霞ヶ関の意外な自然・歴史スポットを歩いて堪能【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.24】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.12.31

霞ヶ関の意外な自然・歴史スポットを歩いて堪能【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.24】

霞ヶ関の意外な自然・歴史スポットを歩いて堪能【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.24】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回は東京都千代田区の日比谷公園や官庁街をめぐる「官庁街GREEN WAY」です。
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24th ルート:官庁街GREEN WAY

大手町〜丸の内で森とアートにふれる東京ど真ん中さんぽ【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.23】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

前回のFILE.23「大手町の森GREEN-WAY」は日比谷公園で歩き終えました。今回は、日比谷公園から霞が関を抜けていく「官庁街GREEN WAY」です。

といいつつ、はたして官庁街にGREEN WAYはあるのか、自分でもイメージがつかないですが、とりあえず歩いてみます。まずは、前回の続きの日比谷公園に寄り道します。

丸の内方面から歩いてくると、日比谷公園の有楽門にたどり着きます。古い石柱が建っている入園口で、ここから園内に歩を進めると、すぐに石垣が目に入ります。これは、かつての江戸城の名残です。

日比谷門跡

日比谷門は、1614年(慶長19年)に熊本藩主の加藤忠広が周辺の石垣を積み、続いて1628年(寛永5年)に仙台藩主の伊達政宗が門の石垣を構築。案内板に写真が載っていますが、番人の詰め所などを備えたとても立派な建物だったようです。なお、現在の日比谷公園と皇居のお掘りの間には晴海通りが走っていますが、その日比谷交差点付近にもともとの日比谷門があったとか。

日比谷門跡の案内板。
日比谷見附門跡の石垣。

日比谷門の築造に貢献した伊達政宗は、僕が生まれ育った山形県と深い関わりがあります。例えば、伊達政宗の生誕地は、現在の山形県米沢市です。そして、伊達政宗が最期を迎えたのが、この日比谷公園のある場所であることを知りました。

伊達政宗終焉の地

伊達政宗が徳川家康より江戸屋敷を与えられたのは、1601年(慶長6年)。その敷地を現在の日比谷公園に当てはめると、東西は心字池(しんじいけ)西岸からテニスコート東端まで、南北は日比谷壕沿いの道路から小音楽堂付近までになるそうです。実際に歩くと、その広さを実感できます。この屋敷には、徳川家康をはじめ、二代将軍秀忠や三代将軍家光も訪れてもてなしを受けたことが記録に残っています。

そして1636年(寛永13年)、この仙台藩の江戸屋敷で伊達政宗は70年の生涯を閉じました。

伊達政宗終焉の地。仙台でないことも、日比谷であることも、何だか意外です。
心字池。

伊達政宗終焉の地で手を合わせた後、心字池に沿って日比谷公園内を進んでいくと、銅像がありました。池の畔、日比谷通りを背にして建つ、ホセ・リサール博士銅像です。

ホセ・リサール博士銅像

ホセ・リサール博士は、スペインからの独立運動を指導したフィリピンの国民的英雄です。この銅像の碑文には、ホセ・リサール博士が「1888年 この地 東京ホテルに滞在す」と記されています。日比谷にあったホテルに宿泊した記念の銅像?博士と日本との関係は?…など、いくつも「?」が浮かびます。

実は、このホセ・リサール博士銅像については、はっきりしたことが分かっていないようです(ネット上でも、さまざまな憶測が飛び交っています)。日比谷公園に銅像が建てられるなんて、かなりの功績が求められると思うのですが…。

ホセ・リサール博士銅像。

検索しても明快な答えが得られず、もやもやしたまま歩を進めると、またもフィリピンに関係した顕彰碑がありました。

キリノ大統領像

エルピディオ・キリノ元フィリピン大統領は、1953年、フィリピンの刑務所に服役していた100余名の日本人戦犯を恩赦によって釈放。この恩赦は、1956年の日比国交正常化に大きく影響し、日本とフィリピンの友好の礎となりました。こうしたキリノ元大統領の功績をたたえ、フィリピン大使館によってこの顕彰碑が建てられたそうです。

キリノ大統領像。

この明快さと比べると、先ほどの博士の銅像は…と考えても仕方がないので、先に進みます。キリノ大統領像があるのは、日比谷公園の南端の幸門の近く。ここから園外に出て国会通りを進んでいくと、官庁街に入ります。人事院や農林水産省など、見聞きしたことのある省庁が目白押しです。

人事院。

官庁街というと、近寄りがたいというか、味も素っ気なもないというか、少なくとも散策には不向きなイメージです。でも、各省庁の敷地内も通りも意外と緑が豊富で、木陰を心地よく歩けます。ついでにいうと、都心ながら人通りも少なく、思いのほか快適です。

心地よい木陰が続く官庁街。

そんな官庁街の潮見坂を登ると国会前庭が見えてきました。

国会前庭

文字通り、国会議事堂に隣接している庭園で、洋式の北庭と和式の南庭に分かれています。敷地面積は約5万平方mで、サクラをはじめ1,500本以上の草花や植物が植えられています。開園時間は9:00~17:30で、入園無料。

こんなGREEN WAYにぴったりの場所が国会議事堂のすぐそばにあるなんて、知りませんでした。日本庭園(回遊式庭園)の南庭、そして日本の土地の標高を決める基準「日本水準原点」や「三権分立の時計塔」がある北庭と、それぞれでのんびりとした時間を過ごすことができます。

日本水準原点。
三権分立の時計塔。

国会前庭を出て、首都高速都心環状線沿いの歩道を歩いていきます。車道を挟んだ皇居のお掘沿いの歩道は整備が行き届いていますが、首都高側の歩道は雑草が伸び放題でやや荒れている雰囲気です。これをGREEN WAYと捉えていいのか微妙ですが、個人的には雑草がたくましく育っている国道や県道の雰囲気も嫌いではありません。

三宅坂方面に進むと最高裁判所が見え、その隣に国立劇場がありました。国立劇場は休場中で、再整備計画が二転三転しているとか。ややこしい問題のようなので、先に進みます。

立派な建物に思えますが、建て直すのでしょうか。

国立劇場からさらに三宅坂を上ると、TOKYOFMが見えてきました。その奥には「JOGLIS」という看板があり、シャワーのイラストが描かれていました。シャワーやコインロッカーを備えた、皇居ランナー向けの施設だそうです。平日の昼間でも結構ランナーを見かけるので、こういった施設の需要もあるのでしょうね。

皇居ランナー向けの「JOGLIS」。

「JOGLIS」まで来ると、半蔵門駅は目と鼻の先です。ということで、今回の「官公庁GREEN WAY」は、ここでフィニッシュ。考えてみたら、このGREEN WAYの連載で半蔵門駅をターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)に設定するのは、今回で3度目です。皇居から近くて便利というだけで、特にこれという理由はないのですが。

半蔵門駅ターミナス。

日比谷公園はもちろん、官庁街も緑が豊富で、思った以上に快適にGREEN WAYを歩くことができました。前回のFILE.23「大手町GREEN-WAY」からつなげて歩くと、東京のど真ん中に存在する意外な自然散策スポットを思い切り堪能できると思います。ぜひ一度、自らの足でその心地よさを体感してみてください。

今回歩いたルートのデータ
|距離約3.7km
|累積標高差約12m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●大手町の森GREEN-WAY

●FILE.23「大手町の森GREEN-WAY」 to FILE.24「官庁街GREEN-WAY」

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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