最高級の薪!?焚き火で使えるオガライトとは? | 焚き火のコツ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2021.01.15

    最高級の薪!?焚き火で使えるオガライトとは?

    私が書きました!
    自然派ライター/セルフビルダー
    和田義弥
    1973年生まれ。旅、アウトドア、DIY、田舎暮らし、家庭菜園などのジャンルで活躍するフリーライター。これまで延べ3年3カ月かけてオートバイで世界一周したほか、自転車ではアラスカ、フィリピンを野宿ツーリング。2011年から茨城県筑波山麓の農村で田舎暮らし。自宅のセルフビルドや野菜づくりなど、できることは何でも手づくりの生活を実践中。著書に「キャンプの基本がすべてわかる本」(枻出版社)、「野菜づくりを基礎から学ぶ 庭先菜園12ヵ月」(実業之日本社)、「ニワトリと暮らす」(地球丸)、「菜園DIY入門」(地球丸)など多数。 http://www.wadayoshi.com

    ちくわのように穴があいていて、見た目は黒糖をまぶした麩菓子のようでもある。

    オガライトという木質系燃料がある。製材所で材木を加工する際にふんだんに出るおがくずや木材チップを高温で加熱圧縮し、成型したものだ。長さ2040cm、太さ56cmの棒状で、断面は六角形をしており、ちくわのように真ん中に穴が開いている。表面が茶色く焦げているので、麩菓子のようにも見える。

    樹木には主成分のひとつにリグニンという高分子化合物が含まれており、成型の際はそのリグニンが凝固剤の役割をするため接着剤などの添加物は使われていない。つまり100%木質系燃料であり、薪として焚き火や薪ストーブに使えるのである。

    オガライトはどこで手に入る?

    オガライトが開発されたのは大正末期だが、それが広く普及したのは戦後から昭和4050年代の高度経済成長期にかけて。主に薪炊きの風呂の燃料として使われていた。しかし、石油やガスが普及すると需要は激減。薪で煮炊きをしていた時代は一般的な燃料だったが、今ではオガライトと聞いても、それが何か知っている人は少ないだろう。

    かくいう私も、ホームセンターのキャンピング用品売り場にバーベキュー用の炭として、オガライトを炭化したオガ炭が並んでいるのは知っていたけれど、それを使ったこともなければ(いつも安価なマングローブ木炭を買ってしまう)、オガライト自体を意識して見たことはないような気がする。

    それで、改めて家の近くの(といっても車で20分ほど)ホームセンターを何件か回ったのだが、オガ炭はそこそこ扱っている店があったものの、オガライトは地域で最も大きな店にしか置いていなかった。それも冬だけ力を入れて展開される薪ストーブ売り場で、薪や豆炭などと一緒に置いてあった。

    おがくずがギュッと圧縮されて詰まっている。ホームセンターのほか、インターネットでも入手できる。

    ちょっと気になってスタッフに聞いてみると案の定、薪は夏でもキャンプの焚き火用として置いているが、オガライトは冬だけの商品らしい。薪ストーブの燃料として、少しばかりの需要があるくらいなのだ。

    ちなみにそこでは広葉樹の薪が一束(長さ35cm6kg分)で598円、オガライトは1箱10㎏(長さ40cm×10本)で、818円だった。キロあたりの価格はオガライトが約18円安い。

    火力や火持ちは最高級の薪に匹敵!

    では、実際オガライトは薪としてどうなのか。ものは試しで1箱入手してみた。長さ40cm、太さ6cm11kg。原材料のおがくずは、ほぼ完全に乾燥しており、それがギュッと圧縮されて、目が詰まった広葉樹のように手にするとしっかりとした重さがある。サイズと重さから比重を想像すると、我が家で2年乾燥させたシラカシと同等だ。基本的に木はどんな樹種でも重量あたりの燃焼効率はほぼ同じ。同じサイズのスギとクヌギを燃やした場合、スギのほうが早く燃え尽きてしまうのは、比重がクヌギの半分以下だからだ。

    オガライトの原材料は主にスギやヒノキ、マツなど針葉樹のおがくずだが、それを圧縮することで、比重においては薪として最高級のシラカシに匹敵するものになっている。

    スギ(右)とオガライト(中)とシラカシ。いずれも同じ1kgの大きさ。

    早速、焚き火台でそのオガライトを燃やしてみた。普段焚き火をするように並列型にオガライトを組み、その間に焚きつけの小枝をたっぷり載せて、スギの葉に着火。焚きつけの火が大きくなると間もなくオガライトも燃え始めた。乾燥しているから火付きがいい。煙もほとんど出ない。臭いもない。パチッと弾けて火の粉が飛ぶこともない。ただ、粛々と燃える。

    燃え方や燃焼時間は薪の組み方にもよるが、オガライト自体はそこそこ炎を上げてよく燃え、約1時間でほぼ燠(おき)になった。オガライトの原材料であるスギやヒノキは、通常燠になりにくく、そのまま燃え尽きて灰になってしまうが、オガライトはしっかり燠になり、2時間以上も熱を発しつづけた。

    薪ストーブの燃料としてはどうか?

    薪ストーブの燃料としてはどうか。火室に入れやすいようオガライトを半分に割って(かなり硬い。机の角などに当てないと割れない)井桁に組み、焚きつけの木っ端を入れて、スギの葉に着火。オガライトが燃え出すと、瞬く間に炎が大きくなり、天板の温度計の針は安定燃焼の200300度Cを振り切って400度Cまで上がった。この間わずか15分。鋳物製に比べて温まるのが早い鋼板製の薪ストーブだが、この熱量はちょっとすごい。というかやばい。

    原材料がもともと着火性のよいスギやヒノキで、それが極度に乾燥しているため、一気に燃えて急激に火力が上がったのだろう。着火から40分ほどで炎は落ち着いたが天板の温度計が200度Cを切ったのはそれから2時間以上経ってからだ。

    形を保ったまま燠になって赤々と燃え続ける。

    シラカシとほぼ同じ比重を持つオガライトの燃焼効率は抜群だ。かつて風呂焚きの燃料として重宝されたのもよくわかる。ただ、それが焚き火や薪ストーブの薪としてどうかといわれれば、私自身は進んで使うことはないと思う。

    やっぱり焚き火も薪ストーブも薪(木)を燃やすから楽しいと思う。薪を集めたり、割ったりするのも遊びのうちだし、ただ燃やせばいいというものではない。焚き火は美しくなくてはいけない。その炎はときに芸術や文学も生むのだ。そこのところちくわのようなオガライトはしょせん燃料でしかない。

    でも、火力も、火持ちもホントにいい。燃料としてはすごく優秀。燠もできるので焚き火料理にも向いている。要は、その人がどんな焚き火をしたいか。一度試してみるのもいいと思う。

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