糸トンボの魅力全開!繊細で美しい姿と種類を徹底解説 | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.09.12

    糸トンボの魅力全開!繊細で美しい姿と種類を徹底解説

    糸トンボの魅力全開!繊細で美しい姿と種類を徹底解説
    糸トンボは、糸のように細く繊細な姿をした小型のトンボです。日本には、アジアイトトンボやアオモンイトトンボなど多彩な種が生息し、公園や湿地でも出会えます。糸トンボの特徴や生態、関東で観察できる身近な種類を紹介します。

    糸トンボの特徴

    草にとまるトンボ
    (出典) pexels.com

    糸トンボは、鮮やかな体色や止まり方が個性的なトンボです。分布する地域によって多彩な種類がいるため、観察するほど奥深い魅力に気付くでしょう。まずは、そんな糸トンボの特徴を詳しく見ていきます。

    繊細で美しい姿が魅力

    糸トンボは名前の通り、細い体を持った小型のトンボです。体長はおよそ25~35mmで、マッチ棒ほどの大きさしかありません。

    多くのトンボ、例えばシオカラトンボやアキアカネは羽を広げて止まりますが、糸トンボは羽を胴体に沿うように閉じて休むのが特徴です。

    前羽・後羽の形や大きさがほぼ同じで、左右に離れた複眼とともに個性的なシルエットを見せてくれます。鮮やかで目を引くポイントカラーや、種によって成長すると体色が移り変わるのも魅力の一つです。

    全国各地にユニークな種が生息

    日本には、糸トンボ科の仲間が11属27種確認されており、地域ごとにさまざまな姿が楽しめます。関東で身近な糸トンボの代表は、アオモンイトトンボやアジアイトトンボです。

    特に、アオモンイトトンボは比較的簡単に見つけられます。都市部の公園や小さな池で観察されることもあり、家の近くでも観察しやすいでしょう。

    一方で、関東ではあまり見られない種類も存在します。例えば、ルリイトトンボやエゾイトトンボは、主に北海道から本州北部にかけて生息します。青く澄んだ体色が目を引く、人気の高い種類です。

    このように、分布や見た目に多様性があるため、糸トンボの観察は地域による自然環境の違いも感じさせます。

    糸トンボの生態とライフサイクル

    草にとまるトンボ
    (出典) pexels.com

    食べ物や成長段階を知ることによって、より深く糸トンボの暮らしを理解できます。ここでは、生息環境からライフサイクルまで、その生態を詳しく解説します。

    抽水植物が多い湿地を好む

    糸トンボが暮らす場所は、平地から丘陵地まで幅広く、主に池・沼・湿地帯などの水辺です。

    ヨシやガマのように水の中から生える抽水植物の多い環境を好み、草地や森林に近い流れのあまりない湿地などで見られます。繊細な体を隠しやすく、また産卵のための植物も豊富にあるからです。

    しかし、近年は湿原の開発や水質の変化によって、個体数が減少している種類もあります。地域によっては絶滅危惧種に指定され、保護活動の対象となっています。

    成虫で越冬する種類もある

    糸トンボのライフサイクルは、産卵から幼虫・羽化・成虫であり、他のトンボと共通する部分が多いものの特徴的な点もあります。

    産卵は、水底に根を下ろして水面に葉を出す『抽水植物』の葉・茎に、埋め込むように行います。幼虫(ヤゴ)の姿で水中生活を送るのは、数カ月〜1年ほどです。外敵から身を隠しつつ、時期が来ると羽化して空に飛び立ちます。

    一般的に、トンボ類は幼虫で越冬することが多いのですが、糸トンボの仲間であるホソミイトトンボは成虫のまま冬を越す珍しい種類です。

    ホソミイトトンボには、夏に生まれて繁殖する『夏型』と、晩夏に生まれて越冬する『越冬型』がいます。越冬型は林近くや草むらにひそみ、翌年の春に繁殖します。

    成虫もヤゴも肉食性

    糸トンボは、繊細な見た目とは裏腹に、捕食者としての一面を持っています。成虫は、空中を飛ぶ小さな昆虫を捕まえて食べる肉食性で、主な獲物はハエ・蚊などです。

    視覚を頼りに俊敏に飛び回り、獲物を前脚で捕らえて食べる姿は小さなハンターそのものです。水辺の生態系バランスを支え、蚊を減らす存在としても役立っています。

    また、水中で過ごす幼虫のヤゴも肉食性です。下顎を素早く伸ばして、ミジンコ・イトミミズなどの小さな生物を捕らえます。

    どちらのステージでも『生きたまま』の餌を好むため、飼育する場合は新鮮な生き餌が欠かせません。

    関東で見られる身近な糸トンボ

    全国各地に分布する糸トンボですが、関東地方でも身近に観察できる種類がいくつか存在します。最後に、関東の水辺で出会えるアジアイトトンボ・アオモンイトトンボ・クロイトトンボの3種類を紹介します。

    アジアイトトンボ

    アジアイトトンボは、日本全国に分布する身近な糸トンボの一種で、北海道から沖縄の離島まで広く姿を確認できます。

    体の大きさは成虫で約24~33mm、アオモンイトトンボ属の中でも小さい方です。オスは、腹部の第9節に鮮やかな青色の紋が入るほか、胸部は緑色です。

    一方、メスは若い個体ほど朱色を帯び、成熟すると落ち着いた緑色に変化します。成長段階によって体色が変わるため、観察時には個体ごとのバリエーションを楽しめます。

    アオモンイトトンボ

    アオモンイトトンボは、関東の沿岸部や関東より西の平地で見られます。主に池・沼・水田・湿地など、水の流れがあまりない水辺に生息する糸トンボです。

    体長は約29~38mmとアジアイトトンボより大きめで、時には都会の水辺で見つかることもあり、人里近くで気軽に観察できます。

    名前の由来は、オスの腹部第8節と第9節にある鮮やかな水色の紋です。背中から見ると第8節だけが青く見えるのが、アジアイトトンボと見分けるポイントです。

    アオモンイトトンボは、アジアイトトンボとよく似ており、特にメスの識別は難しいといわれます。チャンスがあれば、両者をじっくり見比べるのもおすすめです。

    クロイトトンボ

    クロイトトンボは、糸トンボの中ではやや大きめで、体長は約27~38mmになります。全体的に黒っぽい体色を持ちつつ、オスは胸部や腹の先端に鮮やかな青が入っているのが特徴です。

    特に、成熟したオスは頭から胸部にかけて粉を吹いたようになり、光に当たると青白く輝いて見えます。メスのポイントカラーは、青色の場合と緑色の場合があります。

    全国各地の池・湿地に広く生息しており、草や抽水植物にそっと止まる姿は美しい観察対象です。じっくり眺めていると、シックな黒と鮮烈な青のコントラストが浮かび上がり、その魅力に惹き込まれることでしょう。

    まとめ

    2色の羽を持つトンボ
    (出典) pexels.com

    糸トンボは、繊細なシルエットに鮮やかな色彩、そして小さなハンターの顔を持つ昆虫です。じっと止まって羽を閉じる姿や、青や緑に輝くポイントカラーは、身近な水辺を歩くだけで出会える自然の芸術品ともいえます。

    地域ごとに違った種と出会えるので、毎回場所を変えて探索するのも一つの楽しみ方です。公園の池から静かな湿地まで、少し足を止めて草の間をのぞき込めば、糸トンボの世界が広がっています。

    次のお休みには、小さなハンターたちを探しに出かけてみてはいかがでしょうか。

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