初心者必見!トレイルランニングを楽しむためのマナー3か条 | トレイルランニング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
  • OUTDOOR
  • NEWS
  • SUSTAINABLE
  • CAR
  • CAMP
  • GEAR
  • COOKING
  • トレイルランニング

    2020.09.15

    初心者必見!トレイルランニングを楽しむためのマナー3か条

    私が書きました!
    Run boys! Run girls! 店主
    桑原慶
    2010年、ダイエット目的で始めたランニング経由でトレイルランニングを始める。すぐに海外のトレイルランニングレースに出場するまで没頭し、2013年4月にトレイルランニングギアを中心に販売するショップ「Run boys! Run girls!」をオープン。店名にはタイムや成果を伴う競技としてのランニングだけでなく、散歩の延長線上にあるような誰でもできるランニング、トレイルランニングの魅力を伝えたい。そんな想いが込められている。https://rb-rg.jp

    トレイルにはマナーがあることを知ろう

    自分自身がトレイルランニングの魅力に取りつかれ、その楽しさをシェアしたいという理由から 「Run boys! Run girls! 」というお店をオープン。それ以来、ギアの販売にとどまらず、情報の発信やイベントの開催、トレイルランニングクラブの運営など、様々な活動をしています。

    おかげさまでお店には「これからトレイルランニングを始めたいんですが、どのようなモノが必要ですか?」というお客さんも多く来店されるようになりました。もちろんトレイルを走る上でギアは重要です。その上で、私達はギアという目に見える”モノ”と同時に、目に見えない2つの”認識”もしっかりもちたいと思っています。

    その認識とはこちら。

    1.トレイルランニングは自然の中でのアクティビティであり、時に危険を伴う
    2.トレイルには様々な人がいて、みんなが気持ちよく安全に楽しむための配慮が必要

    今回はこの2つ目、みんなが気持ちよく安全に楽しむための配慮=トレイルでのマナーについて紹介します。真面目で退屈に感じるかもしれないけれど、多くの方に読んで欲しい記事です。ここをないがしろにしていると、ゆくゆくは自分達の走ることができるフィールドが減っていってしまうかもしれないのです。

    トレイルランナーは登山者の目にどう映っているか?

    トレイルランニングの魅力は、大自然の中を駆け抜ける爽快感や、辛さを越えて得られる達成感。僕たちはそれを求めてトレイルへと入っていきます。では、走っている人以外の目にトレイルランナーはどの様に映っているのでしょうか?

    「東京都自然公園利用ルール」を策定するために東京都が登山者に対して行ったアンケートでは、以下の回答が得られています。

    Q:トレイルランナーを実際に見てどう思ったか (トレイルランナーと出会った人対象)

    特に気にならなかった 40%
    登山の邪魔      21%
    危険         17%
    格好よかった     14%
    自分もやってみたい  4%
    その他        4%

    出典:東京都「東京都の自然公園内におけるトレイルランニング等の利用についてアンケート調査(概略版)」
    調査実施場所 :高尾山頂、清滝駅
    アンケート対象:登山者(ハイカー、観光客等含む)
    有効回答数  :205人

    この様に、トレイルランニングに対して、全体の 38% が悪い印象(危険、登山の邪魔)を持っていることがわかります。

    自分はただ気持ちよくトレイルを走って「最高だった!」と言っていても、あなたがトレイルを気持ちよく走ったときにすれ違った(追い越した)約4割の人にはあまりいい印象ではないようなのです。このことは頭に入れておく必要があります。

    登山者・ハイカーの声

    トレイルランナーが危険、邪魔と思われるのはどうしてでしょうか?上のアンケートとは別の場所で登山者・ハイカーに対して行われたアンケートでは、トレイルランナーに対して以下のようなネガティブな意見がありました。この意見からは、更に具体的な状況が読み取れます。

    -人のいないところで走ってほしい・場所を選んでほしい
    -すれ違いが危ない・怖い
    -マナーが悪い
    -ハイカーが避けなければいけないのが嫌だ
    -大勢で走ってこられると威圧感があって怖い
    -歩いている人にもう少し気を遣ってほしい 
    (以上すべて複数人が回答)
    出典:鎌倉トレイル協議会「鎌倉はこう走ろう。(2014年鎌倉トレイル協議会プレスリリースより)」

    歩行者と自動車に置き換えて考えてみよう

    同じトレイルを楽しむ者同士ではありますが、どうやら登山者・ハイカーとトレイルランナーを同じ立場と考えないほうが良さそうですね。むしろ、

    登山者・ハイカー=一般道における歩行者
    トレイルランナー=自動車

    位の認識が良いかもしれません。

    狭いトレイルでランナーが登山者を追い抜くのは、狭い路地を歩いていた歩行者の脇を自動車が減速せずに走り抜けていくようなもの、と考えると登山者の方の恐怖が実感できるのではないでしょうか?

