空を飛べなければコウモリとは呼べません。
コウモリは哺乳類の中で唯一、空を縦横無尽に飛ぶことのできる動物なのです。
その脅威の飛翔能力を紹介します。
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コウモリは飛翔に特化した唯一無二の存在
コウモリのように空を飛べる哺乳類は存在しません。
滑空したり(モモンガ、ムササビ)、道具や機械を使って空を飛べる動物(人間)はいますが、
コウモリは自分の力だけで大空を自由に飛ぶことができるのです。
この「飛翔」という能力は、コウモリをコウモリたらしめているもので、まさにコウモリの命と呼べるもの。
コウモリは空を飛ぶために極限までチューンナップされた、究極の飛翔動物と言えます。
コウモリの体には機能美しかない!

コウモリの身体は飛ぶために進化してきた芸術作品のようなもの。
身体のどこを見ても空を飛ぶために作られているのです。
飛ぶために必要なものを揃え、そして必要のないものは省き、その結果としての造形が神の領域とも言える美しさを持っているのです。
この世に美しいものはたくさんあれど、コウモリほど美しい生物はいないのではないでしょうか?
派手な色や、かっこいいのや、分かりやすいパッと見の小綺麗さしかない数多の生物とは一線を画す、本物の美しさを持っている生物。それがコウモリなのです。
コウモリの翼には指があるのだ

コウモリの仲間を「翼手目(よくしゅもく)」といいます。つまり、翼が手。そうなんです、コウモリの翼は手が変化したものなのです。
コウモリもちゃんと指が5本あるのが分かるでしょう。
私たち人間と同じ指が5本で、関節の種類も数も私たちと変わりません。
ただ、指を長くして骨組みとし、指の間の水かきのような膜を皮膚で作り上げて翼とした。
今度はコウモリの下半身を見てください。足が骨しか無いくらいに細い!
身体の中で足を含む下半身は最も重くなる部分なのです。
それをコウモリは極限まで小型化しています。身体を軽くするということは、飛翔するうえでは最重要課題ですから。
航空力学的にも秀逸

まるで迷路をゴールからスタートへ逆に向かっているような言い方になりますが、コウモリの翼は航空力学的に見ても非常に優れています。
まあでも、それって当たり前なんです。だって、実際にコウモリは非常に優れた飛翔行動をしているのですから。
理論で説明されずとも、優れているのは分かりきっています。
とはいえ、改めて体の構造を見てみると本当によく出来ている!翼はそれぞれの指の骨組みによって区画分けされ、それぞれに役割を持っているのです。
小指と足の骨の間を覆う体側膜は主に浮力を生む役割。人差し指、中指、薬指で形成された膜は主に推進力を生みだします。そして親指と肘、肩を結ぶ前膜は飛行機の前縁フラップのように機能し、低速時の揚力を担います。
多様な種による多様な飛行がある
コウモリとひとくちに言っても世界には1500種もいます。
それぞれ体の大きさも違えば、食べ物も異なるし、住む場所も違えば、生活スタイルも違っています。
コウモリの中で最も速く飛べるのはメキシコオヒキコウモリで、大谷翔平の投げるボールの最高速と同じくらいの160km。これは水平飛行での記録で、アマツバメと並んで脊椎動物類中最速スピードになります。
このコウモリはとんでもなく高く飛ぶことでも有名で、1万フィート(富士山くらいの高さ)くらいまで上がっちゃうのだとか。
日本に生息するコウモリもいろいろで、低スピードで複雑な飛翔が得意とする種がいたり、高速で大空を飛ぶのが得意だったり、水面スレスレを低空でトローリングするのが得意なコウモリもいます。
それを得たければ、それみたいに振る舞え

F1カーにせよ、チーターにせよ、なんでもかんでも速いほうが強いんだ、みたいに思われがちですよね。ところが、そんなことはありません。こと飛翔能力に関しては、むしろ遅く飛ぶことの方が難しいのです。翼でもって揚力を得るには、速いスピードで進めば簡単な話なんです。ところが、それを遅いスピードで宙に浮こうとすると、なかなか難しい。それをコウモリはやってのけているんです。その凄さといったら!
皆さんコウモリを見たことがあると思いますが、そのほとんどのシチュエーションが住宅地とか近所の川だとか、そういう場所なんだろうなと思います。そして皆さんコウモリを見たら、こうおっしゃる「いやー鳥とは違う飛び方だった。なんか蛾みたいに飛んでた!」と。
じつはこの何気ない皆さんの言い方、見事に核心を突いています。
コウモリは蛾みたいに飛ぶ。それはなぜか?それは蛾を追いかけて食べるているからなんです。
蛾を追いかけて飛んでいるから、蛾みたいな飛び方になっているんです。
もしアブラコウモリが猛スピードで直線的にしか飛べなければ蛾を捕まえることなんて出来ません。
あえて、ゆっくり飛び、トリッキーな蛾の動きにも対応できるようにスピードよりも機動性を優先しているんですね。
与えられたものをどう使うか、コウモリは答えを知っている

コウモリが凄いのは、哺乳類という基本スペックはそのままで、あくまでも哺乳類の枠内で飛翔に特化した身体を作り上げているところです。
「何を与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか?」という有名なアドラー心理学の真髄をご存知でしょうか?それをコウモリは進化の過程で成し遂げているのです。
超音波を使う、哺乳類なのに体温をコントロールできる、寿命が異常に長い、病気にならない、などなど、脅威のコウモリパワーには、必ず飛べる体であることが関わってきます。
今後の連載で徐々に知られざるその能力を紹介していけたらと思います。




