華岡青洲が世界初の乳がん全身麻酔手術を成功させたときに使った成分を含む植物とは? | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2026.09.28

華岡青洲が世界初の乳がん全身麻酔手術を成功させたときに使った成分を含む植物とは?

華岡青洲が世界初の乳がん全身麻酔手術を成功させたときに使った成分を含む植物とは?
画家・写真家・ナチュラリストの奥山ひさしさんによる、美しいイラストと写真付きの自然エッセイです。今回は、チョウセンアサガオについて。
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チョウセンアサガオの英名はDatura metel

ナス科の多年草(日本で栽培すると一年草となる)。日本には江戸時代に伝わった。高さ約1mで、夏から秋にかけて白または淡紫色の花をつける。全株にアルカロイドのスコポラミンを含有する猛毒植物だが、葉と種子は鎮痛、鎮けいれん、鎮咳剤として胃痛、喘息などの治療に用いられる。

インド原産のナス科の多年草で、江戸時代に薬用植物として持ち込まれたが、じつは猛毒植物だ。

1805年に華岡青洲が、この草のアルカロイド成分を麻酔薬に用いて、世界初の乳がんの全身麻酔手術を成功させた。麻酔薬となった成分は、アトロピンやスコポラミンという有毒アルカロイドだ。
 
この草の根はゴボウに、タネはゴマに、つぼみはオクラに似るため、誤食による中毒事故が毎年のように起きているという。
 
9cmほどの白い花は夕方に咲くが、とても甘い香りがする。これはガなどの虫を誘うためかもしれない。花は、開花の翌日にはしおれてしまうが、やがて3cmほどのトゲだらけの丸い実をつける。その実が大きく割れて、たくさんのタネをこぼす。
 
このタネを鉢にまいてみたら、細長いナスの芽と同じような細長い双葉をのばした。ナス科の植物なのに、「アサガオ」とは……。
 
やがて次々と本葉を互生させ、茎も太く丈夫になり、てっぺんに小さなとんがったつぼみをつけた。つぼみはたしかにオクラに似ている。やがて9cmほどの花になり、夜には甘い香りをふりまいた。
 
根はゴボウに似るというが、枝分かれした茎にもつぼみがのびてきたから、掘り出して根を確かめるのは、もっと先になる。
 
トランペットのような美しい花は、観賞用として人気がある、と解説した本もあるが、なぜか花を見かけることはほとんどない。
 
私が好んで果実酒にする木の実にチョウセンゴミシがあるが、なんで「チョウセン」がつくのだろうと、ずっと不思議に思っている。チョウセンアサガオも、インド原産なのだから「インドアサガオ」がいいと思うのだが。

翌日にはしおれる花。

トゲだらけの丸い実ができる。

ナスのタネやゴマに似たタネ。

茎は木のように丈夫になる。

写真・文・イラスト/奥山ひさし

(BE-PAL 2026年10月号より)

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