ベゴニアの仲間「シュウカイドウ」は紅色の花が下垂して咲く | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2025.10.23

ベゴニアの仲間「シュウカイドウ」は紅色の花が下垂して咲く

ベゴニアの仲間「シュウカイドウ」は紅色の花が下垂して咲く
画家・写真家・ナチュラリストの奥山ひさしさんによる、美しいイラストと写真付きの自然エッセイです。今回は、シュウカイドウについて。
Text
Source

シュウカイドウの英名はHardy begonia

植物の葉が地面に接するように放射状に広がっている状態。タンポポ、ハルジオン、オオバコなどの多年草や、ナズナ、ヒメジョオンなどの越年草は、この状態で冬を越す。

シュウカイドウ科の多年草。ベゴニアの仲間で、高さ約60㎝。秋、紅色の花が下垂して咲く。葉の付け根に小さいムカゴをつけて増える。中国の原産で、庭園に植えられる。

シュウカイドウは暑さや寒さに強く、唯一、日本の戸外で越冬できるベゴニアだ。

シュウカイドウは中国南部の原産だが、日本には江戸前期に持ち込まれたとされている。大きな庭のある家だと、生け垣や木の下の日陰の場所などに植えられるが、野生化したものを各地で見ることができる。
 
大きな葉は左右が非対称で珍しい。枝葉はとてももろくて折れやすい。雄花からは花粉のかたまりが突き出るが、雌花には三角形の翼がある。
 
種は砂粒のように小さくて、実生では育たないが、葉の基部にムカゴができて、これがこぼれ落ち、新しい株に育つ。
 
昔、ツクバネの実をどうしても見たいという家内の友人を連れて、私が「イノシシヤマ」と呼んでいる峠まで行ってみた。
 
麓の山からは200mほどの高さの、この山の脇道には、3本のツクバネの木があり、ほかにもハンショウヅルやシラヤマギクなどが育つのだが、行ってみたらなんと、木や草がきれいに切り払われていて、ツクバネの木も消えていた。
 
立ち止まって見ていると、「親父……」と、向こうで息子が呼んでいる。行ってみると、なんと脇道の入り口の左手に、枝先に実を付けたツクバネの木があって、家内の友人が大喜び。
 
そこから少し坂道を下がったところに小さな沢があり、シュウカイドウが5株ほど並んでいた。バケツに沢の水を汲んで太めの枝を入れたが、シュウカイドウの枝や茎はとても折れやすいから、はたして無事に家まで持って帰れるだろうか。
 
ツクバネの小枝を手にした家内の友人は、「ほんと、羽にそっくりよね」とご機嫌だったが、クルマが大きく揺れるたびに、私はハラハラしてバケツを振り返った。

雄花の花粉のかたまり。

雌花には三角形の翼がある。

できたムカゴが新しい株に育つ。

羽根突きの羽にそっくりのツクバネの実。

おくやまひさし プロフィール

画家・写真家・ナチュラリスト。 
1937年、秋田県横手市生まれ。自然や植物に親しむ幼少期を過ごす。写真技術を独学で学んだのち、日本各地で撮影や自然の観察を開始。以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、書籍を数多く出版。

(BE-PAL 2025年11月号より)

NEW ARTICLES

『 自然観察・昆虫 』新着編集部記事

ツルニンジンは不思議な味!食べてみたいと思ったら、見つけて掘り出そう

2026.04.19

黄色い花が一面に!タンポポだけじゃない、黄色い花を咲かせる春の雑草観察ガイド

2026.04.10

焚き火マイスターのソロ活は、「木を残す」取り組みだった!

2026.04.06

【春夏秋冬】食べられる雑草を探してみよう!見分けるためのおすすめハンドブックも紹介

2026.04.04

花も野鳥も美しく撮る!野鳥の魅力が引き立つコラボレーション撮影術

2026.04.03

生き物の不思議、知る楽しさを味わえるソロ活5選!

2026.04.02

生物撮影ソロ活!ひとり研究室で自然界の不思議を追求するスペシャリストたちを紹介

2026.04.01

磯野貴理子さんが推す「鳥」3選! ご本人撮影の写真とともに解説

2026.03.25

写真でナットク! サイカチの樹皮につくトゲは見るからに恐ろしいっ……

2026.03.20