「われもまた仏であるか」中山道を歩いて気づかされたこと | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

日本の旅

2026.06.27

「われもまた仏であるか」中山道を歩いて気づかされたこと

「われもまた仏であるか」中山道を歩いて気づかされたこと
連載第13回。
道中にたたずんでいる無数の石仏や路傍神にどう向き合えばいいのだろうか。いつもは無視して足を進めている宮川画伯ですが、あるとき、気まぐれに手をあわせてみると、思わぬ気づきがあったのでした。
Text

 

路傍ではさまざまな神や仏が見守っている

中山道には神社古刹のほかに、道端に無数の石仏、路傍神がある。
一番多いのは庚申塚。
それから馬頭観音、道祖神、水神様など。
なかにはミミズを祀ったものもあった(長久保ー和田間)。土壌改良にミミズが役立ったのと、乾燥したミミズを解熱剤として利用していたことへの感謝の思いで、作られたようだ。ただし、ミミズを擬人化して夫婦風にしているのは、私の趣味ではない。

ミミズの碑(長久保宿ー和田宿)。

 

路傍の神仏に手を合わせてみると

鳥居峠で印象的な石仏と出会った。石ころに囲まれて微笑んでいる小さい仏様だ。

さて、私は中山道歩きの当初から、神仏は無視していこうと決めた。いちいち足を止めていたら、先が進まないからだ。 ところが旅の中盤、気まぐれから、誰もいない山道で石仏に手を合わせてしまった。とくに願うこともない。挨拶みたいなものだ。
3秒ほど形ばかり拝んで、顔を上げたときだ。

ああ、仏様も私を拝んでくださっているではないか。私が仏様を拝むように、仏様も手を合わせてくださっている。そうか、私ごときものも仏様は拝んでくださるのか。

あの感動は忘れられない。かといって以後、路傍の石仏にいちいち足を止めるということはないのだが。

石仏や路傍神とどう付き合うか、それはみんな勝手でいいのだが、もし手を合わせる機会があれば、ぜひ礼拝後、仏の合掌する手を注視してほしい。
自分は仏にすら手を合わせてもらえる存在なのだ、と思えるだろう。

顔はこわいけど、合唱した手を見ると、ありがたい気がする。馬頭観音像と思われる(妻籠峠)。
8番目の宿場 八幡宿の住宅街にいらっしゃった水神像(?)
地元の人が大事にしている石仏も、それほどでもない石仏も。これは大事にされている仏様。大湫(おおくて)宿。

ところかわれば仏さまも変わる

さて、そんなたくさんの路傍神や野仏を見てきた私だが、驚きの仏さまと出くわす。
場所は醒井(さめがい)宿。
中山道もようやく滋賀県に入り、関西にさしかかったあたり。

61番目の宿場 醒井宿でひときわ目を引く、華麗な地蔵堂。

道端にお堂が立っていて、そこにたくさんのお地蔵さんが並べられている。基本的に同じような大きさの丸い石。重ねているのもあるし、ひとつだけのもあるけど、みんなよだれ掛けをしている。それでようやくこれがお地蔵さまのお堂だとわかる。

地元の人が一つひとつ丁寧に作ったよだれ掛けをした姿は、丸石の保育園みたいで可愛い。

65番目の宿場 愛知川(えちがわ)宿。道端に並べられたお地蔵様。

あまりに可愛いから、会社のパソコンの待受画面にしようと、隣席の女性に見せたら、少し眉をしかめた。ああ、そうか、そういうことね。たぶんこれは地蔵でもあるけど、地蔵にすがっている子どもたちでもあるのだろう。

関西圏に入ると、あちらこちらでこの丸石によだれ掛けのお地蔵さんの集団に出会う。関東や中部地方ではこうした形でのお地蔵さんは見なかった。

こんなことも一本のルートを移動しているからこそ見えてくるものなののひとつだ。

著者画像

宮川 勉

水彩画と本づくり

元BE-PAL編集部員。ライターときどき画伯(笑)。なんちゃって虫屋。中山道を歩いた記録として『中山道のリアル~エッセイのある水彩画集~』(私家本)がある。アマゾンの電子書籍で販売しています!

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