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バッタの特徴や生態
まずは、バッタの特徴や生態を解説します。よく似た昆虫であるキリギリスとの見分け方も紹介するので、次に見かけたときには注目してみましょう。
仮面ライダーのモデルになった昆虫
バッタは高いジャンプ力が特徴の昆虫で、顔の形は仮面ライダーのモデルにもなっています。
仮面ライダーのデザインを担当した石ノ森章太郎氏は、当初骸骨をモチーフにしたキャラクターを考えました。しかし、グロテスクであるとの理由で不採用となり、代案として考え出された50以上あるデザインの中の一つが、バッタをモデルにしたキャラクターです。
これも相変わらずグロテスクであると却下されそうになりましたが、「石ノ森氏の子どもが選んだ」と説得し、採用に至りました。
夏から秋にかけて活動する
多くのバッタは、夏から秋にかけて盛んに活動します。秋に産み付けられた卵は、冬を越して6月ごろにかえります。バッタの幼虫は、成虫と姿形は似ていますが、全体的にサイズは小さめです。
バッタは蛹(さなぎ)にはならず、脱皮を繰り返して成虫へ成長する、不完全変態の昆虫です。成虫になったバッタは夏場に最盛期を迎え、秋になると産卵をし、一生を終えます。
なお、バッタはメスの方が、オスよりも体が大きいのが特徴です。交尾の際は、オスがメスの背中にしがみつきます。
キリギリスとの違い
バッタとキリギリスは見た目が似ており、英語ではまとめて『Grasshopper』と呼ぶこともあります。
バッタとキリギリスの大きな違いは、触角の長さです。バッタの触角は太く短くなっていますが、キリギリスの触角は細く、体に対して見ても長めです。
また、バッタは鳴かない種類が多いのに対し、キリギリスはオスであれば基本的に鳴きます。触角の長さや鳴き声に注目すると、両者を見分けやすくなります。
代表的なバッタの種類

日本には数多くの種類のバッタが生息していますが、ここでは代表的な種類を4種紹介します。日本のバッタには、ユニークな名前が付けられているものも多く、中には人間にとって害虫となり得る種類も存在します。
オンブバッタ
日本で広く観察できる種類で、その名の通りメスがオスをおんぶしているのが特徴です。オスの体は約2~3cm、メスが約4~5cmとメスの方が一回り大きく、おんぶしている姿はまるで親子のようです。
おんぶの理由は、他のオスにメスを取られないようにするためと考えられています。ショウリョウバッタと見た目は似ていますが、オンブバッタの方が体が太く短いのが特徴です。
草むらに生息しており、街中や家の近くなどどこでも見つけられます。
ショウリョウバッタ
ショウリョウバッタは日本最大のバッタといわれており、細長い顔が特徴です。名前は、精霊(しょうりょう)流しに使う船に似ていることに由来する説があります。
体色が緑色の個体と茶色の個体が存在しますが、どちらも同じ種類です。飛ぶときに「キチキチ」と音を立てるのが特徴で、『キチキチバッタ』とも呼ばれます。
明るい草地に生息しており、日本のどこでも見つけやすい種類の一つです。
トノサマバッタ
トノサマバッタは、日本でもメジャーな種類の一つです。同じ種類でも、緑色の個体と褐色の個体が存在します。
飛ぶ力が強く、危険を感じると体長の10倍程度の距離を一度にジャンプできるほどです。羽を使うと50m程度飛行できますが、その移動能力がまれに人間に害を及ぼすケースがあります。
通常、トノサマバッタは群れずに生活していますが、個体の密度が高くなると、群れで行動することがあります。トノサマバッタが群れると、植物を食い荒らしながら移動をする『蝗害(こうがい)』を引き起こす可能性があり、害虫と化してしまうのです。
ただし、日本におけるトノサマバッタによる蝗害はまれなので、必要以上に忌み嫌う必要はありません。
コバネイナゴ
イナゴは、現在バッタと同じ『バッタ科』に分類されており、バッタの仲間として扱われています。見た目の大きな違いもありません。
イナゴは『稲の子』が名前の由来となった説が有力で、その名の通り稲を食害する害虫として知られています。
水田や畑に多く生息しているので、都会よりも地方でよく観察できるでしょう。似た種類に『ハネナガイナゴ』があり、長野県では両者ともにつくだ煮にして食べられるケースもあります。
まとめ
バッタは夏から秋にかけて活動する昆虫で、高いジャンプ力や仮面ライダーのモデルにもなった外見が特徴的です。バッタは不完全変態で成長し、体はメスの方が大きい傾向にあります。
キリギリスとは、触角の長さや鳴き声で区別が可能です。代表的なバッタとしてオンブバッタ・ショウリョウバッタ・トノサマバッタ・コバネイナゴなどがあり、中には農作物に害を与える種類もいますが、身近な自然で観察できる興味深い昆虫です。