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キャンピングカー・車中泊

2025.05.14

キャンピングカーができるまでを詳細解説!老舗ビルダー「アネックス」の工場取材でわかった自社製造のメリット

キャンピングカーができるまでを詳細解説!老舗ビルダー「アネックス」の工場取材でわかった自社製造のメリット
みなさんはキャンピングカーがどうやって作られているかご存知でしょうか?

今回はキャンピングカーのなかでもバンコンと呼ばれるジャンルのキャンピングカー製造の現場に入り、実際に作られていく様子を見学してきたので紹介したいと思います。
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「バンコン」は人気のキャンピングカーカテゴリー

とその前に、バンコンって何?と思った人のために簡単にバンコンを解説しましょう。

アネックスの最新キャブコン。キャラバンをベースにした「アルテ」。

バンコンとはハイエースなどの商用1ボックス車、ノアやセレナ、ステップワゴンといった乗用の3列シートミニバンなど、いわゆる「バンタイプ」をベースにしたモデルの総称です。

見た目は普通の1ボックスやミニバンなので、仕事や買い物といった普段使いがしやすいのが大きな魅力となっています。その証拠に日本RV協会が発行する「キャピングカー年次報告書2024」によれば、’24年の国産バンコンの生産台数は6400台で、総生産台数が9559台なので国産キャンピングカー全体のうち、66.9%をバンコンが占めていることになるのです。

創業60年を超す老舗ビルダー「アネックス」

取材に伺ったのは老舗のキャンピングカービルダーである「アネックス」。1964年に先代が「たなか自動車商会」を創業。その後、「オートボディショップたなか」、「ゼロプロダクト」を経て’94年にアネックスへとなりました。現在の田中代昭市代表は’81年に入社し、’90年より同社の代表を務めています。

アネックス代表 田中昭市さん。

昨年、同社が創業60周年を迎えた際、田中代表にお話しを聞くことができたのですが、「代表を務めるようになって早や34年。夢中でクルマ作りを考えていた日々。当初はワンオフ車に総当たりしていたような製造工程だったのが、時代と共に変化し工場のライン化による効率と質の向上を進めてきました。

時間が経つのはほんとうに早く、60周年を迎えられたことに感慨深いものがあります」との言葉がとても印象的でした。そんなアネックスの理念は「ロードトリップで人生を豊かにする」です。

取材に伺ったのはアネックス徳島工場。ここはバンコンの製造を主にしています。アネックスは‘22年9月には岡山県倉敷市に人気キャブコン「リバティ」シリーズ専用の新工場を立ち上げ、現在は2つの工場で生産体制を整えています。ちなみにキャンピングカーの製造はビルダーごとに大きく異なるので、下記で紹介している工程はあくまでアネックスでの工程になります。

アネックス・徳島工場

バンコンができるのには5つの過程がある

それではバンコンの製造工程を紹介ていきしましょう。

工程は大きく分けると

①企画・設計

②前工程

③木工部門・シート&ベッド部門による部材製造

④組み立て工程

⑤仕上げ工程 

といった流れになります。

①企画・設計

まずはマーケティング部門と営業部門を軸にベース車の選定をはじめ、車両のコンセプトなど企画を立案。そのコンセプトに合わせ、開発部が実車による計測・デザイン・設計などを行い、試作車が製造されます。完成した試作車を基に実際に使ってみて、さらに細部の改変、ブラッシュアップを行い製品版ができあがります。

②前工程

できたての新車の内装トリムやシートを取り除き、車内は丸裸の状態に。

ここからが量産体制に入ってからの作業で、製造部が担当します。まずは自動車メーカーから届いた、できたてのベース車が入庫されると、前工程としてベース車に装着されているインテリアトリムやシートなどを取り外します。

次に顧客ごとに異なる注文仕様書を確認しながら、配線等の電気主要備品を事前に準備し、電装システムを搭載するときのために配線取りまわしを行います。これら配線や備品はトリムや家具が付いている状態だと手間も時間もかかるため、車内に何もない状態であらかじめ準備しておくことで作業効率が大幅にアップするそうです。

電装システムのための配線類は荷室に何もない状態のうちに先行して準備しておく。
リアルウッドのフロアにはセカンドシート用のロングスライドレールも事前に取り付け。

さらにポップアップルーフ車であればルーフカット及びポップアップルーフの取り付け、ほかにもルーフベントやサンルーフ、ソーラーパネルなど、ボディまわりのことはこの前工程で架装されます。

