シェルパ斉藤の息子・一歩くんが語る「ネパールMTB父子旅」

2020.01.19

国内・海外のさまざまなトレイルを歩くバックパッカーであり、耕うん機の旅やスーパーカブの旅、ヒッチハイク旅などユニークなひとり旅を続けるシェルパ斉藤さん。現在発売中のBE-PAL2月号の連載「旅の自由型」では、長男である一歩くんとMTBでネパールのジョムソン街道を旅した様子が書かれています。BE-PALに掲載されているのは、父親であるシェルパ斉藤さん側の視点ですが、息子・一歩くんはそのときどう感じていたのか? 父子の旅について本人が語ります!

旅行作家・バックパッカーのシェルパ斉藤さん(左)と息子の斉藤一歩くん(右)。MTBで4日間かけて標高3760mのムクティナートに到着した。

ネパール10日間の旅。この提案を父から聞かされた時、僕の気持ちは旅への好奇心と、親子という気恥ずかしさの半々でした。お互い一人旅が好きなこともあり、ちょっと抵抗もありました。ただ旅しないで後悔するよりは、と思い首を縦に振りました。

父は根っからの旅人です。僕は旅人に育てられました。今回のネパール旅はBE-PALに掲載されるということで、一緒に過ごす時間をある種、職場見学だと割り切って見ていました。

セルフタイマーでの撮影に、少し疲れ気味の表情!?

その典型例は写真撮影です。
父はいつもひとり旅なので、雑誌に掲載する写真はすべてセルフタイマーを駆使して撮影しています。本人もそれをポリシーに掲げるように、細かい構図や動きの指示、タイミングなど、僕の想像以上に繊細です。「また撮るの?」、「さっきの写真でいいじゃない?」、内心そう思っていました。きっとそういう表情が出ていたと思いますが、仕事のためだと自分に言い聞かせていました。

本人も言っていましたが、「僕の旅は撮影があって時間がかかる」と。ひとり旅は自由だから良いのに、他人のリズムに合わせる苦労を、お互い実感しているようでした。生きるための術を旅に見出した男の、神経質な一面とプロ意識を同時に垣間見た気がします。

BE-PALの連載にも書かれているように、道中、旅に必要なトレッキング許可証や移動手段が、なかなか計画通りに進みません。10日間の制限で旅を完結させるため、どうしようかと話合いを密にすることも多々ありました。

自転車に乗る日を短くするか、バス移動をタクシーに換えるかなど。結局、選択肢の幅を広げてくれたのはいつも父でした。提案に対して決断をするのが僕。そうやって上手く危機を乗り越えたような気がします。

僕は昔からあまりNOが言えない性格です。良く言えば温厚で従順、悪く言えば臆病で自己主張がない。曲がりなりにも、海外ひとり旅は何度か経験してきましたが、流されやすい性格で後悔することもしばしば。そんな中、父はいつも以上に力を発揮し、自己主張ははっきり、駄目なら駄目なりの打開策を瞬時に見つけ出します。これが経験と知恵によるものだと感心したのを覚えています。

父が先頭、僕が後を追いかけるかたちで自転車を漕ぎすすめます。お互いのペースを守り、食事や休憩を共にしました。もちろん競争ではありませんが、体が動き続ける限り休まない僕と、休憩を取りながらも着実に進む父。例えて言うならウサギとカメ。それぞれの性格を如実に表しているようでした。時折、体が痛いと弱音を吐く父ですが、後ろから見る背中は頼もしく普段よりも大きく見えました。

親子の会話はあまり多くないです。一日の行程が終われば、父はシャワーを浴びたり荷物整理したり、僕は街を散歩したりと、やたらと自由時間を設けます。誰が提案したわけでもないのに、日が経つとそれが当たり前の習慣になっていました。

僕にとってのネパールは二度目。しかし、アンナプルナ、ジョムソン街道は初めて訪れた地です。否が応でもテンションは上がりました。無口なのであまり表に出さない性格ですが。毎日、どういう景色が見られるか、どんな人に出会えるか、美味しいものが食べられるか、期待は膨らみます。

父はそれに加え過去の思い出という蓄積もあり、街の様子を昔と比較してよく語ります。そんな姿に時の流れを自身で噛み締めている気がして、とても羨ましく思いました。27歳の僕ですが、もし同じ場所を30年後に旅することができていたら、時代の移り変わりを感じ、旅してみたいものです。

30年前、27歳だったシェルパ斉藤さんはMTBでネパール・エベレスト街道を走り、標高5300mのエベレスト・ベースキャンプに到着したことがある。

冒頭でも触れたように、今回の旅は仕事の父と遊びの僕。目指す目的は同じでも背負っているものが違う、今の僕に対価を得るために旅することは到底考えられませんが、それを30年続けてきた父は全く違う景色を見てきたのかもしれません。フリーランスは明日がないかもしれないと昔も今も不安を口にする父ですが、確固たる信念は不滅であって欲しいと願うばかりです。

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