
その他にも、草食動物に食べられないように嫌な臭いを出したり、毒やトゲを持つ雑草があります。今回は、人間にとってはとても厄介なトゲだらけの雑草を紹介します。
トゲのある雑草に刺さらないための基礎知識
トゲのある雑草はそれほど多い訳ではないので、トゲのある雑草をいくつか覚えておくだけで危険を回避することができます。
雑草のトゲの役割と生育環境の特徴

トゲのある植物というと、どんな植物を思い浮かべるでしょうか?例えば、「きれいなバラにはトゲがある」という言葉があるように、バラの茎にはたくさんのトゲがあります。
また、野菜を栽培したことのある人なら分かるかもしれませんが、ナスにもトゲがあります。その他にも、ユズやスダチの木にもトゲがあります。これらのトゲは、草食動物に食べられないようにできたと考えられています。
トゲのある雑草が引き起こす主なトラブルと危険性
トゲのある雑草を素手で触ってしまうとトゲが刺さることがあるので、草刈りをする際には長袖を着用し、厚手の手袋をすることが大事です。
また、トゲではなくても、茎や葉の表面が細かい毛で覆われている(キウイフルーツのようなイメージ)雑草もあるので、皮膚の弱い人は肌を露出しないようにしてください。
見分けに役立つ!トゲが刺さる雑草を写真で解説
トゲのある雑草は毒と違って見た目で分かるので、雑草に触れる前にはよく観察するようにしてください。ここでは、トゲを持つ雑草をいくつか紹介します。
アメリカオニアザミ


名前にはアメリカと付いていますが、ヨーロッパ原産のキク科の雑草です。小さい頃からトゲで覆われており、葉だけでなく、つぼみにまでトゲがあります。
高さは30から100センチくらいで、7月頃に赤紫色の花を咲かせます。道路の脇や空き地など街中でもよく生えているので、簡単に見つけることができます
ノアザミ

この写真は今から60年近く前に採取された植物標本ですが、葉のトゲを確認することができます。ノアザミは、6から8月頃にアメリカオニアザミと似た赤紫色の花を咲かせますが、アメリカオニアザミよりもトゲが少ないので、区別することができます。
また、アザミは旧訳聖書「創世記」の中にも出てくる雑草です。
アレチウリ


アレチウリはウリ科の雑草で、日本には1950年代前後にやってきた外来種です。他の植物を覆うようにして広がるだけでも厄介な存在ですが、花の周囲には無数のトゲがあります。小さなトゲは軍手をしていても刺さるので注意が必要です。
また、アレチウリは、生きたままの移動や、栽培が禁止されている特定外来生物に指定されています。特定外来生物を根が付いたまま持ち運んだり、庭などに移植することは法律違反となります。
違反すると、個人の場合には最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合には最大で1億円以下の罰金が科されます。
オニノゲシ


キク科のオニノゲシは、名前に鬼という字が入っているように、いかつい見た目をしています。空地や、道路の脇などに生育し、秋になると黄色い花を咲かせます。
花だけを見ればとてもかわいらしい雑草なのですが、葉の縁にある無数のトゲは注意が必要です。
低木にも注意!
小さい頃は雑草に似ていますが、トゲのある低木も存在します。
ノイバラ


バラ科の低木で、ノバラ(野バラ)とも言います。花屋さんで売っているバラと同じくトゲがあります。空地や河川敷などに生え、つるを伸ばしながら育ちます。
7月頃に白い花を咲かせ、10月頃になると赤い実を付けますが、そのまま乾燥させてドライフラワーとして飾ることができます。
また、大きくなるにつれてトゲが堅くなるので、小さいうちに抜いてしまうことが大切です。ただし、小さくてもトゲがあるので、草刈りをする際には厚手の手袋をしてください。
野イチゴ


野イチゴは総称で、黄色い実のモミジイチゴ、赤い実を付けるクマイチゴやニガイチゴ、クサイチゴなどがあります。ただし、クサイチゴは草ではなくて木で、山のすそ野など郊外によく生えています。5月頃に白い花を咲かせて、6月頃になると赤い実を付けますが、この実は食べることができます。
野イチゴに共通しているのは枝にトゲがあることで、しかも小さい頃からトゲがあるので、草刈りの際には注意してください。
安全に草むしりを行なうための基本ポイント
ここでは、雑草のトゲから身を守る方法をご紹介します。
トゲのある雑草が庭や芝生にもたらす危険性
身近な場所に生えている雑草のトゲは、とても厄介です。特に、ペットの散歩道や小さい子供達の遊び場にトゲのある雑草が生えていないか、よく観察しておく必要があります。
トゲのある雑草を思わず触ってしまうと、けがをしたり、トゲが刺さることがあります。
除草作業時に必要な装備

まず、除草作業をする際には長袖を着用してください。暑い日だとどうしても薄着になりがちですが、腕や足の皮膚を守ることが大切です。その際には、定期的に休憩を入れたり水分補給をするようにしてください。
そして、手袋も必要ですが、軍手ではトゲを防ぐことができないので、厚手の手袋にしてください。ただ、厚手の手袋でもアメリカオニアザミのような雑草を強く握るとトゲが貫通する恐れがあるので注意してください。
除草剤や駆除方法の選び方|効率的で安全な対策
トゲのある雑草を直接触らずに駆除するのであれば、除草剤が有効です。除草剤を使用する場合は、雑草が大きくなる前の2から3月頃に処理すると効果的です。
また、鎌を使う際には雑草の根元から刈るようにしてください。刈り取った雑草を片付けときには、トングで挟めば直接触らなくて済みます。トングは100円ショップで購入するので、とても便利です。
トゲが刺さった時の対処法
雑草のトゲが刺さった場合は、とげ抜きやピンセットを使用して取り除き、しっかりと消毒するようにしてください。以前、指にアレチウリのトゲが刺さったことがありましたが、小さいトゲだったので抜くのが大変でした。
万が一、トゲが抜けない場合は、トゲが刺さった部分が化膿する可能性もあるので、医療機関を受診するようにしてください。
トゲのある雑草との付き合い方
駆除するなら春先
トゲのある雑草は、大きく育つと草刈りがとても大変になるので、とにかく春先のうちに駆除することが大切です。もし、大きくなってしまった場合は、トングを使ったり、厚手の手袋を身に付けるなど、トゲのある雑草にはできるだけ触らないように駆除してください。
観察するのも楽しい
ただ、トゲのある雑草も直接触らなければ特に害は無いので、邪魔にならない場所に生えている雑草を見付けたら、刈らずに観察してみてください!トゲだらけの雑草の姿は個性的で面白いし、密集したトゲの迫力に圧倒されますよ。