    しかも、怖いだけではありません。すれ違うトレイルが細い尾根や片側が落ちた斜面だった場合、ぶつかって滑落する危険性が登山者とランナーの双方にあります。

    走ってのすれ違い・追い抜きが怖くて危険という声が多いのと同様に、ランナーに無言で後ろにつかれると怖いしプレッシャーを感じるという登山者の声もよく聞きます。登山者の方からすると、このときのトレイルランナーはさながらあおり運転をする自動車の様に感じるのかもしれません。

    トレイルランニング禁止の動きがあるエリアも

    実際にトレイルランニングが規制されそうになった / なっているケースもあります。

    例えば、鎌倉は都心から近く山も走りやすいため多くのトレイルランナーで賑わっていたのですが、観光地故にハイカーや観光客の方も多く、鎌倉でのトレイルランニングを規制する条例が制定されそうになったことがあります。それに問題意識を感じた有志のランナー達によって、ハイカーや観光客の方々に迷惑をかけないような運動が行われました。結果としては規制に至りませんでしたが、こういった話は鎌倉に限ったものではありません。

    つい最近も、観光で賑わうとある自然豊かなエリアで我が物顔で走るトレイルランナーが登山客に迷惑をかけ、地元の方々によってそのエリアでのトレイルランニングが禁止されるかもしれない、という話を聞きました。

    この様に、今後もマナーの悪いランナーが増えていくと、トレイルランニングが禁止されるエリアができてしまい自分たちの首を締めることになります。

    個人的にはトレイルでのマナーが浸透していくスピードよりも、マナーを知らない初心者ランナーが増えていくスピードのほうが早いと感じています。だから、この先日本の他のエリアでもトレイルランニングを禁止しようという動きが増えてこないか心配をしています。

    トレイルでのマナー

    では、私達はトレイルを走るときどの様にしたら良いのでしょうか?

    まずは、以下を頭に入れておいてほしいと思います。

    ・トレイルには登山者や観光客等多くの人がいる、ランナー専用ではない
    ・トレイルランナーは走っていない人にとっては脅威
    ・トレイルにおいて走って人とすれ違ったり追い越したりするのは危険
    ・トレイルランナーを快く思っていない人たちもいる
    ・状況によっては走れるフィールドが減る可能性もある

    その上でトレイルで人にあったら、以下の3つのことを気をつけてみてください。

    1.歩いてすれ違いましょう / 追い越しましょう

    少し先のトレイルに人を見つけたら走るのをやめましょう。「こんにちは」など、声をかけこちらの存在に気づいてもらうのが良いと思います。また、こちらが歩いているからと言って、焦ってはいけません。道が広くなったところで「ゆっくり」すれ違ったり追い越したりしましょう。

    また、相手がランナーと見るや止まらずに走ってすれ違ったり、追い越したりするランナーの方も結構な数見受けられます。ランナー同士であれ、狭いトレイルなどで走ってすれ違う / 追い越すのは危険です。相手がどんな人かによらず、歩いてすれ違いましょう / 追い越しましょう。

    すれ違う際に登山者の方とコミュニケーションが生まれることもあります。こういう一期一会も楽しみたいですね!