ポップアップルーフやソーラーパネルなど、ボディの架装も事前に行う。

③木工部門・シート&ベッド部門による部材製造

②の工程の際、工場内の別の部屋では製造部の木工部門とシート&ベッド部門が車両に取り付けるための家具をはじめたパーツを製造していきます。家具類に使用する木材は3D CAD図面からNCルーターを使用して寸分の狂いもなく正確に切り出されて、これら部材を職人が慎重かつていねいに組み上げ、磨いていきます。

NCルーターで家具を部品ごとにカット。取り付けや配線のためのホール加工も同時に行う。
カットされた木材はていねいに研磨。
組み立て前のパーツは整とんされており、組み付けの際の作業性も高い。
家具を組み付ける前にモール類や金具などを取り付け。
出来上がった家具はラインの横にある家具置き場で車体へ取り付けられるのを待つ。

そしてシート&ベッド部門ではシートフレームやベッドの芯材に合わせ、表地やクッション材をカット・縫製し取り付けていきます。

ここで感じたのは、使用する木材や生地へのこだわり。質感はもちろんのこと、耐久性や衛生面など車内で使うものなので選定には特に注力しているそう。ほかにも、ベッドやリビングに展開する際に、重量面でも重すぎず強度のある芯材を選ぶなど、ユーザー目線に立ったユーザービリティの高いものを使う姿勢はアネックスならでは。

工場2階にある縫製室。ここでは豊富な生地に加え、各モデルに応じた型もあり、注文の素材や色を使いひとつひとつ職人より縫製される。
アネックスは家具の素材や色味、シートの材質など細かなところまでこだわっている。

④組み立て工程

これら家具やシート、ベッドなどが完成したら、車両が並ぶラインの横に置かれて、組み付けの工程に入ります。ここでは家具の内部に収まる電装システムの配置のほか、②の工程で事前に取り回しておいた配線の接続も行っていきます。

ほかにもシンクや給排水タンクといった水まわりの部品、キャンピングカー専用シートの取り付けなどもしていきます。

ロングカウンターキャビネットを左壁面へ取り付け、家具内に設けた穴を利用して配線の取りまわしを行う。
家具が装備されていくと徐々にキャンピングカーらしさが出てくる。
走行充電システムやインバーターなど、電装システムを家具に固定&配線。

ここまでくると車内はキャンピングカーらしくなっていきます。

⑤仕上げ工程 

ひとりごとに異なる仕様書をしっかり確認し、最終チェック。問題なければオーナーへの元へ。

最後は仕上げの工程で車内外を清掃し、動作の確認はもちろんのこと、注文仕様書を確認しながら顧客の注文している装備が正確に取り付けられているかダブルチェック。

これらの工程を経て顧客の元へと届くようになっています。徳島工場ではひと月に平均で約15台のバンコンを製造しているとのこと。車両や仕様にもよりますが、NV200バネットベースのバンコンでの納期は約1年となっています。

今回はNV200バネットベースのバンコン製造ラインを見学。写真は人気のUTONE200ER。
出荷前に内外装とも綺麗に清掃され旅立っていく。

<実際に見学してみて>

バンコンがどのようにして作られていくかお分かりになったでしょうか?

同じベース車でも装備をはじめ内装の仕様など1台1台異なる、ユーザーだけの特別なキャンピングカーがこうしたさまざまな工程を経て手元に届いているのだと知ることができ、とても勉強になりました。

それぞれの工程を担当する人は、みなその部門のプロフェッショナル。他社にはない独自性を求める姿や、さらに技術革新・品質向上など、高みを目指して日々精進しているところに職人らしさを感じ、グッときました。

そして外注に頼らない内製化率の高さにも驚きました。自社でほぼ完結しているということは今後ユーザーが乗り続けていく際、消耗部品をはじめ長期に渡りパーツの供給ができることを意味します。こうしたアフターサービスに対してもユーザーへの優しさを強く感じました。

日ごろ見ることができない工場見学。機会があれば、ほかのビルダーの工場も紹介できればと思います。

伴 隆之さん

編集者・ライター

大学卒業後、自動車専門誌の編集者として勤務し、その後独立。1999年から2年ほどカリフォルニアに住んでいたこともあり、アウトドアと旅が趣味。ニュージーランドでのキャンピングカー旅が特に好きで南北計4回ほど走破。現在は旅やキャンピングカーを中心にアウトドアやオートバイなどの誌面や動画を製作。愛車は1967年式イノチェンティ・ランブレッタと日産エルグランドをベースに自身で製作した車中泊カー。他誌にて全国のRVパークを巡り、その魅力を紹介中。

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