
その際、地元の方に「見逃しちゃダメ」と強くおすすめされたのが、「カマルグ地方自然公園(Parc naturel régional de Camargue)」です。その中で「縮小版カマルグ」と呼ばれるほど自然が凝縮された野鳥の楽園「ポン・ド・ゴー鳥類公園(Parc Ornithologique du Pont de Gau)」をご紹介します!
フランス随一の野鳥の楽園

南仏のアヴィニョンから車で南へ約1時間。地中海に面したローヌ川の三角州、カマルグには、ユネスコの生物圏保護区にも指定されている自然豊かな湿原地帯があります。8万5000ヘクタールの広大な湿原地帯をカバーする「カマルグ地方自然公園」は、この地域特有の生物相で知られていて、中でも白い馬やピンクのフラミンゴが有名です。
以前、アタカマ砂漠で野生のフラミンゴを見て感動したので、ぜひフラミンゴを見たい! と勢いよくカマルグに向けて出発したのですが、道中で、東京23区の約1.4倍という広い自然公園のどこへ行けばフラミンゴと出会えるの? 見られる季節があるのでは? と気がつきました。ひどいリサーチ不足です。
焦って検索したところ、「ポン・ド・ゴー鳥類公園(Parc Ornithologique du Pont de Gau)」がフラミンゴ観察のベストスポットだという結果が。というわけで、こちらにお邪魔することにしました。
通年を通してフラミンゴが!
1949年創業のポン・ド・ゴー鳥類公園の敷地面積は約60ヘクタール。湿地、池、草原、葦原などの間に約6キロメートルの遊歩道が巡らされていて、来場者は園内を自由に散策し、フラミンゴをはじめサギ、コウノトリ、カモ類、猛禽類など数百種の鳥を観察することができます。さらに、観察塔や隠れ家、案内パネルなども設置されていて、身近に鳥を観察したり、生態系について学んだりもできます、とのこと。
ベストシーズンは、フラミンゴの大群を見られる冬らしく、自分たちが訪れた真夏の8月は大丈夫なんだろうか?と不安になりつつ園内に足を踏み入れたのですが、ほんの少し歩いて、カフェに座っていると、頭上をピンク色の鳥が飛んで行きました。
フラミンゴじゃない!?
と興奮して、遊歩道をたどって行くと、水辺にたくさんのフラミンゴがいるじゃないですか!

すぐそこに、フラミンゴ!

しかも、池の周りに遊歩道があるのですが、場所によっては、1メートル以内というすぐそこにフラミンゴを見ることができました! もちろん柵などはありません。


真っ黒の泥の中にクチバシが逆さまになるように顔をつっこんで食事をしていたり、羽を広げて中の鮮やかなピンク色を見せつけたり、クチバシを使って羽繕いをしたり、長い足のひざを前に折って歩いて行ったり、頭上から飛んできたり、とフラミンゴのいろんな姿を観察することができます。
ここにいるフラミンゴは、オオフラミンゴ(Greater Flamingo)というフラミンゴ科の中では一番大きなフラミンゴということで、なかなか迫力があります。
アタカマ砂漠のフラミンゴは比較的小型で、塩湖に映る群れは幻想的な景色の一部という感じでした。対してこちらは、フラミンゴ自体を見てる! という感じ。美しく、また面白い鳥で、見てて飽きません。来てよかったです!
冬場は羽根のピンク色が濃くなり、繁殖のシーズンならではのにぎやかな嗚き声と共にいっせいに首を振る「旗振り」や翼を勢いよく広げ、すぐに閉じる「敬礼」といった求愛のディスプレイ、また空がピンクに染まる大群の飛翔なども見られるそうです。いいなあ。
ハイキングとバードウォッチング

ポン・ド・ゴー鳥類公園には、フラミンゴ以外にも、ブロンズトキ、セイケイ(青鶏)、コサギ(小鷺)、カワセミ他、たくさんの美しい鳥やビーバーなどが生息しているそうです。
また、遊歩道は池の周囲を中心に観察ポイントに番号を振る形で順路が案内されています。入り口から公園の右側に1から10までの観察ポイントを廻る2.6kmのコースがあり、左側には11-16のポイントをめぐる4.3kmのコースがあります。

私たちは、1-10まででタイムオーバーになってしまいましたが、全て回りたい方は、4時間ほどと余裕をもってでかけるといいかと思います。また、夕暮れ時がフラミンゴやサギが最も活動的になるため、おすすめの時間帯のようです。
私はスマホで撮影していますが、大きなカメラを抱えた人たちもたくさんいましたよ。
バードウォッチング好きや南仏の別の顔を見たい、という方はぜひ訪れてみてくださいね。