェーンを張るタイプ。重量は400g前後と軽量でコンパクト。ここのところ、トレイルランニングでよく使用されているのを見かけます。なぜかというとゴム素材が使われているので、靴底の柔らかいトレッキングブーツやトレランシューズに装着してもしっかりフィット。靴下を履くような感じで、数十秒で脱着することが可能だからです。ただし、爪が短いので深い雪は苦手。

伸縮性のある素材で固定される。短い爪がチェーンでいくつも取り付けられている。靴を選ばないことと着脱が容易なのが特徴。

斜度もなく踏み固められた雪の低山や、残雪のある時期におすすめ。登山道の所々に雪が残り、凍結しているところが突然現れるなど道の状況が行ってみないとわからないような脱着の機会が多そうなところで活躍します。季節の変わり目にはあると便利だと感じています。

チェーンスパイクはクランポンのような尖った爪はない。残雪期や斜度もなく踏み固められた雪の低山、トレイルランニングにおすすめ。

6本爪クランポンはチェーンスパイクに比べ爪が長く、雪にしっかり刺さる

チェーンスパイクは刃が短いので、雪が積もっているような地面や傾斜が強い道などでは、深く刺さることが出来ずに滑ってしまう事もあります。そんな場所では6本爪クランポンならはるかに安定しています。シューズの真ん中の土踏まずにストラップを使用して、しっかりと取り付けられます。

チェーンスパイクに比べて、しっかりとした爪があるのが特徴。爪の長さは約10mm。

シンプルでコンパクトな作り。スタラップで固定を行なうことができる。

靴底が比較的固く丈夫なマウンテンブーツに使用でき、靴底の柔らかすぎるトレッキングブーツやトレランシューズには適しません。夏の雪渓歩きでよく使われる他、斜度もなく足首より下の深さで雪がある場所などに最適です。本体には雪が付着するのを防ぐプラスチック製のプレートを備えているのが、チェーンスパイクとは異なります。爪が10mm程あるので積雪の少なすぎる場所が長く続くと歩きづらく感じます。つま先や踵側には爪がないのが特徴で、急勾配や高山になるほど使用できるシチュエーションは少なくなるので、次に紹介する12本爪クランポンが必要となってきます。

6本爪クランポンは、積雪のある低山や雪渓歩きに適している。つま先部分の爪がないので、斜度のあるところには適さない。

本格的な高所登山なら12本爪クランポンが必要

本格的な氷と固い雪の上を歩く山旅を目指すなら、急な斜面や高山、雪と岩のミックスするような場面でも使える本格的な12本爪クランポンが必要です。これまでに紹介した2種類とは異なり、氷や雪に突き刺して捉えるために、つま先側に飛び出した爪があるのが特徴。12本ある爪は厳しい冬の道で安定したグリップを得ることができます。このカテゴリーになると素材やデザインも様々です。

前に大きく突き出た爪が特徴的。爪の形や大きさだけでなく向きも少しずつ変えることで、安定したグリップを生み出す。

取り付け方法にはいくつかあります。マウンテンブーツはつま先とかかとのコバ(頑丈な樹脂製のくぼみ)がある場合と無い場合があり、取り付けスタイルはブーツとクランポンを選択するときの重要なポイントになります。

赤丸の中の黄色いプラスチック部分がコバ。冬山に適したブーツには前後にコバが付いている。

冬用のマウンテンブーツは、つま先と踵にコバが付いていて靴底も非常に固いです。このタイプに装着出来るのがワンタッチ式と呼ばれるもので、クランポン側に用意された金具でスキーのビンディングのようにパチンと固定します。踵側のコバしか用意されていない、3シーズン向けのマウンテンブーツなどはストラップ式(コバがない靴用)、セミワンタッチ式(後ろにコバがある靴用)と呼ばれるタイプを選択します。セミワンタッチ式の場合、踵はクランポン側に用意された金具で固定し、つま先はベイルと呼ばれるアタッチメントに通したストラップで固定するスタイルです。

