
活動のピークを迎える夜間や早朝に、標高の低い雑木林で樹液や木の根元を丁寧に探せば、出会えるチャンスは十分あります。
気温や天候、装備にも配慮しながら、夏の終わりならではの貴重な観察体験を楽しみましょう。
(出典)photoAC
カブトムシは9月でも採集できる
本来の採集時期は8月の下旬まで
カブトムシの一般的な採集時期は7月中旬から8月下旬までです。これは成虫が活発に活動する期間と一致しており、夏の間に繁殖や産卵を終えた個体が寿命を迎えるため、9月には数が減少します。ただし、条件がそろえば9月に入っても採集は可能です。
採集可能なエリアの特徴

カブトムシは標高0〜500m程度の場所に多く生息しており、特に海岸近くの雑木林や里山など、クヌギやコナラの木が多く生えている環境を好みます。こうしたエリアでは、日中の気温が25℃前後で、昼夜の寒暖差が小さければ、9月初旬でも活動している個体を見かけることがあります。
一方、標高が高くなるにつれて気温が下がるため、カブトムシの生息数は減少していきます。特に標高500mを超えるような山間部では、ミヤマクワガタやアカアシクワガタなどのクワガタは多く見られるものの、カブトムシに出会チャンスは限られてきます。
したがって、9月の採集では標高の低い雑木林が最も適したエリアとなります。
カブトムシが採集しやすい時間帯

カブトムシは基本的に夜行性で、暗くなると活発に行動を始めます。とくに採集に適しているのは19時から23時ごろまでです。日没直後の19時〜20時には、木に飛来しはじめる個体が見られ、活動の始まりを観察しやすい時間帯です。
その後の20時〜23時がピークで、樹液が出ている木に多くの個体が集まり、採集には最適な時間となります。
23時を過ぎると徐々に動きが鈍くなりますが、完全に姿を消すわけではありません。樹液を吸った後のカブトムシが、木の根元や落ち葉の間で休んでいるカブトムシを発見できる場合もあります。
さらに早朝の5時〜6時も見逃せません。まだ涼しい空気のなかで、夜の間に活動していた個体がその場にとどまっていることが多く、木の根元や倒木の陰などを探せば、発見できることがあります。朝は子供でも安心して採集できる時間帯です。
なお、夜間の気温が20℃を下回るとカブトムシの動きが鈍くなり、飛来や活動が著しく減るため、採集を計画する際には当日の気温予報を確認しておきましょう。
カブトムシがいる場所

樹液のまわり
クヌギやコナラの木から出る甘い樹液は、カブトムシを惹きつけます。
日没後から深夜にかけて、樹液のにおいに誘われて多くの個体が集まってきます。木の周りをぐるっと見て、木に穴が開いていたり、裂けていたりする箇所を探してみましょう。
カナブンやクワガタなどの、ほかの昆虫がたかっている部分は注目ポイントです。静かに近づいてライトを当てると、複数のカブトムシが群がっている様子が見られるかもしれません。
また、幹だけでなく、木の枝先にも目を向けましょう。ときには人の手の届かない高所にとまっていることもあります。そうした個体を採集するには、ロッド部分が伸縮するタイプの虫とり網が便利です。軽量で持ち運びやすいため、ひとつ用意しておくと安心です。
木の根元
活動時間を過ぎたカブトムシは、木の根元や落ち葉の間で休むことがよくあります。夜間や早朝に根元付近をライトで照らすと、地面にじっとしている姿を見つけられることもあります。とくに朝露が残っている時間帯は動きが鈍く、簡単に採集できるタイミングです。木の根本だけでなく、足元の落ち葉や地面に転がっている朽ち木の下なども注意深く探してみましょう。
カブトムシは9月になると少なくなる
9月に入ると、気温の低下や日照時間の短縮により、カブトムシの活動量は急激に減少します。特に台風や長雨といった天候不順の影響が加わると、予想以上に早く姿を消してしまう年もあります。また、繁殖や産卵を終えた個体の寿命も尽きてくる時期であり、見かける個体は少なくなりがちです。
そのため、9月に採集を狙うのであれば、できる限り月初に行動するのが鉄則です。早朝・夜間の時間帯を活かし、気象条件に注意しながら計画的に挑みましょう。
カブトムシは9月でも採集可能!エリアとタイミングがカギ
9月でもカブトムシを採集することは十分可能ですが、成功のためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。まずは、標高の低い地域にある雑木林を選ぶこと。次に、気温が高めで安定している日を選び、夜間または早朝に行動すること。
そして、樹液の出る木の周囲を注意深く探す観察力と、高所にも対応できる装備(虫とり網など)を用意しておくことが重要です。
自然環境への配慮を忘れず、観察・採集を行いましょう。短い命の中でたくましく生きるカブトムシとの出会いは、きっと夏の終わりの特別な思い出になるはずです。