20年来の付き合い「モンステラ」
生粋のボタニカリスト(そのような言葉があるかは不明)というわけではありませんが、緑の植物を愛でることは決して嫌いなほうではありません。
そこで今回は、「暮らしの中に緑を」というテーマを勝手ながら掲げつつ、僕の身の回りにいてくれている親愛なる植物の友人たちを、彼らとの出会いやその成長の記録などを交えながらご紹介したいと思います。マイルス・デイヴィスの名盤「Cookin’」を聴きながらね。
最初にご紹介するのは、最も古い付き合いになる「モンステラ」。彼とはね、もうやがて20年くらいともに過ごしているのではないでしょうか。

そう、20年ほど前の名古屋の街のど真ん中にあるお花屋さんでのことでした。お花屋さんというよりは、もっと観葉植物にフォーカスを当てたような洒落たお店でね。照明もわりと抑え目で、今でこそそのようなショップは時々目にしますが、当時はまだ珍しかったと思います。ボタニカルという言葉が世間一般に浸透するずっと前のことですもの。
僕はそのお店の持つ雰囲気に惹かれて、ふらっと入っていったのです。確かライブの翌日かなんか、そんな感じだったと記憶しています。
当時の僕の懐具合で手の届くもの。そんな理由で彼をチョイスしたのだと思うのですが、まさか20年もこうしてそばにいてくれることになるだなんてね、思いもよりませんでしたよ。
彼が今収まっている「鉢」も当時のまま。一度も土を入れ替えたことはありません。入れ替えたことはありませんが、2、3年に一度くらいの割合で、庭先の土を上から軽く注ぐくらいのことはやります。それから時折水を与える以外に施したことなど何もありません。

彼はいつも5枚の葉をたたえていますが、そのうちの1枚が黄色くなって弱り始めると、必ず新しい葉が芽を出すのです。なんて健気なサイクルなのでしょうか。
まるで彼の中に、正確な時間の歯車でもあるかのような律儀さを感じるのです。
そんなことを繰り返しながら、僕に対して文句ひとつ言うことなくね、むしろ観察する僕に静かにエールを送り続けてくれているのです。
これから先どのくらいの期間、人知れず続けているこの僕らの営みの記録が刻まれていくことか、想像するだけで不思議な気持ちになります。長生きしてくれてるなあ、ほんとに。
ひしひしと感じる強い生命力、楽しきボタニカルライフ
次にご紹介するのは最も新しい友人のひとり、「チランジア」。
昨年末に埼玉のとある場所でライブをやったのですが、その会場で出店されていた植物を扱う方から購入しました。いや、もらったんだっけな? それとも自分のアルバムと交換したのか。そこらへん記憶が定かではありませんが、それはさておき、彼との出会いが僕のボタニカルライフを大きく育ててくれたことは間違いありません。
と言いますのもね、彼を持ち帰り、スタジオに置いたところで、なんだかスイッチが入ったのです。モンステラとこのチランジアにもっと仲間を増やしてあげようってね。

そして家の敷地の至る所に散り散りになっていたボタニー(そのような言葉はおそらく無い)たちを、我が音楽スタジオに集め始めたのです。
友人からいただいた「コウモリラン」は少し弱り始めていたのですが、他の植物の近くに連れてきたからか、はたまた僕の彼らに対する意識が変わったからか、徐々に元気を取り戻し、新しい葉を伸ばすほどに回復してくれました。

庭先に放り出されて誰も見向きもしなくなっていた「ルビーネックレス」は、無理やり戸外で越冬していたため、鉢の中でほとんど虫の息でしたが、土を替えてスタジオに連れ帰り、チランジアの隣に置いてみたところ、みるみるうちに元気を取り戻し、気をてらった盛り付けのチャーシューメンみたいに、今では鉢から大きく飛び出すほどにまで。なんて生命力なのでしょう。

ご利益は忘れたころにやってくるはず?
それから「金のなる木」。つい最近調べてその名を知ったものなのですが、南アフリカ原産の多肉植物の一種。おそらく母が、かつてどこからか購入してきたものでしょう。玄関の隅であまり元気がない様子でしたので、日当たりの良い僕のスタジオのほうへ移動させ、同じくしょんぼりと枯れかかっていたアロエと並びで置いてみました。

するとどうでしょう、ある日そのぷっくりとした葉のほとんど全てが、みんな南のほうを向き直って、気持ちよさそうに伸びをしているではありませんか。光のシャワーが欲しかったのですね。アロエともどもとても元気に蘇ってくれたのです。