    2.トレイルから外れない

    時々、狭いトレイルで前をゆっくり歩く登山者さんを抜くのに、トレイルを外れて追い抜く方がいますが、これもマナー違反です。草木を踏むことで植生を荒らしてしまったり、新たな踏み跡ができることで、路面が硬く植物が生えなくなると、雨水が流れ込み、深い溝を作り、やがてコースそのものを崩壊させてしまいます。それ以外にも、丸太階段などで土砂の流出を防いでいる区間では、脇を通らず丸太階段を通りましょう。

    3.そもそも人で賑わうエリアを選ばない

    人で賑わうエリアでこのマナーを守ろうとすると、なんなら歩いてる時間のほうが長くなることもあります。そうなんです。人で賑わうエリアってトレイルランニングに向いていないんです。僕たちは東京在住ですが、一番近い高尾の山域に行ったとき、高尾山口〜高尾山頂や、高尾山頂〜陣馬山などはほとんど走りません。登山者、観光客、ランナーでごった返していて、気持ちよく走ることができないからです。

    初心者の方がそういうコースを見つけるのはちょっと難しいかもしれませんが、人は少ないけど走りやすいトレイルというのももちろんあります。そういうコースを走ったほうが、ランナーによって嫌な気持ちになる人も生まれづらいでしょうし、私達も気持ちよく走りに集中できます。是非、そういうお気に入りのコースを見つけて貰えればと思います。

    せっかく走るなら、人の少なくて気持ちいいトレイルを走りたいと思いませんか?

    あと、高尾山や鎌倉などの人気のエリアで、トレイルランの経験者の方が初心者を連れて走っているのをよく見かけます。経験者の方が初心者の方をトレイルに連れて行く際は、人が多すぎないエリアや時間帯を調べたり、初心者の方にすれ違いの際のマナーなども伝えたりしてもらえるといいと思います。

    マナーを広めていくために

    僕がトレイルランニングを始めたのが2011年ですが、その頃からトレイルランナーのマナー問題というのは取り沙汰されていました。そして、多くの人がそれを問題と感じ、改善しようとしているのにも関わらず、未だにマナー問題は解決していませんし、先に書いたように新たな火種も生まれています。

    トレイルランニングの魅力を広めたいと思うものとして、この状況に対してなにかできないかと考えた結果。2019年より「高尾トレイルマナー向上委員会(通称 高尾マナーズ)」というグループを立ち上げて、自分達の一番身近なエリアである高尾のマナー向上に少しずつですが取り組み始めています。

    今現在は、マナーブックを作成して高尾山口駅前でランナーに配布したり、マナー向上のフィールドワークやディスカッションイベントを開催したり、高尾エリアで登山者さんの少ないトレイルを紹介したりしています。

    高尾マナーズで製作、配布しているマナーブック

    ここで紹介しているマナーは、高尾に限らず日本の他のエリアでも共通することだと思うので、よかったら皆さんにも読んでもらえると嬉しいです。

    高尾トレイルマナー向上委員会(高尾マナーズ)

    また、こういったことは、少数の人が声高に叫んでいてもなかなか浸透していきません。トレイルでのマナーをご存じの方が、自分の周りやトレイルで知り合ったランナーなどに、少しずつ伝えていけるのが良いのではないかと思っています。そういう場合には、僕らの高尾マナーズのサイトを是非有効に活用してください!

    堅苦しいことを長々と話してしまいました。

    僕はトレイルランニングを楽しみたいし、その魅力を多くの方に伝えたいです。そのためには、自分たちがトレイルランニングを楽しみたいのと同じ様に、景色を楽しみたい人、のんびりと歩くことを楽しみたい人、観光を楽しみたい人など、様々な方の気持ちも大切にする必要があります。

    みんながトレイルで様々な楽しみを分かち合えるよう、是非ご協力ください!

    NEW ARTICLES

    『 トレイルランニング 』新着編集部記事

    ランニングにはポーチがあると便利!選び方やおすすめ商品を紹介

    2024.03.29

    メレルのトレランシューズ「AGILITY PEAK 5」 が大胆アップデート!天気や場所に左右されないのだ

    2024.02.20

    標高約3,067m!ロサンゼルス周辺の最高峰で過酷な「登山競走」に挑戦してみた

    2023.09.25

    六甲山にできた「MR BASE」は登山だけでなくトレランにも注力の新拠点だ

    2023.09.24

    プーマのアウトドアコレクション「SEASONS」に注目!独自素材を使った春夏アイテムをご紹介

    2023.04.13

    走るからこそ見える景色がある!沖縄の離島を「旅ラン」して見つけたもの

    2023.01.27

    日本最南端の市民マラソン開催に先駆けて、石垣島を「マラニック」してみた

    2022.12.28

    ベストシーズンは春!南カリフォルニアのトレイルを走ってみませんか?

    2022.12.22