左はつま先にコバが無いブーツをベイルと呼ばれるアタッチメントに通したストラップで固定するタイプ。右のワンタッチ式はつま先のコバに金具で固定する

底の柔らかいハイキングブーツやトレランシューズ、コバのない靴は脱げてしまうことや破損してしまう恐れもあることから残念ながら装着できません。取り付けられない靴は雪のある場所に行くのには適さない靴だとも言えます。

雪が付着しにくくする効果があるプラスチックプレート。左のチェーンスパイクにはプレートが付いていない。右2つの12本爪と6本爪にはプレートが付いている

6本爪と同じく、多くのクランポンの下側にはプラ​​スチック製のプレートが備えられます。凸状の膨らんだプレートがあることで雪が付着しにくくする効果的があり、雪を落とすためにブーツを頻繁に叩くことを軽減します。

12本爪クランポンなら、こうした急峻なルートでも安定した歩行が出来る。

まとめ

チェーンスパイクやクランポンは、店頭で選ぶことをお勧めします。靴底の形状とクランポンの形状にも相性があるので、正しく機能するようにブーツと完全に固定されるかどうかなどサイズだけでなく、実際にいくつか組み合わせてみる必要があります。間違った組み合わせで使おうとすると、ブーツから容易に外れて危険な状況が発生する可能性があるため、ショップスタッフと相談しながらブーツに取り付けてみるなど実際にチェックしてみてください!

左から12本爪、6本爪、チェーンスパイク 爪の長さや大きさがこれだけ異なる

(1)旅のスタイルに合ったものを選ぶ

山に限らず向かうエリアの雪と氷の状態、地形や傾斜、そして自身の経験と快適さのレベルによって選びます。3つの要素すべてを考慮したバランスの取れた判断が必要になります。初心者の方はインターネットの情報に頼りすぎず、ショップスタッフや同行する先輩などからアドバイスを受けてください。

・チェーンスパイクはクランポンの代わりにはなりませんが、コンパクトで軽量なのでシューズを選びません、初冬の低山や登山道までのアプローチ、冬のトレイルランニングなど軽快なアクティビティや山に限らず、降雪時は街でも手軽に使うことが出来るのでバックに忍ばせておいて損はない。

・6本爪は散発的にクランポンが必要な、傾斜も緩く積雪があるが岩との接触がほとんどない、低山や深さのない雪原歩きや雪渓歩きの旅に。

・12本爪は積雪があり頻繁にそして長い間もクランポの装着が必要で、岩や凍った場所、斜度のきつい高山の旅で必須。

※ネット通販で購入できる、相場より明らかに安値の製品は破損しやすいなどのリスクがあります。信頼できるメーカーのものを購入しましょう。

(2)店頭購入でサイズをしっかり登山靴と合わせる

チェーンスパイクやクランポンは、店頭で選ぶことをお勧めします。靴底の形状とクランポンの形状にも相性があるので、正しく機能するようにブーツと完全に固定されるかどうかなどサイズだけでなく、実際にいくつか組み合わせてみる必要があります。間違った組み合わせで使おうとすると、ブーツから容易に外れて危険な状況が発生する可能性があるため、ショップスタッフと相談しながら実際にブーツに取り付けてみるなど慎重に選択することが重要です。

(3)取り付け方法は事前に練習

無事に購入したとしても、実際に着脱するのは寒い屋外になります、特に冬はグローブを装着したままでクランポンを着脱するので、慣れるまで何度も練習をすることをお勧めします。

初めての雪山であれば、経験者と行くことをお勧めします。しっかりと準備をして、この冬に挑むようにしましょう。

 

私が書きました!
JSPO公認山岳コーチ
岸 正夫
アウトドアの楽しみを多くの人と共有したいと“山ごはんクラブ”を主宰。キャンプだけでなく低山ハイキングから高山縦走まであらゆる山行を楽しむ。トレイルランニングやウルトラランニング歴も長い。遊ばせてもらっているフィールドに恩返しする気持ちで、ハイキングコースの整備に取り組んでいる。
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