
北海道のへそ(中心)からてっぺん(北の果て)へ。鈍行列車でのんびり巡る
私が紹介します!

鉄道旅をこよなく愛する「元祖・鉄子」。JR全線完乗・私鉄乗車率96%ほど。写真集に『汽車通学』(メディアファクトリー)、著書に『おんなひとりの鉄道旅』(小学館)など。
東北6県を合わせたよりもまだ広い北海道には、日本最北端の駅が存在する。北の果てを目指す旅の出発点として選んだのは、北海道の地理的中心地、つまりヘソにあたる富良野。
富良野から旭川へ続く富良野線は、十勝岳を背景に広がる田園風景と丘陵地帯を彩る、季節折々の植物たちが実に鮮やか。沿線にはドラマのロケ地、絵になる丘陵地帯の美瑛、動物園や美術館が盛りだくさんの旭川が点在。一日目は富良野線沿線を満喫し、旭川駅付近に宿泊。
翌日は旭川発06時10分、稚内行きの普通列車に乗車。移動中の飲み物・軽食の購入もお忘れなく。旭川から稚内まで約6時間の車窓には、峠越えや果てしなく続く牧草地帯、とうとうと流れる天塩川、海に浮かぶ利尻富士など雄大な風景が展開。終着駅・稚内に着いたらきっと叫びたくなるはず。
北海道、でっかいどう。

宗谷本線の終着駅・稚内。駅前には最北端の車止め。海が近いので、ほのかに潮の香りを感じる。
DAY1
広大な絶景をパノラマで鑑賞

富良野駅ホームには「へその町」を表わすオブジェたちが。

富良野線には展望列車「富良野・美瑛ノロッコ号」も走る。
DAY2
山〜川〜海を堪能し終着駅へ

音威子府~佐久で列車は天塩川と寄り添うように走行。車窓いっぱいに緑と川が広がり、ときにエゾシカの姿も。

勇知~南稚内でちらりと望む日本海と利尻富士は、内陸部をひた走る沿線で唯一目にする海岸風景。

三浦綾子の小説『塩狩峠』は、険しい峠越えであるこの地で起きた実話をもとに執筆された。

合計料金
普通列車乗車券 7,150円
JR富良野線 JR宗谷線利用
「富良野・美瑛ノロッコ号」は乗車券で利用可能。指定席を利用する場合は乗車券のほかに指定席券840円が必要。運行は旭川~富良野、9月23日までの主に土日祝日。
所要時間:1泊2日
スタート駅→ゴール駅:JR富良野駅→JR稚内駅
おすすめスポット
オホーツク海を望む宗谷岬

せっかくなら最北端の岬・宗谷岬へ。強風と高波の海峡風景に最果てを実感。
アクセス:JR稚内駅より路線バス「天北宗谷岬線」で約50分
※構成・撮影/矢野直美
(BE-PAL 2025年9月号より)