1本1万円の長ネギ農家! 清水 寅さん「草野球的農業」のススメ | BE-PAL

1本1万円の長ネギ農家! 清水 寅さん「草野球的農業」のススメ

2021.01.07

私が書きました!
編集者・ライター
ニイミユカ
兵庫県出身、浅草在住。一児の母。主に、衣食など生活にまつわる地に足のついた企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆しています。instagram @yuknote

未経験からプロへ。「清水 寅さん」とは?

“初代葱師”を名乗る清水 寅(しみず・つよし)さんは、就農10年で1本1万円のブランド長ネギが予約完売という農業のプロ。前回は、清水さんにキャンプにおすすめの「長ネギのBBQ」を教えてもらいました。農家ならではの、ダイナミックで素材の活きたレシピは、1本丸ごとたのしめる野外料理ならでは!

清水さんがおすすめする長ネギのBBQはこちら

さて、そんな清水さんですが「本当は虫が苦手で、農業とは無縁だった」そうです。ここからは、清水さん流「農業を始めたい」と思っている人に向けての、心構えをご紹介します。

糖度21.6度を記録した「寅ちゃんネギ」畑。社員の抜群なチームワークで、雑草はほとんど見られない!

その前に、ざっと清水さんのプロフィールをおさらい。

2011年、異業種の社長をしていた30歳のときに「地元の農業を元気にしてくれ!」という農家さんの声から一念発起。奥さんの地元である山形・天童市に移り住み、就農。「味に大きな差は生まれないだろう」と長ネギを選んだそうです。

紆余曲折ありながらも、持ち前のバイタリティと弛まぬ努力で、今やその活躍は農家の域に留まりません。

たとえば、ミシュランの星付きレストランのシェフも認める、ブランド長ネギ「寅ちゃんネギ」。そのみずみずしい甘みから、スーパーなどでも、押しも押されぬ人気野菜に。また、この冬、初めて出荷した贈答用ネギ「モナリザ」は、1本1万円ながら、すでに予約完売しています。

前向きな人生を歩みたい人にも。『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』(講談社)。

さらに、通常よりよく育つ家庭用長ネギの苗をホームセンターで販売し、評判は上々! この10月には、ビジネス書『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』(講談社)を上梓し、芸“農”人として次世代に農業の格好よさを伝えたいといいます。

こう聞くと「農業をやりたい」という人たちには積極的に農家になってほしいはず! と思いきや……?

「まずは家庭菜園から始めてください」

速乾性の動きやすいTシャツとアンダーウェアに、スポーツサングラスと、出立はまるでプロ野球選手のよう。

自然が大好きな『BE-PAL』読者や、そのお子さんの中には、農家への転職や憧れをもつ方も多いでしょう。そこで「農業を始めたい」という人へ、アドバイスはありますか? と聞いたところ「まずは家庭菜園から始めてください」と、笑顔でスッパリ。

その言葉には、1日20時間働いて、いまを築き上げた清水さんだからこその想いがありました。

「同じ野球でも、草野球は楽しいけれど、プロ野球は苦しいことも多いと思います。最初から苦しい世界へ飛び込むと、その喜びや素晴らしさを理解するまでに、嫌になってしまうかもしれません。ですから、まずは家庭菜園から気楽に初めてみてはいかがですか。

僕の場合は、そもそもの負けん気の強さもあって(笑)、何があってもやってやる! とここまできましたが、やはりプロの世界は厳しいです」

では、家庭菜園から農業を始めるよさは、どんなところにあるのでしょうか。

草野球的農業のよさ

喜びを純粋に味わえる

「まずはやはり、農業の醍醐味である作物の育つ喜びを純粋に味わえます。そもそも、ここでお金を稼ぐ必要がないですから、万が一、失敗しても人生におけるダメージも少なくてすみます。最初から仕事にすると、この喜びを感じる前に苦しくなってしまうかもしれません」

天候や、土の状態など、争いようのない自然相手の農業。プロの農家である清水さんにおいても、いまだにトライ&エラーの連続だといいます。

「仕事にしたい。農家として独立したいというのなら、ある程度つかめるまでは、草野球的に楽しんでからをおすすめします」

いろいろな作物を試して向き不向きが掴める

清水さん曰く、一口に“野菜”といっても、性格によって向き不向きがあるそうです。

「たとえば、僕はきゅうりは苦手です。もいでも、もいでも、また実るでしょう。終わりが見えない(笑)。

また、自分で“つくった”と実感できる野菜が好きですね。それでいうと長ネギは、草をむしったり、肥料をやったり、腐らないか見回ったり。手間ひまかけて育てる必要があります。だからホウレンソウは、ちょっと苦手。こちらは耕した土に種を撒けば、ニョキニョキと生えてくる。作物の力で“できた”っていう感じの野菜なんです。それでいうと、木になる果樹全般も“できた”と感じるものが多いかもしれません」

なるほど。この感覚は、育ててみないと分からない、フェチな部分です。

草野球的農業のうちにやるべきこと

さて、そんな楽しみのうちでも「プロを目指すながらできることはある」と清水さん。

農業は、虫がついたり、病気になったり、失敗は珍しくないのだとか。その原因は、プロになった今もWEBや専門書で調べたり、師匠としてしたう方などに聞くそうです。

「僕の場合は、分からないことは『しつこい!』と怒られるぐらい(笑)細かなことも聞いたりして、ここまでやってきました。たとえばすでに農業をしている方で、先生として教えてくださる方がいたり、見つかったりすればベター。ですが、今はインターネットにもたくさん情報はあります。作物の状況をよく観察して、自分でどんどん調べて、経験や知識をストックするのをおすすめします」

性格的には「負けず嫌いな人は農業に向いているかも」と清水さん。カラッとした笑顔ですが、その裏には数えきれない努力や苦労がありました。

「農業を始めた頃に比べて、今は少しずつ軌道には乗ってきています。でも、だからといって、100点ではないし、100点は一生取れないと思っています。
“いいネギ”と一口に言っても、いろいろ。今年の『寅ちゃんネギ』でいえば、焼くより鍋料理のほうがおいしいなど、年によってできが違うのも、予測できない大変であり醍醐味の一つです。

だからまずは、楽しんでみてください。自分で育てた野菜は格別ですよ。僕は毎晩、自分のいろんな畑で採れた長ネギを、シンプルな鍋料理にしてたのしんでいます」


365日、畑と向き合い続ける清水さんだからこその言葉、いかがでしたか。

次回は、その「寅ちゃんネギ」を、キャンプの朝食やおつまみにもおすすめの、オリジナルレシピでたのしんでみます!

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