焚き火が禁止されている場所とは? | 焚き火のコツ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.12.26

    焚き火が禁止されている場所とは?

    私が書きました!
    自然派ライター/セルフビルダー
    和田義弥
    1973年生まれ。旅、アウトドア、DIY、田舎暮らし、家庭菜園などのジャンルで活躍するフリーライター。これまで延べ3年3カ月かけてオートバイで世界一周したほか、自転車ではアラスカ、フィリピンを野宿ツーリング。2011年から茨城県筑波山麓の農村で田舎暮らし。自宅のセルフビルドや野菜づくりなど、できることは何でも手づくりの生活を実践中。著書に「キャンプの基本がすべてわかる本」(枻出版社)、「野菜づくりを基礎から学ぶ 庭先菜園12ヵ月」(実業之日本社)、「ニワトリと暮らす」(地球丸)、「菜園DIY入門」(地球丸)など多数。 http://www.wadayoshi.com

    県立自然公園の森の中。直火じゃなければ、焚き火は禁止されていない。

    風のない冬の晴れた朝、愛犬のタロを連れて、田んぼの畔道を散歩する。雲一つない青い空にいくつもの白い煙がたなびいているのが、ほぼ毎日のように見られる。近所の農家が枯草や、稲わらや、剪定枝などを、あちらこちらで燃やしているのだ。この風景は晩秋から春まで続く。

    田舎にあるわが家の隣はチェスナッツフィールド(クリ畑)で、秋には収穫後のイガを燃やす。そういう草木の煙は嫌なものじゃない。まぁ、そもそもうちの場合、DIYした庭のファイヤープレイスで焚き火もするし、煙突からは薪ストーブの煙が立ち上るような家なので、気にすることでもないのだが、そのチェスナッツファーマーは気を使ってくれて、毎年、カゴ一杯に入った大きなクリを分けてくれる。貧乏人にはスーパーや直売所のクリなんて高くて買えないから、おすそ分けはとても嬉しい。

    農家の野焼きはどうなのか?

    農家が枯草や剪定枝や田んぼの畔を燃やすのは、それを処理するためだけが目的ではない。野焼きによって雑草の種をせん滅できるし、病害虫の発生を抑えることにもつながる。さらに、火入れ後の灰はミネラル分となり土壌を豊かにしてくれる。農家じゃなくても熱心な家庭菜園家であれば、草を抑えられ、野菜がよく育つようになるのなら自分の菜園でひと焼きしたくなる。

    ただ、都市の郊外なんかでは昔からある畑のすぐ近くにマンションが立っていたりして、農家の野焼きは法律で認められているとはいえ、近隣への臭いや煙の影響を考えるとちょっと躊躇する。そこはお互いが相手を思いやって、うまくやっていくしかない。

    農村の冬の狼煙。工業地帯ではない。

    田舎の話だけれど、今から40年ほど前、私が子どものころはドラム缶を焼却炉代わりにして、燃えるものは家で燃やして処分していた。小学校にもレンガの焼却炉があった。農家も枯草や剪定枝だけじゃなく、資材などまで畑で燃やして黒い煙を上げていた。

    1970年に廃棄物処理法という法律が制定され、ゴミの処理方法について細かい決まりができていたはずだけれど、しばらくは一般家庭には浸透していなかったのだと思う。その頃は場所を気にすることなく焚き火ができたし、もちろん焚き火台なんかなかった。秋の公園で落ち葉を集めて焼き芋を焼けば人が集まった。

    それからしばらくして、そこかしこから黒い煙が上がらなくなったのは嬉しいことだけれど、焚き火が自由にできなくなったのはちょっと寂しい。童謡の「たきび」は今も親しみを持って歌われているけれど、その歌が作られたのは1941年だ。田舎でも垣根の曲がり角で焚き火ができたのは、40年ほど前までである。

    山や森、河原、海岸で焚き火をしていいのか?

    でも、本当のことを言えば、焚き火が違法とされる場所は案外限られている。山や森は、そこがどんな場所であれ所有者がいるので、他人の土地で勝手なことはできないが、土地の所有者が焚き火をする自由はある。

    条例等で禁止されていなければ、広い河原は焚き火やキャンプに最良の場所だ。

    河原や河川敷、海岸はどうかといえば、基本的には誰もが自由に利用できるみんなのもの。自治体の条例等で禁止されていなければ焚き火をしても違法ではないし、実際、私がキャンプをするのは河原が定番だ。ブームにわくキャンプ場より、人のいない広々とした河原が好きだ。禁止されている場所でなければ、周りに気を使うことなくバーベキューも、キャンプファイヤーもできる。

    廃棄物処理法における焚き火

    焚き火が法律で厳密に禁止、許可制になっているのは、国立公園などの特別保護地区(自然公園法)や原生自然環境保全地域(自然環境保全法)など、特に自然環境を保護する必要が求められる場所と都市公園の指定場所以外の場所(都市公園法)などだ。

    また、消防法では、屋外で火災の予防に危険であると認められる火遊びや焚き火などがあった場合、消防長や消防吏員が禁止や停止を求めることができるとされている。焚き火を見た人が警察や消防に通報して、それが危険と判断されれば従わなくてはいけないということだ。

    農家の野焼きの風景。畑に穴を掘って竹や剪定枝を焼く。

    ちなみに、野焼きについて触れている廃棄物処理法では、要はゴミを勝手に燃やして処分してはダメですよと言っており、田畑や山で農家や林業者が枯草や畔草や伐採枝を焼くのは、その仕事を営むためにやむを得ない行為として例外的に認められている。

    焚き火についても「日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であって軽微なもの」であれば同様に違反にはならない。しかし、そもそもアウトドアで楽しむ焚き火は廃棄物の焼却ではなく、薪は燃料であって、その行為自体はアクティビティであるのだから、廃棄物処理法に当てはめて考えるほうがおかしいのである。

    薪は燃料である。

    まぁ、そう言ったところで街に住んでいたらなかなか庭で焚き火はできない。東京都の自治体は大抵条例で禁止しているもの。それを無視したらやっぱり違法ってことになってしまう。
    街には街の暮らし方がある。田畑の野焼きや庭の焚き火は田舎の暮らし方だ。

    条例で焚き火が禁止されているってことは、何かしらの理由があるのだから。そうじゃなくても周りの人がよく思わない場所なら、そこが自分の庭であってもやるべきじゃない。

    そもそそもアウトドアは自然を楽しむアクティビティだ。なるべく人がいない場所。キャンプも焚き火もそういうところじゃなくちゃ本当の楽しさは味わえないと思う。

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