- Text
シーバス(スズキ)

海のルアーフィッシングの代表的なターゲットであるシーバスの寿命は、10年から15年程度で、80cm超のランカーサイズ(魚種ごとに大物とされるサイズ)に育つまでには、およそ7年から10年という長い歳月が必要です。つまり、ランカーシーバスは、10年近くもの間、自然界のあらゆる危険やアングラーがキャストする無数のルアーを見切り、ときとして釣られるもリリースされながら生き抜いてきた百戦錬磨の個体だということです。
長寿であるからこそ経験から学習し、大型であればあるほど簡単にはルアーに食いつかなくなる賢さを身につけているといえるでしょう。
クロダイ

磯や河川など幅広い場所に生息するクロダイの寿命は、15年から20年程度とシーバスよりも若干長寿とされています。クロダイ釣りにおいて50cmを超える大型の個体は年無し(としなし)と呼ばれます。これは年齢が分からないほど長く生きていることが由来で、実際にこのサイズに成長するまでには10年以上の年月を要するとされています。
年無しを釣り上げることは、その魚が蓄積してきた警戒心との知恵比べに勝つことを意味するのではないでしょうか。
マダイ

オフショアのタイラバやジギング、状況次第で岸からでも狙うことができ、強烈な引きを見せるマダイは、釣り対象魚の中でもトップクラスの長寿です。その寿命は20年から40年といわれており、中には50年以上生きる個体も存在すると推測されています。
80cmや90cmといった大鯛は数十年前から海を泳ぎ続けていることを意味し、場合によっては釣りあげたそのマダイは、釣り人自身の年齢よりも長く生きているということも決して珍しいことではないのです。そんなマダイの長寿を考えると、釣りのスケール感が一気に広がり、自然に対する畏敬の念すら抱かせます。
アオリイカ

エギングで人気のターゲットであるアオリイカの寿命はわずか1年です。春に生まれて成長しながら秋に数釣りシーズンを迎え、水温の低下とともに南下したり沖合いへ生息域を変え、翌年の春に浅場で産卵、その短い生涯を終えます。この1年という短いライフサイクルは、年々エギングでイカが釣れにくくなっているといわれている、釣りの難易度に影響を与えているのではないでしょうか。
ルアーフィッシングとしてエギングが定着してから数十年の月日が経ちますが、その年数だけ釣れる性質を持った個体のみが釣られながら、アオリイカは世代交代を繰り返しているということになります。つまり、「エギに釣られない性質」を持った警戒心の強い個体だけが繁殖行動に至り、年数を重ねるたびにその性質が強くなり続けているのではないでしょうか。
鮎

夏の釣りの代表である鮎も、アオリイカと同じく寿命が1年の年魚です。晩秋に川で孵化した稚魚は海に下って冬を越し、春になると川を遡上し、石に付いたコケを食べて猛烈なスピードで成長します。そして再び晩秋に産卵をしたのち、その短い一生を終えます。
縄張り意識を利用した友釣りは鮎特有の攻撃性ありきの釣りですが、この1年という短いサイクルゆえに、攻撃性の低い個体のみが残るという世代交代を繰り返しているといえます。
なお、攻撃性の強い鮎はオトリ鮎を追いかけて体当たりすることから、オトリ鮎の尻ビレ付近に取り付けた釣り針が背掛かり(背中に針掛かりすること)するとされます。近年では背掛かりで釣れた鮎のみを繁殖させた品種を放流している河川もあり、好釣果をあげています。
魚の寿命を考え、釣りを奥深く
魚の寿命は様々ですが、個体の学習であれ急速な世代交代であれ、釣られずに生き抜くための進化を続けているのでしょう。改めて魚を釣り上げた際に、その魚の寿命や世代交代に思い巡らすことで、その釣りが特別で奥深いものになるはずです。