「金のなる木」は秋頃にピンク色の花を咲かせることがあるそうですが、まだその気配はありません。それから僕のお財布のほうにも、その名前のご利益はまだ来ていないようです。花びらと札束の淡い夢を思いつつ、大事に育ててあげようと思います。
そして外に目をやりますとね、森のようになりつつあるグリーンが広がっています。それは僕のちょっとした自慢の小庭です。
言葉はないけど彼らがいる日常は賑やか
特にご紹介したいのは「ミモザ」と「ユーカリ」。ミモザは小さな苗木で買ってきたものですが、全く手を入れていないにもかかわらず、あっという間にもっこりと大きく育ってしまいました。そいつが結構な存在感でね、真夏の暑い時期になると涼しげな日陰を演出してくれます。春になると鮮やかな黄色い房状のふわふわとした花を咲かせてくれます。

桜の花もいいですが、ここのところはこのミモザの開花で春の訪れを味わったりしています。
ユーカリも好きな植物のひとつです。特に僕はあの何とも言えない甘くてスモーキーな香りが気に入っているのです。
当初は鉢植えの室内モノでしたが、思い切って地植えしたところ、見事に定着してくれて、年を追うごとに大きく枝葉を広げています。

僕の楽しみのひとつが、この2本の木を使ったデコレーションです。ミモザとユーカリは程よく剪定して、その束をまとめて「ドライの部屋飾り」にしているのです。スタジオばかりでなく、トイレやキッチンなんかにもね。
ミモザやユーカリの乾いた花束を壁に掛けて眺めていると、空間そのものの時の流れが止まったかのように錯覚するから不思議です。

さてさて、いかがだったでしょうか、我が植物という友人たち。
僕はもしかしたらだいぶ風変わりかもしれませんが、毎朝の日課として、各部屋の掃除をしつつ、これまでご紹介した植物たちに水を与えながら、実際に声に出して話しかけているのです。ひとつひとつにね、「おはよう」とか言ったりしてね。これほんとなんですよ、あんまり人には見られたくない姿なのですが。
しかしね、ほんとそうしていると、彼らはみんななんだか生き生きとしてくるような気がするのです。いや、本当にみるみる元気になってきていると思いますもの。

スタジオワークなど、自分はひとりでいる時間がとても長いのですが、彼らがいるので少しも寂しくありません。言葉こそ発しない彼らですが、とても賑やかな気さえします。僕らが普段気がつかないだけで、植物たちにもきっと意識のようなものがあるのではないかと思うのです。
また僕は長いツアーに出てしまったので、しばらく彼らに会えませんが、どうか元気でいてくれますようにと、旅の空から祈る日々を過ごしています。
今回のオススメの一曲
Common 「The Light 」
東田トモヒロNEWS
【2025.12.13(SAT)東田トモヒロ”X’mas Live&Special Pop-up&Workshop”in埼玉(くりはら食堂・東松山)】

■日時
2025.12.13(SAT)
15:00~pop-up&workshop start 19:00~Live start
■会場
くりはら食堂〒355-0017埼玉県東松山市松葉町3丁目15-28
電話090-9131-0883
【Pop-up workshop】
・Pluqe dry goods store植物×廃材
・FBWMF農業×fashion
・eye(Clue.)タフティング×ラグマット
・つち屋工房サンドブラスト×彫刻
※pop-up&workshopは入金無料でお楽しみいただけます。
Instagram:https://www.instagram.com/kuriharashokudo
■料金
大人4000円(1D付き) 高校生2000円(1D付き)中学生まで無料
■TICKET&INFO
ご予約はInstagramの@you_dont_see_artまでDMをお願い致します。
Instagram:https://www.instagram.com/you_dont_see_art
※要予約(人数が多い場合、当日入店できない場合がございますので、ご予約をお願い致します)
【2025.12.26(FRI) 東京大学先端科学技術研究センター 准教授&SLOW JAM 「 Year End Live 」@ 横浜THUMBS UP】

■日時、会場、料金
2025/12/26(FRI)@横浜THUMBS UP
OPEN 18:00/START 19:00
ADV¥3500/DOOR¥4000
※小学生以下無料、学割2000円
1ドリンク+1フードのオーダーをお願いします。
■LIVE
東田トモヒロ&SLOW JAM
小山善章(Bass)
三好正晃(Gt)
山口大輔(Drums)
■DJ
EZZY
■TICKET&INFO
横浜THUMBS UP
横浜市西区南幸2-1-22 相鉄Movil3F
TEL:045-314-8705
https://www.stovesyokohama.com/








