隅田川東岸の両国界隈を歩きながら感じる江戸のにおい【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.25】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2026.01.02

隅田川東岸の両国界隈を歩きながら感じる江戸のにおい【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.25】

隅田川東岸の両国界隈を歩きながら感じる江戸のにおい【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.25】
プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

今回は東京都墨田区、隅田川東岸の両国エリアをめぐる「両国GREEN WAY」です。
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25th ルート:両国GREEN WAY

この連載では隅田川沿いを歩くことが多く、特に西岸は何度も通っています。また、隅田川東岸についても、吾妻橋より北はFILE.19「向島GREEN-WAY」で歩きました。今回は「向島GREEN-WAY」よりも南の、隅田川東岸を歩きます。題して「両国GREEN-WAY」です(どこを歩くか丸わかりのタイトルですみません)。

ターミナス(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)は、都営浅草線の浅草駅A2a出入り口。地下鉄のホームから地上に出たら、すぐ目の前にある駒形橋を渡りたいところですが、少しだけ寄り道します。

浅草駅A2a出入り口ターミナス。

駒形橋は関東大震災後の復興計画で架橋されたもので、それまで付近では渡し船が行き交っていたとか。では、その名前の由来はというと、橋のすぐそばに建つお堂「駒形堂」から付けられたそうです。

駒形堂

浅草寺のご本尊である観音菩薩が上陸したとされる土地に建立されたお堂。駒形堂という名前の由来は諸説ありますが、馬頭観音がまつられていて「馬形」の作り物を奉納したことから、転じて「駒形」になったともいわれているとか。江戸時代にはお堂の目の前に船着き場があり、浅草寺に参拝する前に駒形堂で手を合わせる人も多かったそうです。

駒形橋のすぐ目の前にある駒形堂。

僕も駒形堂で手を合わせてから、駒形橋を渡ります。隅田川の東岸は水路や木々が配された遊歩道が整備されていました。気のせいか、これまで歩いた隅田川西岸ともちょっと雰囲気が違うなと思いつつ、歩を進めいていきます。

駒形橋の上から見た隅田川東岸の遊歩道。

遊歩道の木々の間の水路のような場所で、もぞもぞと動く物体を見かけました。なんと、カニです。かなり黒いけど、サワガニでしょうか。隅田川沿いでカニを見かけるなんて驚きです。

陰っていて見えづらいですが、カニがいます。

やがて遊歩道の木々は花壇に変りました。駒形橋から南に下って1つ目の橋が厩橋(うまやばし)、2つ目が蔵前橋です。蔵前橋を過ぎて少し進んだところで、花壇のようなところに木の杭が刺さっていました。

両国の百本杭

もともと荒川や中川、綾瀬川が合流していて水量の多かった隅田川。特に湾曲部では水流で川岸が浸食される問題が起きていて、両国橋付近もそうした場所のひとつでした。そこで、両国橋近辺では水流の勢いを和らげて川岸を保護するため、数多くの杭が打たれました。

それが、いつしか「百本杭」と呼ばれるようになり、両国橋や隅田川を象徴する風景になったそうです。歌舞伎などの作品の重要な場面でも、両国の百本杭が登場しているのだとか。なお、時代が進むと隅田川で護岸工事や放水路などの整備が進み、百本杭も姿を消しました。

かつての両国の様子を伝える百本杭の再現。

さらに進むと、高速道路の高架下の壁に「隅田川テラスギャラリー」という案内が出てきました。しかし、ずっと日光にさらされていたからか、全体的に色が抜けて白っぽくなっていました。いくつか浮世絵も掲示されていますが、もとの色彩からはほど遠く、何だか残念な感じです…。

たぶん浮世絵です…。

さて、ここまでずっと隅田川沿いを歩いてきましたが、防波堤の向こうの陸地というか市街地の方に目を向けると、旧安田庭園がありました。

旧安田庭園

江戸時代に本庄松平氏(常陸笠間藩、のち丹後宮津藩)の下屋敷だった場所。元禄年間(1688年~1704年)に大名庭園として築造され、後に隅田川の水を引いた汐入回遊式庭園として整備されました。

明治時代には、安田財閥の祖である安田善次郎が周辺一帯を所有。1922年(大正11年)、彼の遺志にもとづいて東京市に寄贈されました。

その後、関東大震災で庭園が損壊したものの、東京市が復元し、1927年(昭和2年)に市民の庭園として開園したそうです。

よく手入れされた庭園。入園無料です。

旧安田庭園から、再び隅田川沿いに戻って進んでいきます。このあたりの川沿いの柵には、いかにも両国らしい意匠が施されています。

「うわてすかし」とありますが、初めて聞いた決まり手です。

隅田川の水上バスである東京水辺ラインの発着場のすぐそばには、あの両国国技館が建っています。

両国国技館

初代の国技館は、現在地から3分ほど歩いた場所にある回向院(えこういん)という寺院の境内に、1909(明治42)年に建てられました。第二次世界大戦後は蔵前に移転するなどし、現在の国技館が竣工したのは1984年(昭和59年)。大相撲だけでなく、ボクシングやプロレス、コンサートなどの会場としても親しまれています。

緑の銅版葺きの大屋根が特徴的な両国国技館。

国技館を眺めた後、また隅田川沿いに戻って歩を進めます。このあたりの川沿いの道は緑も少なく、高速道路の高架下ということもあって、裏道のような雰囲気です。こうした道も東京の渋い一面のようにも思え、個人的には嫌いではありません。

隅田川沿いながら裏道のような雰囲気。

駒形橋を出発して30分強で、両国橋までやってきました。両国橋は欄干などが工事中のようでした。

修繕中だった両国橋。

この連載で隅田川沿いをめぐる際は工事中の場所で歩き終えることも多いですが、どうしよう…などと思いつつ頭をめぐらせると、動物の看板に目が留まりました。シシ鍋で知られる老舗「もゝんじや」です。

もゝんじや

1718年(享保3年)創業というシシ肉料理の専門店。獣肉を食べることがタブーだった江戸時代には、猪肉を山鯨(やまくじら)、鶏肉を柏(かしわ)などと言い換え、獣肉料理店は全般的に「もゝんじや」と呼ばれていたそうです。なお、こちらのお店の脇の歩道沿いにイノシシの剥製が展示(?)されているので、心して通ってください。僕は知らずに歩いていて驚きました…。

イノシシの看板が目印の「もゝんじや」。  

「もゝんじや」からJR両国駅まではすぐの距離です。ということで、今回の「両国GREEN-WAY」は、ここでフィニッシュとします。

やはり、隅田川沿い、しかも墨田区内は、江戸時代のにおいや足跡が今なお色濃く残っています。なので、2025年の隅田川を眺めつつ、150年以上前の時代に気持ちが運ばれるような不思議な感覚で散策を楽しむことができました

隅田川を挟んだ両国の対岸には、小伝馬町や人形町、さらに日本橋があります。そうした街に出かけたついでにでも、ぜひ隅田川を渡って両国にも足を運んでみてください。

今回歩いたルートのデータ
|距離約2.7km
|累積標高差約4m

今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

●両国GREEN-WAY

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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