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    2021.04.05

    GPSが使えない暗い山道で役に立つ「北極星の見分け方」

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエの資格を持つ案内人でもある。宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」を無料公開中。

    春の星座。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    春の主役は北の空にあり

    今年の春分は3月20日でしたが、春分の日の午前0時、南の空を飾っているのが春の星座たちです。星座を探すとき、夏や冬なら南の空から天頂にかけての空に主役がそろってますが、春は別。北の空に一番の主役がいます。

    天頂近くに北斗七星がかかっています。私は、ひっくり返った柄杓のような北斗七星を見ると、春が来たなと実感します。北斗七星はおおぐま座の背中からしっぽの部分にあります。2等星が6つ、3等星が1つ。星座の星が集まっているのは、たまたま地球からそう見えるだけということが多いのですが、北斗七星の場合はほとんどの星が実際に地球から約80光年の位置にまとまっています。七星のうち5つは、もともと同じ星団から生まれた星々だったと考えられます。

    北斗七星の柄杓のすくう方にあるふたつの星を結んで、その距離を5倍伸ばしたところに光る星が北極星(正式な名称はポラリス)です。

    北極星の探し方とコカブの見分け方 

    今ではスマホについているGPSで北の方角を知ることができますが、イザという時、北極星を見分ける術は、いつの時代でも重宝すると思います。 

    おおぐま座とこぐま座。柄杓のすくう方の2つの星を結んで5倍延ばしたところにあるのが北極星。その反対側にあるオレンジっぽい星がコカブ。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    北極星はこぐま座のしっぽの先っぽにあります。こぐま座の星の配列は北斗七星によく似ており、7つの星からなる柄杓のような形をしています。このことから、北斗七星を大柄杓(おおびしゃく)、こぐま座を小柄杓(こびしゃく)とも呼んだりもします。

    北極星はすぐに見つけられると思いますが、暗い場所では星がたくさん見えるだけに、他の星と間違えてしまうこともあります。北極星と間違われがちなのが、柄杓の取っ手の先にあるコカブという2等星です。北極星も2等星で、同じような明るさなので間違いやすいのです。

    コカブは北斗七星と北極星の間にありますし、すぐ隣には3等星があります。北極星を見つけたら、北斗七星との中間にコカブと3等星が並んでいるのを確認しましょう。何もなければコカブを見ている可能性があります。

    色も違います。コカブのほうがオレンジ色っぽい。北極星は黄みがかった白。この違いが見分けられるとしたら、視力もいいのでしょうが、相当暗い場所だと言えるでしょう。

    北斗七星のミザールとアルコルで視力検査

    視力検査といえば、ぜひ覚えておいてほしいのが、北斗七星のミザールとアルコルです。

    北斗七星の左から2つめの星がミザール。そのすぐ近くにあるのがアルコル。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    柄杓の柄から2つめの星が2等星のミザールです。そのすぐ近くにあるのが4等星のアルコルです。町中で見る北斗七星は7つの星しか見えませんが、少し暗い場所に行けばアルコルを見つけることができるかもしれません。 

    昔からアルコルの存在は知られていて、視力検査に使われていたとされることもありますですが、実際に使われたかどうかは不明です。

    ミザールとアルコル、どれくらい近いかというと、いい比較対象があります。昨年の1221日、大きな話題になった木星と土星の大接近。その時の木星と土星よりは離れています。いずれにしろ、視力検査にはもってこいです。ぜひチャレンジしてみてください。双眼鏡があればベストです。望遠鏡だと離れすぎて、逆につまらないかも……。というわけで春は北の空をたっぷり楽しんでください。

    構成/佐藤恵菜

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