もういくつ買ったのか、わからない……。僕の大定番・ビクトリノックス「クラシック」
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    2020.05.16

    もういくつ買ったのか、わからない……。僕の大定番・ビクトリノックス「クラシック」

    私が書きました!
    アウトドアライター
    高橋庄太郎
    アウトドア系ライター。高校山岳部で山歩きを始めた関係で、今もいちばんの得意分野は「山」だが、川や海でのカヤックなども大好物。『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)など著書も多数で、イベントやテレビ番組への出演も増えている。Instagram ShotaroTakahasi

    活躍度はダントツの1! これがなくては生活できない

    アウトドア系ライターという仕事柄、僕はたくさんのナイフ類を持っています。用途や大きさの違いはもちろん、どこかに行ったときの記念に買った安っぽいものや、子どものころの思い出のおもちゃのようなものまで含まれば、おそらく30個以上。でも、実際によく使っているのは5つ程度でしょうか。ちなみに、自分で初めて買ったナイフらしいナイフは、アーミーナイフの代名詞的存在のビクトリノックスの製品。正確に言えば、ナイフ付きのマルチツールです。僕は高校で山岳部に入りましたが、1年生の夏休みにヨーロッパへ一人旅をする機会もあり、本国スイスで登山向けのタイプを購入したのでした。

    大小のナイフと缶切り、栓抜きだけのシンプルさ。現在の同社のラインナップにはないモデルのようですが、「リクルート」という製品に近いようです。しかし、今は缶切りも栓抜きも使う機会はないなあ。

    そんな僕のナイフ群の中でいちばん使っているモデルは、ビクトリノックス「クラシック」。考えるまでもなくダントツです。こいつは僕の小指とほぼ同じ長さで、かつ厚みは1/2程度という超小型タイプ。アウトドアだけではなく日常生活の上でも欠かせない存在になっていて、いつでも瞬間的に取り出せるようにしているのです。誰かにあげたり、なくしたり、パーツが傷んで買い直したり、はたまた山中で拾ったりして、これまでに少なくても10数個は使ってきたはず。価格は2000円以下ですから、“色に飽きた”なんて理由だけで新しいものを買ったこともあります。

    現在の僕の手持ちのクラシック。直近の愛用品はいちばん上にあるスケルトンブルーのものです。

    30年使い続けている定番「クラシック」と、その派生モデル

    ここまで僕は「クラシック」と書いてきましたが、実際はクラシックには派生モデルが多く、例えば上の写真のブルーのスケルトンカラーは「クラシックSD」という名前。購入時は普通のクラシックよりも数百円高かった記憶があります。そういえば昔、USBメモリ付きのクラシックも持っていたっけ。たしか128㎆しかなく、現代では使い物にならないスペックでした。

    さて、前置きが長くなりましたが、僕はつい先日も新しいクラシックを購入しました。その名も「クラシックSDウッド」。ハンドルがヨーロピアンウォールナット(くるみ)で、これまでに僕が買ったクラシックの中でもっとも上品な雰囲気をたたえています。ただし機能性でいえば、むしろ普通のクラシックのほうがいい(後述)のですけれど……。ハッキリいって、購入動機は「見た目」であります。

    これが「クラシックSDウッド」。サイズはクラシックとまったく同じですが、重量はクラシックよりも1g軽い、19g!

    正確な長さは58㎜、そして厚みは6mm。とにかく小さいんです。

    ビクトリノックスのマルチツールといえば、ハンドルの素材はほとんどが樹脂製で、イメージカラーはレッド。しかし、この木製ハンドルの美しさといったら! 同社のウェブサイトでは税抜き価格3500円と、一般のクラシックの倍近い値段になりますが、それだけの価値はあるというものです。

    ところで、僕は”アウトドア”で使うナイフには3つの機能を求めています。それは、ナイフ、ハサミ、プライヤー(ペンチ)。だからこそ単純なナイフではなく、ビクトリノックスのようなマルチツールを選んでいるわけです。そのために、登山などのときはクラシックの機能だけでは物足りないので、他のマルチツールを併用しています。僕のナイフの中でもっとも出番が多いといっても、それはあくまでも街使いを含めての話。アウトドアでは細かな作業ができるプライヤーは非常に重要な機能なんです。

    しかしキーホルダー代わりの街使いならば、プライヤーの出番はなく、ナイフとハサミがあればだいたいOK。クラシックSDはナイフとハサミの機能を持つ以外に、さらに先端がマイナスドライバーになった爪やすりも付けられています。ついでにいえば本体の端にはカギなどを取り付けるキーリングもあり、メーカー的にはこれで5つの機能と計算するようです。

    上から、ハサミ、スモールブレード(ナイフ)、爪やすり。爪やすりの先はマイナスドライバーになっています。

    段ボール箱の開封に、旅の間の爪切り代わりにと、いつも大活躍!

    僕は仕事上、アウトドア用具が梱包された段ボール箱を毎月大量に開封しますが、そのときにこの小さなブレードのナイフが大活躍。大きめのナイフよりも、よほど使い勝手がいいのです。一方で、アルミ缶くらいなら平気で切れる鋭いハサミも重宝し、爪やすりも意外と便利です。長旅の際は、ハサミで爪を切って、爪やすりで形を整える……なんて使い方も珍しくありません。

    とにかくこれがあれば、日常生活が格段に便利になること間違いなし。30年近く使い続けてきた僕は、きっとこのまま死ぬまでクラシックをいつも持ち歩くことでしょう。

    とはいえ、先に書いたようにクラシックSDウッドは見た目がすばらしいものの、クラシックに比べて機能性は劣るんですね。じつは普通のクラシックには“ピンセット”と“つまようじ”もついているのですが、クラシックSDウッドは省略。ピンセットとつまようじを入れる部分の細かな加工は、ハンドルが樹脂製でないと難しいのでしょう。つまようじはともかく、本当はピンセットもけっこう活躍するパーツなのですが、仕方がありません。

    しかし、いいんです。これだけ雰囲気のある木製ハンドルを使う楽しみができたんですからね。

    グリーンのクラシックには、ピンセットとつまようじが付属。それに対し、クラシックSDウッドはシンプルです。

    予想以上に早かったクラシックSDウッドの使い始め

    最後にちょっとした裏話的なことを。この記事を作るために、僕は1カ月以上も前に自分のクラシックたちを撮影していたのですが、ちょうどその直後に飛行機に乗る機会がありました。遅刻気味で時間はギリギリになっており、いつもはクラシックを機内預けにしているのに、このときはうっかりとそのまま手荷物検査のゲートに! そして僕のスケルトンブルーのクラシックは機内に持ち込めないと告げられ、あえなく没収というか放棄させられてしまったのでした。あいつはあいつで気に入っていたのにな……。

    そんなわけで、その旅の帰宅後はクラシックSDウッドをパッケージから取り出して、デビューさせることにしました。もう少しの間、使い始めないでキープしていようと考えていたのですが……。かなり硬い木材なので簡単にはハンドルに傷がつかないようですが、使い続けるうちに少しずつ経年変化の味が出てくるんでしょう。今から楽しみです。

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