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    2016.10.06

    夜空にあるもうひとつのカレンダー 【武井伸吾の星空写真館】

    荒磯を見守る星々 / 茨城県

    荒磯を見守る星々 / 茨城県

    空気が澄んで、夜が長くなるこれからの季節……この頃になると、僕のような星好きは常に天気が気になり、デスクワークに集中できなくなる。

    星座や天体の知識がなくても、ただ無心に夜空を見上げ、星を愛でるのは本当に良いものだ。でも、ほんの少しの星座を覚えるだけで、夜空を見上げることが随分と楽しくなる。
    星座を見れば季節を感じることができるし、どこに行こうと、見上げれば同じ星座や星の配列があることに安心感を覚える。

    星座で季節を感じることができるというのはなかなか良いもので、「星好きで良かったなぁ」とつくづく思うことの一つだ。
    かのオリオン座を見れば冬の到来を感じるし、頭上を流れる明るい天の川には夏を感じる。その一方で、明け方の東空に、夏の星座であるさそり座を見つけると冬を感じ、冬の星座であるオリオン座が昇ってくるのを見て夏を感じたりもする。
    一般的な暦とは異なる尺度で“季節のうつろい”を感じることができるのは、星好きならではの特権だと思う。言わば、夜空に“もうひとつのカレンダー”があるようなものなのだ。
    今は10月上旬だが、夜が更けると冬の星座であるオリオン座が昇ってくる。そのオリオン座や冬の大三角が南空に回り夜明けを迎える頃、東空にはもう春の星座であるしし座が姿を現している。

    古来、日本人は俳句や短歌に季節を詠んだ。日本人のDNAにしっかりと刻まれた季節を感じる感受性。今、僕らは星空に季節を感じることができる。
    ――僕らには、生まれながらにしてそういった感受性が備わっている。
    日本人として生まれたことを嬉しく思うと共に、その感受性だけはずっと持ち続けたいなと思うのだ。

    仕事帰り、ふと見上げた夜空の美しさに心奪われてしまったことが、誰にでもあると思う。
    頭上には、いつも美しい夜空が存在している。そのことに気づき、日々の生活の中でほんの少しだけ気に留めてみる。ただそれだけで、きっと新しい世界が広がると思う。

    オリオン座、そして冬の大三角が昇ってきた。冬の星座には明るい星が多い。この写真には、一等星が5つも写っている。

    オリオン座、そして冬の大三角が昇ってきた。冬の星座には明るい星が多い。この写真には、一等星が5つも写っている。

    星景写真家・武井伸吾
    「星と人とのつながり」をテーマに、星景写真(星空のある風景写真)を撮影。著書に写真集『星空を見上げて』(ピエ・ブックス)など。
    http://takeishingo.com/

    武井さんの以前のお話はこちら。
    桜と星空鑑賞のススメ。~夜桜礼賛~
    満天の星の下、お気に入りの樹々と過ごす時間。
    星降る夜に、カメラを構えながら思うこと。
    僕を夜空の世界へいざなってくれた星。
    空からラッキーが降ってくる。~流れ星の話~
    昇るオリオン座に夏を想う。~清涼のオリオン~

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